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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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はじめての護衛任務

----------くるみ視点-----------

 リザードマンの巣を掃討し終えた私たちはその足でカストルを目指し移動を開始した。それまでの道中にある町等を経由しながらのんびり向かっている。外で野宿も何回かやっているので直行してもいいんだけどベットで寝れるならそのほうが良いからだ。


「それにしてもビックリだよね」

「そうだね、まさかリザードマンの巣の依頼が小さな町では報告ができないなんて」

「多分そうじゃないと思う。今回はふたご神の試練だから大きい街である必要があるんじゃなかな」

「そっか、そういえば今回は普段の依頼と受注の経緯違うもんね」


 私たちは宿に備え付けの宿で話していた。そのままあぁでもないこうでもないと話ていると宿の扉が開き外から慌てて宿に慌てた様子の青年が入ってくる。


「大変だ、魔物の集団がキャンサー共和国を襲ったらしい」

「それは本当のことか?」

「あぁ、ほぼ間違いないそうだ。各国の首都にあるギルドへ情報が送られてきて今ここにも情報が連携されたんだ」

「そうか、ならほぼ間違いないか。それで被害状況は?」

「死傷者までの情報は来ていないからわからないがしばらく船の出入りは止めるようだ」


 宿のカウンターで、宿の店主と外から入ってきた青年と話しているのが聞こえてきた。私は断片的に聞こえてきた会話を詳しく聞くためにカウンターへ近づいていく。


「話聞こえてきたんですけどどうかしたんですか?」

「あぁ、君たちか。実はねキャンサー共和国の首都であり大陸の玄関口であるアクベンスでスタンピードがあったらしいんだ。それで交易や客船等の船の出入りを禁止にしたらしい」

「そうなんですか。ありがとうございます」


 私は宿屋の店主さんに聞いた内容をしずくたちに伝えることにした。その結果、カストルのギルドへ状況を聴きに行こうということに決まった。その他にもしばらくふたご島から外に出られそうになさそうだということが分かった。


「まぁ、ここで考えても仕方ないよ。もしかしたら別件で移動できるかもしれないし」

「そうだね。ここで話してても詳しいところはわからないからね」

「それじゃ、今まで通りクエスト受けながらカストル目指そうか」

「そうだね、くーねぇ」


 今後の方針も決まったが、どうもスタンピードの結果が気になるので情報は欲しいところだった。考え事をしながら宿の部屋に戻るとしずくが顔を覗き込んできた


「くーねぇ、考え事?」

「あぁ、ごめんねしずく。ちょっとキャンサー共和国の状況を知りたくて」

「そっかぁ、聞いた限りだと被害大きそうだしね」

「それもあるけど、この世界にも防衛のための戦力がいるのにそういう人たちで対処できない程強い魔物が出てきたっていうことでしょ」

「そうだね。でも大丈夫だよ。くーねぇ。くーねぇはぼくが守るし、ラビィやミラもいるんだし」

「そうだね。これからもよろしくねしずく」

「もちろんだよ。久しぶりにこっちもね」


 そう言ってしずくは私の胸に手を伸ばしてきた。そのまましずくになされるがまま夜も更けていく。


 翌日目が覚めると裸のしずくが私に覆いかぶさるようにして眠っていた。もちろん私も服を着ていない。ベッドのシーツを見てみるとまだ少し濡れている。それを見て顔を赤らめて(しずくはいつまで起きてたんだろう)と考えているとしずくが起き始めた。


「ふわぁ~、くーねぇおはよう」

「おはようしずく」

「ん?疲れ抜けきってない感じ?」

「うん、しずくが昨日すごかったから」


 そんな話をしつつも着替えを済ましていく。しずくの様子を見てみるとつやつやした肌で疲れも残っていないようだった。着替えを終え私としずくは食堂へ移動した。食堂には既にミラが来ており赤茶を飲んでいた。


「二人ともおはよう」

「おはよう、ミラちゃん。ふわぁ~」

「おはよう、ミラ」

「二人ともこのぐらいの宿屋なら壁薄いから気をつけてね」

「・・・・」

「はーい」


 私はミラちゃんからの指摘に対し赤面するしかなった。一方しずくは昨日のことなど気にした素振りもなく元気に返事している。そんなしずくに文句を言いたくもあったが、適度にガス抜きができていなかったのが原因だから今後気を付けようかな。


 そう心に誓いつつ朝食を終え宿をチェックアウトした。宿を出たあとはいつものようにクエストを受けようとしたところ、商人とギルドの依頼受付の職員が話しているのを見かけた。それを横目に私たちは、ギルドのクエスを受けるために掲示板を見ているとギルドのカウンターより声がかかった。


「くるみさんちょっといい?」

「はーい、どうしました?」

「実はこちらのマルクスさんが護衛の依頼が来てるんだけど受けてみる気ない?」

「ちょっとみんなと相談するので待ってください」


そう断りを入れてからしずくとミラに声をかけ事情を説明した。


「なるほど、行き場所次第だけど受けるのもひとつだと思う。護衛の経験は重要だし」

「ぼくも問題ないよ」

「それじゃあ詳しく話聞こうか」


しずくとミラに聞いて了承の返事をもらえたので3人で詳しい話を聞きに行くことにした。


「すみません。先ほどの話を相談した結果行き先しだいでっていうことにしました」

「そうそれなら詳しい話はこちらでします」


 そう言われわたしたちとマルクスさんは受付の人に連れられ奥の相談室と名付けられた部屋へと通された。通された部屋には椅子が計4脚(3人がけ1脚に1人がけ3脚)あり私たちは3人がけの椅子に座りマルクスさんは正面に座った。


「それでは、今回の依頼ですが依頼人のマルクスさんとしずくさん達の依頼の締結を私、エイミーが担当します」


座ったことを確認した受付嬢さんことエイミーさんが、そう挨拶をして依頼の話が始まろうとしたところで、扉がノックされお茶が運び込まれてくる。私たちは頂いたお茶を一口飲んだあとマルクスさんが依頼の話を始めることにした。


「それでは早速しずくさん達にお願いしたい依頼というものを説明させていただきます。実は私はキャンサー共和国とこのふたご島を行き来する商人です。それで、今回はカストルまでの護衛を依頼させていただきたいのです」

「私たちも次の目的地はカストルなので問題ありませんが、護衛は私たちだけなのでしょうか?」

「その点は私から。現在この町に滞在している冒険者の中に護衛を任せれる実力のある冒険者がいません」

「でも、私たちもまだFランクですよ。護衛も初めてですし」

「えっ!?そうなのですか?エイミーさんがすぐに声をかけてくれたのでてっきり護衛メインで受けている冒険者かと」

「確かに彼女たちは護衛の経験はありませんが実力は確かです。ここでは処理できずにランクはFのままですが大きい都市に行けばDランクへ昇格となります」

「飛び級するぐらいには実力のある冒険者ということですか」


 マルクスさんは自信の顎を撫でながら思案しているが、考え事が決まったのか私の目を見つめてきた。そして一言私達に告げてくる。


「今回の依頼、受けてくれないでしょうか」

「嬉しい限りですけど、エイミーさんの言ったとおりカストルでDランクまであがりますが、護衛依頼は初めてですけどいいのですか?大事な商品もあるんですよね?」

「えぇ、構いません。荷物としてはある程度売り終わったあとにこの町に来て残りを売り、この町の野菜等を仕入れた程度です。それに、誰でも初めてのことはあります。その代わりこの依頼次第で今後信頼して頼める冒険者さんができてくれる方がいいのです」


 マルクスさんはそう説明してくれた。その説明を聴き私たちは顔を見合わせてからクエストを受けることにした。

 その後は出発日などを決め初めての護衛クエストの打ち合わせは行われた。

そして決まったのが、護衛任務の出発明日。主に街道を通りながら進むため魔族の驚異は少なく比較的安全であり、旅程は3日間を予定している。そしてカストルの冒険者ギルドで報酬を支払いを済ませ解散ということになった。


そのため、今朝チェックアウトした宿に再度チェックインして1泊することになった。この日のしずくは大人しく寝てくれた。

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