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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
幕間 魔族暗躍
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海賊_4

 翌日になり三日ぶりの海賊稼業となる。全員が船に乗り込んだところで、ヘリーが出航の合図をかけた。全員ヘリーがキャプテンやることに否は無いようだった。

この時は知らなかったが実は私の相手をしたくないからヘリーを生贄に捧げていたようだった。

そんなことを気にせず、船は進んでいく。しばらく船が進んでいくと1隻の商船が見えてくる。私は船の個室から使い魔の目を使い外の様子を確認している。


「野郎ども今日の獲物だ。ただし乗組員は生かしておけよ。お嬢からの指示だ」

「うぉーーー」


 コウモリ越しに外の盛り上がりを聞いていた。そうしていると船が一際大きく揺れる。私は驚き使い魔のコウモリの目で状況を確認した。すると商船の方向から大砲の弾が飛んできている。

(へぇ、武装商船か。初陣には悪くない相手だ)


「魔法使えるものは魔法で迎撃しろ。使えないものは皆戦闘準備だ」


 使い魔越しにヘリーの指示が聞こえてくる。それを聴いて初めてにしては十分だと考えながら甲板へ出るために移動する。甲板に上がるまでに何人かの下っ端とすれ違う。下っ端たちに道を譲りながら甲板に出た。

 甲板に出ると初めにお出迎えしてくれたのは大砲の玉だった。私は、それをイービルランスで撃ち落とした。そのままヘリーの下へ移動する。


「ヘリー、色々言いたいことはあるがまずはここを何とかする。【ダークホール】」


 私は、ダークホールで敵の船を暗闇で包むそれにより砲撃が止んだ。それを確認したヘリーが驚愕の顔をして私を見た。私は無視して船を接近させるように指示を出す。それを聞いたヘリーは船の速度を上げ接敵するよう指示を出した。その時間を利用しヘリーに言いたいことを伝えた。


「ヘリーこの船の船長はお前だ。使えるものは容赦なく使うようにしろ。使えるものも使わずに死ぬのは愚行だ」

「へい、今後は気をつけます」

「それでいい、少しづつなれていけばいい」


話し終わった頃には黒いドームに近づいた。そこで私はヘリーへ目配せする。それを正式に受け取ったヘリーはみんなへ声をかける。その声に合わせ私はシャドーモンタージュを使いコプタの姿になる。


「お前ら、これから白兵戦だ。だが、今回の狙いは積荷だけだ。乗組員には怪我をさせてもいいが命は取るなよ」

『うぉぉぉーーーー』


 私は海賊どもの雄叫びを聞く。その後、ヘリーから解除していいと受けたのでダークホールを解除させた。そこには、ワイヤーの射程距離に余裕で入る位置に商船がある。商戦に乗る護衛たちは驚愕の表情で私たちを見ている。そこでヘリーが声を張り上げる。


「大人しく、積荷を渡してくれればお前たちに怪我をさせる気はない。大人しく積荷を差し出せ」

「なんだと、ただの海賊風情に大人しく積荷を差し出すわけねぇだろ」

「そうか、なら実力行使だ。お前たちやるぞ!!」


 そのひとこえで私たち海賊と商船の護衛たちの戦いが開始された。戦いは拮抗しており、至るところから剣戟が振るわれている。その中でもリーダと思える傭兵が3人の海賊を相手取っていた。しかも厄介なことに3人相手でやっと互角か少し劣っている程度だ。


「ここは俺がやる。お前たち変われ。そして積荷を奪ってこい」


 私が声を掛け3人の海賊と傭兵のリーダの間に割り込んだ。そのまま腕で傭兵の剣を受け止める。それに驚愕した傭兵だったが、すぐに気を引き締め私に問うてきた。


「お前がこの海賊のリーダか?」

「そんな馬鹿な、俺はただのアドバイザーだ」

「ふん、俺の剣をたやすく受け止めといてアドバイザーか」


現在私コプタの姿になっているので、傭兵からは魔族ということには気づいていないようだ。そんなことは気にせず手を抜きながら傭兵の相手をしていく。本気でやると一瞬で殺して肩がついてしまうから仕方ない。相手を生かしておくという約束を私が破っては示しがつかない。そういうこともあり、適当にあしらいつつ時間を稼いだ。


 しばらく相手をしているとさっき行かせた下っ端たちが積荷をもって戻ってくる。周りを見てみるとほかの傭兵たちは縄に縛られていた。それを確認して少し遊びすぎたなと思い即座に後頭部に軽く手刀を軽く入れて気絶させた。


「積荷は我々ヘリー海賊団が頂いた。よしお前ら撤退だ。いくぞ!!」


 ヘリーがそう言うと下っ端から声が上がる。それを受け私たちは自分の船に乗り込んだ。その後、近づいた時と同じようにダークホールを使い相手の視界を奪いとんずらすることにした。



船の中で今回の戦利品を見て満足している。今回の戦利品は剣や盾といった武器防具がメインだが、少量ながら食料と運がいいことに魔銃を2丁手に入れることができた。今回手に入れた魔銃をヘリーとコレラにもたせる。


「よし、これで今日のところは終了だ。明日は1日様子を見る」

「わかりやした。でも本当にここに軍がきたりはないですよね?」

「あぁ、心配はいらない。最低限1月は大丈夫だろう」

「了解でさぁ」


そう言ってヘリーたちは思い思いのところにちっていった。


----------バラム視点-----------

 パイモンより依頼されたスタンピードを起こすためにキャンサー共和国の南に位置する森に到着した。その途中出会ったキャンサー共和国所属の冒険者を数人仕留めたあと、人の姿に扮し子どもの魔物を大量に討伐していく。そのまま森の中をある程度回り終わったあとに森全域に対し、魔法を行使した。


「さぁ、お前ら思ったように動いてくれよ。【バーサク】おまけだ【マリオネット】」


 子供を大量に殺したことによりその親が怒り、森全体にバーサクを使い理性を削ぎ落とした。それによって相手を操るマリオネットが弾かれずに発動する。


「ふぅ、さすがに魔力が厳しいな。でもこれでこの森の7割が支配下に置けた」


 俺の周りには動物系の魔物が多くいる。その中でも一番強いのがキラーベアだろうか。俺は大量の魔物を引き連れキャンサー共和国へ進軍を開始した。そして、パイモンと約束の3日目。連れてきた魔物に子供たちを殺したのはキャンサー帝国にいるという暗示をかけた後、マリオネットを解除した。あとは自前の羽で空へ飛び立ち状況を観察するだけだ。


海の方を見てみるとギリギリ間に合ったようで軍船が数隻港に停留している。俺は軍船に対し火球を使い全て沈めることにした。


「ふぅ、これでパイモンの依頼も完了かな」


そう考え俺は当初の予定通りふたご島目掛け移動することにした。


----------パイモン視点-----------

約束の日になり、キャンサー共和国へ使い魔のコウモリを飛ばし様子を確認してみるとそこはたくさんの瓦礫や泣いている子どもが多くいる光景だった。

街の港には破壊された船や軍船もあるので住民を海上へ逃がそうとしていたのかもしれないでもこれで私たちの方にくる軍は当分の間動くことはできないだろう。

街のいたるところにある冒険者や軍の死体の中に一際大きい魔物がいた。


「なるほど、今回のスタンピードにうまいことキラーベアが複数体紛れ込んだのか。他にも幻覚蝶や首切りマンティスといった面倒な魔物もいたようだな」


今回のスタンピードに参加した魔物の個体を確認してこの参上の原因が判明した。でもこれで少なく見積もっても1月と言わず2、3ヶ月は自由に行動ができそうだった。


「ふふふふっ、これで今回の実験の舞台は整った」


私の独り言は崖の向こう側へと消えていった。

これにて幕間終了です。次回からくるみちゃん達に戻ります。

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