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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
幕間 魔族暗躍
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海賊_1

お久しぶりです。本日より投降再開になります。

海賊の一人になりすました女悪魔のパイモンはその足で海賊のアジトまで来ていた。アジトの場所は様子を見に来ていた海賊の足跡をたどることで難なく見つけることができている。

 戻ってきたところで、この男の立ち位置と名前を探るべくしばらくおとなしくしていることにした。そうしているとさほど時間が経過することなく、頭にバンダナを巻いたひとりの男が近づいてきた。


「おい、コプタ特に異変はなかったか?」

(へぇ、この男の名前はコプタっていうのか)

「へい、特に問題はありやせん」

「そうか、なら見張り交代だ、明日の朝食の準備しかりしろよ」

「わかりやした」


 私は、寝る前にこのコプタという男について少し調べてみることにした。その結果、端的に言うと下っ端中の下っ端。雑用や見張りなどは主にこの男の役割ということ。そういうこともあり発言力はほぼないときたからどうしたものか。


(まぁ、そういうことは今晩考えてみるか)


 そういう考えに行き着いた私は、寝ずに考え程よい時間で朝食の準備を始めた。


 数日経過し、転機が訪れた。それは海賊の首領を含めた全船員によるミーティングの場だ。その際に、ざっと見渡し見てると総勢40名程度の海賊団のようだ。私は、この場で発言することにより発言力をあげるとともにこの海賊団の参謀に収まるようにしたいところだ。


「よしお前ら、今後の活動方針どうするかだ。現状維持もしくは狙う対象を変えるかだ」


 団長がそう宣言したが周りから意見が一切出てこない。このままだと、現状の旅客船や貨物船見境なく襲う、効率の悪いのが続くこととなる。なので私は手を上げ発言の許可をもらうために動き出す。


「何だ、コプタお前が発言を求めるなんて珍しいな。トイレならさっさといって来い」


 団長がそう発言すると、いたるところから嘲笑が聞こえてきた。それを聴いて私は殺してやろうかと思ったがここはぐっと我慢して発言する。

「団長、そういうのではありません。現状船の種類等関係なく襲っていますが、貨物船のみに対象を絞るのはどうでしょうか」

「それでどうやって稼ぐ?」

「はい、貨物船から奪った荷物を行商人に扮して高値で売り払う考えです」

「そうか、それじゃ、俺たちの殺しの欲求は満足できんな」


 団長がそう言うと周りから「そうだ、そうだ」というやじが飛んできた。私はそれも考慮に入れてあるので私の考えを披露することにした。


「その点は心配いりません。何度か襲っていると商人どもは安全のために冒険者を雇うでしょう。その冒険者は実力も一定以上です。その冒険者を殺し尽くせばどうでしょうか」

「なるほど、あながち悪くないかもしれないな。それなら次の定例会まではその方針でやってみよう。反対意見などはあるか」


 その一言に反論するものもおらずしばらくのあいだはその方針で行くことになった。

その方針のままさらに数日が経過した。その間に何度か近国のキャンサー共和国の王宮とギルドに使い魔を偵察に行かせていた。使い魔が何度目かの帰還を果たし、使い魔の記憶を読み取っていくと海賊討伐の話が持ち上がっていることを知り、にやりと口角をあげる。


その情報を聞いた翌日。私は団長の部屋を訪れた。


「団長、キャンサー帝国が我々の討伐隊を組んでいると情報を手にしました。拠点を変えたほうが良いかと思います」

「ふん、何を今更。今の我々に叶う奴がいると思っているのか」


 団長のその言葉を聞いた私は、盛大にため息を付きたい気持ちになったがここはグッと我慢し、自身の考えを伝えていく。


「ある程度自信をつけるのはいいことですが、過剰になりすぎていると思います」

「なんだと、おいコプタ最近自分の意見が採用されているからお前こそ調子に乗ってんじゃねぇのか」


 団長は机にしまっていた魔銃を取り出し私に向けてきた。それに対し今度は団長にも聞こえるように盛大に他名息を吐いた。


「コプタ、その態度は何だ。俺のことを馬鹿にしてただで済むと思っているのか」


 団長がそう発言すると同時に引き金を引き「バンッ」という音が洞窟内に響き渡る。射った魔銃の弾丸に私は気にすることなく、正面から受けきった。魔銃で使われている魔力弾ぐらいなら守る必要性すら感じない。それを見ていた団長は、信じられないものを見たという顔をして後ろに後ずさる。それを確認したあと魔銃発射されるサイズと同じ大きさの弾丸を生成し、手動でこめかみを打ち抜いた。


 団長の処理を終えたあと、最初の発砲音で近づいてきた団員たちがこの部屋になだれ込んできた。その際、幹部クラスの男が団長が死んでいることを確認したあと私に問いかけてきた。


「おい、コプタこれはお前がやったのか」

「いいえ、違いますよ。団長は俺が仕入れてきた情報を聴き自らその手に持った魔銃で自分を撃ったんでさぁ」


 その言葉を証明するかのように死んだ団長の顔は恐怖に歪んでいた。原因は、さっき言った理由と180度違う真っ赤な嘘なんだが。この場にそれを証明できる人はいないので大丈夫だろう。そう思っていたが、数分後にはそれは間違いだったと思い至ることになる。


「そうか、それでその情報というのを聞かせてもらおうか」

「いいですよ。俺独自の情報収集に撮りますとキャンサー共和国が俺たちに対し討伐用の部隊を集めているようです。そのことを聞いた団長が徐に魔銃を取り出し自信の頭を」

「そうか、コプタ。教えてくれてありがとう。それともうひとつ聞きたいんだが」


幹部の男はそう言って団長の持っていた魔銃を私の方に向けて問うてくる。


「一体何を・・・」

「ふん、コプタお前は一体何者なんだ?」

「俺はコプタですよ。ほかのなにものでもねぇ」

「そうか。ならこの場そういうことにしておこう。実はなコプタあの時の全体会議のあと俺達幹部と団長は話す場を設けたんだ」


----------幹部視点-----------

 標的を貨物船に絞ることとになった全体会議のあと、俺は団長に呼ばれ団長の部屋へ入っていく。そこには俺以外の部2名と団長が待っていた。


「よく来てくれた。実はな数日前からコプタの様子に違和感があるんだ」

「確かにそうだな」

「そうだな」

「確かに」


 幹部がそれぞれ肯定の返事をし、それを聞いた団長は俺たちにとある可能性を伝えてきた。


「コプタは基本的に指示に従うだけで、戦闘も役立たずの臆病者だ。だから、今回の意見はとっても不可解だ。そこで俺は、コプタの身になにかがあったと考える。そこでだ、俺がアジトで死ぬようなことがあった場合は、コプタに気をつけろ。とは言え、俺もそう簡単にやられるつもりは更々ないがな」


 そう言ったあと団長は「ガハハ」と盛大に笑った。その後も、何度か俺たちを集め現在の状況と最悪の状況について会議を行う。その中で、一度だけ軍艦を警備に当てた商船を目撃し撤退したときの夜、緊急で幹部たちを集めた団長が伝えてくる。


「今回目撃した軍艦だが俺たちに気づいたはずだ」

「ということは、軍が攻めてくる可能性があると?」

「可能性というよりほぼ確実に攻めてくるだろう。あれから結構な回数襲撃かけていたからな。だが、俺は軍に大人しく投降する気はねぇ。お前たちには悪いが最後まで付き合ってくれるか?」

「「「もちろんでさぁ、団長」」」


俺たちは団長についていくと告げこの夜は杯を交わした。


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