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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
3章「特訓」
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最終試練前日

----------くるみ視点-----------

 個別特訓から戻ってきた私の胸元に衝撃が走った。


「くーねぇ!!」

「うわぁ、しずく、ちょっと危ない」


 戻ってきた私の胸に、しずくが飛び込んできたところだった。辺りを見渡してみるとミラも戻ってきているのでみんな無事だったみたいだ。


「くるみ、ラビィは?」

「あぁ、ラビィなら大丈夫だよ。【召喚:ラビィ】」


 私はミラにラビィを召喚してみせた。それを見たミラはおどろいた顔をしていた。これでここでの特訓は全て終了となった。そんな私たちの下に、カールとミールがやってきた。カールとミールは、今回の個別特訓の報酬をそれぞれに渡してくれる。


「くるみ、100m達成おめでとう」


 ミールはそう言って、純白の短杖を渡してくれた。今いる場所が、中庭ということもあり軽く魔法を使ってみた。すると、今まで使っていた杖より圧倒的に魔力のとおりが良くなり、漏れがほぼなくなっていた。そのまま、ソーラウィップを使ってみたが杖が短くなっていたことによって、ムチも振りやすくなっている。


「しずくはこれだね」


 カールは、しずくに漆黒の短刀を渡していた。それを受け取ったしずくは、軽く振ってから鞘に収め腰に差した。しずくも充分納得の代物だったらしい。


「ミラは預かってたもの返すね」


 ミールがミラへ、鉄弓を1張渡した。ミラは、弓をひっぱてみていたが真ん中ほどまでしか引けていなかった。だけどそれだけで今までの弓と同じぐらいまで飛んでいた。威力は正直わからない。


「皆様、お疲れ様でした」

「あぁ、アルヘナちゃん、戻ったよ」


 私たちは、それぞれ挨拶をして夕飯をアルヘナが用意してくれた。

 久しぶりにしっかり味付けされたご飯は美味しかった。


 翌日のお昼に、私たちはカールとミールに呼ばれ食堂に集合していた。そこでこのあと行う最終試練の説明が入った。なんでも、妹島と姉島の間にある橋の付近に、リザードマンが巣を作って、その討伐クエストをクリアするのが最終試練するとのことだ。なんでも、個別特訓が始まる前に、ミールが巣の調査クエストを受けて、その報告を今日の午後にするとのことで、昨夜見てみたところ、キングリザードマン1体に、リザードマンが50匹程になっていると言っていた。この巣の掃討で、必要最低限の実力を付けたと判断するようだ。


「そういえばミール、リザードマンってどんな魔物?」

「個別特訓始める前にいったけど、二足歩行のトカゲだよ。防御力がそれなりに高いけどね」

「それに、今回も統率個体がいるから多分、ゴブリンより厳しい戦いになるんじゃないかな」

「とは言っても私たちだけじゃないんだよね」

「なにを言ってるのかな。しずくたちだけでやらないと、試験にならないでしょ」


その言葉を聴いて私たちは絶句した。ゴブリンより強く初めて戦う魔物を統率個体含めて、掃討するのは相当厳しいんじゃないだろうか。そんな気持ちもよそに、ミールはシャドウモンタージュを使用したあとに、ギルドへ向かっていった。ミールを見送ったあとも、話は続いていく。


「そういえば、リザードマンって討伐ランクどれくらい?」

「あぁ、いいてなかったね。リザードマンはEランク相当だよ。それの統率個体込だから、多分クエストランクとしてはDランク相当なんじゃないかな」

「カール様、それっていまの私たちに受注できるのでしょうか」

「まぁ、普通は無理だね」

「それじゃ、どうやって」

「そこで使うのがこれだよ」


 そう言って、カールはローマ数字の2のような封蝋がおされた手紙を取り出して渡してきた。今回は、神の試練として利用するための手紙らしい。


「ギルド員に見せれば、特別に受注できるようになるよ。そして、クリア時にDランクまで上昇する」

「ただいま」

「おかえり、ミール。大丈夫だった?」

「大丈夫だよ、ちょっとアルヘナのところに行ってくるね」


そう言って走っていってしまった。


「アルヘナのところに何か用があるの?」

「クエストをおいておいてもらうため、ギルドに手紙を届けてもらうんだよ。そうしないと、ほかの冒険者がクエストを受けちゃうからね」


 そう話していると、ミールが帰ってきて、アルヘナが出かけていった。そのあとも試練の話が進んでいった。


----------アルヘナ視点-----------

 久しぶりに、ミール様の使いとして行動することになりました。なんでもくるみ様、しずく様に試練を貸すためのクエストを、取り置きの依頼をギルドにしなくちゃいけないみたい。ということは、そろそろこの街から出ていってしまうのでしょうか。

気持ちが落ち込んできたところで、ギルドが近づいてきたので気持ちを切り替え、ミール様からのお使いを達成しようと思い治すことにした。


「こんにちは」

「アルヘナちゃん、今日はどうしたの?」

「実はこれを」


 受付嬢さんに簡単に挨拶したあと、ミール様より預かった手紙を渡した。手紙を見た受付嬢さんは、真面目な表情となり少し待つように伝えてきたあと奥に消えていった。


 しばらく待っていると、受付嬢さんが戻ってきたあと、指示に従いギルド長の部屋に通される。ギルド長の机の上には、書類が何枚かおいてある程度で仕事は溜まっていないようだ。


「ギルマス、双子の祠の管理人をお連れしました」

「ありがと、下がっていいわよ」


 その言葉を受け、案内してくれたギルド嬢は一例して去っていった。ギルド長さん再度手紙に目を通したあとにため息をつく。


「今日はまた面倒事が多く来るな、さっきの報告といい、とは言えこの二つがまとめて解決するのはまだいいほうか」

「どう言う意味ですか?」

「実はな・・・・」


 私は、ギルド長さんより先ほど連絡を受けたという、リザードマンの巣のことと持ってきた手紙が、その討伐クエストを今回の試練で使うため置いておいて欲しいということを受けた。


「そういえば今回の試練対象は今お前のところにいるんだよな」

「はい、そうですが」

「ランクってどれぐらいかわかるか?」

「え~っと、聞いたが限りではつい最近、Fランクになったばかりだと」

「まぁ、試練というから仕方ないがまた無茶なことを。要件は分かった、今回の試練を受ける奴らを明日ギルドに来るよう言っておいてくれ。それまではクエストは残しておく」

「わかりました。それは早速伝えてきてきます」


 ギルド長室を辞したあと、私は不安な気持ちを抱えながら帰路についた。

 そんな気もそぞろな状況で夕飯を作っていたのが悪かったのか、指先を包丁できってしまう。


「痛!」

「アルヘナちゃん大丈夫?」

「くるみ様、大丈夫です。少し指を切ってしまっただけなので」

「ちょっと見せて、血が出てるみたいだから。ちょっとしみるかもだけど我慢してね」


くるみ様は、傷口を水道の水で洗い流してくれた。


「すみません。心配かけてしまったようで」

「そんなこと気にしないでいいよ」


くるみ様はそう言ってきった指にバンソウコウというものを貼ってくれた。お風呂に入る前にはがせばいいということなのでそれまで貼ったままにしておく。

そんなトラブルもあったが、夕食が出来上がり、みんなで夕飯となった。その時にギルド長からの言伝を皆さんに伝えることにした。


「わかったよ、明日ギルドに行けばいいんだね」

「はい、カール様、ミール様の手紙を渡せばギルド長室へ通されるはずです」

「要件って、今回の試練のことだよね」

「はい、十中八九そうだと思います。格上の魔物なのでお気を付けください」

「大丈夫だよ、ぼくたちも強くなったんだから」


そういった話をしながら心配がなくなることもなく試練前日の日が暮れていった。


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