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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
3章「特訓」
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個別特訓_くるみ編 後編

 召喚魔法を覚えてから2日間が経過した。木属性の魔力で魔力の通る管をつくるようになり、格段に魔力効率もよくなった。それによってそろそろノルマの50mのクリアが見えてくる。けれど、魔力を使い切りながらなので、そう何度もチャレンジができないのでこの数日で、ここまで伸ばせれたのは運が良かったと思うしかない。そんなことを考えていると、あたりは暗闇ではなくオレンジ色になっていることに気づいた。


「順調だね。それに格段に魔力の効率が上がっている」

「カール、順調だよ。そういえば途中からいきなり照らしやすくなったんだけど、なんか知らない?」

「あぁ、そのこと。そもそも前提として、ここはくるみたちの実力を一定まで上げるための空間だ。特に他の二人と違い、くるみは魔力もしくは技術のゴリ押しができる」

「どういうこと?」

「そうだね、例えば今くるみがライトを使うと、微量の魔力漏れがあるのは気づいてるよね」

「気づいてるけど、もしかしてそれがなくなればクリアできるの?」

「まぁ、そういうこと。いまのくるみの保有魔力なら、漏れなく全て魔法につぎ込めばギリギリ50mいけるはずだ」

「他にも、最初のしずくの魔力漏れのせいで魔力がに約7割ぐらいしか、魔法にいってなかったとする。そのロストした分以上に魔力をつぎ込むことができれば、自ずとこの試練はクリアできる」

「ということは、私の場合効率化でごりおせてる感じなんだね」

「そういうこと、でもここからは今までのように、サクサクとはいかないからね」

「さっきの話聞いた限りじゃそうなるよね」

「おっと長居しすぎた、それじゃ他の二人ところに行ってくるよ」


 そう言い残し、カールは去っていった。カールを見送ったあと私はラビィと一緒に夕飯を食べ、寝ることにした。


 4日目の昼に50mに到達した。すると、召喚魔法を覚えた時と同じように腕輪からファンファーレが鳴り響く。それと、同時にカールがこちらに来たようだ。


「くるみ、お疲れ。これで最低限のノルマ達成だね」

「えっ!?最低限ってどういうこと?」

「ん?ミールも言ってたとおり、まだ可能な限りやって、もらいたいことはあるよ」

「もしかして部屋にあったトレーニング器具と関係が・・・・」

「察しがいいね」


 カールのその言葉を聴いて、私は地面に手をついて倒れ込んだ。そんな私を見てカールは、私の肩にぽんと手を置き「頑張って」と言ってくる。


「もう、カールいつまでここにいるの?」

「ミール、ミラのところはいいのかい?」

「大丈夫、今は的あてしてるから少しは目離しても大丈夫でしょ」

「ミールはミラちゃん主体で見てるんだ」

「そうだね、でもくるみは体力トレーニング頑張ってね」

「それってどうしてもやらなくちゃダメ?」

「ダメだよ、その魔力運用が常時できるようにならないと意味ないからね」

「そうそう、いざ使うときに躱しながらだったから威力が落ちたとか、魔力使いすぎて気絶したとか正直笑えないからね」

「それにムチの使いかたもなれるといいよ」


 そうステレオで二人に言われてしまった。なので、渋々二人に了承を伝えると満足げに帰っていく。そんな二人を見送ったあと、椅子に座りつつラビィをモフって気力と魔力の回復に当てることにした。

 そのまま1時間近くラビィと戯れていると「いつまで現実逃避してるんだい」と言われた気がしたので、仕方なくライトで10m程を照らし照らしスポーツ器具がある場所へと足を伸ばした。


「仕方ないからムチの練習でもするかな」


 そう思いはしたが、ライトの魔法を使いつつソーラーウィップの魔法を使おうとすると、どうも安定しなくなる。なので仕方なくルームランナーを使い、体力強化に勤しむことにした。


「あれ?」

「あぁ、やっと気づいたね」

「カール?」

「ルームランナー使ってたと思ったらいきなり倒れてびっくりしたよ」

「あぁだから、途中から記憶がないのか」

「お昼は出しておくね。多分だけどほかのことを合わせてやったからコントロールが乱れたんだろうね」


 そう予想を説明してくれながら、お昼を用意してくれたその説明を聞きつつ、私とラビィはお昼を食べ進めていく。カールは、しずくたちのもとへ行くと告げ姿を消す。だけど去り際に、運動中の怪我までは責任を負い兼ねると告いったのだった。


 カールが去っていったあとは、少しの間ラビィと遊ぶのはお休みし朝昼夕の明るい時にムチの練習、暗くなったら明るさを維持しつつルームランナーを使って体力作りに励んだ。そのあいだにも、何度か魔力コントロールが崩れ、気絶したりしながらも日が進んでいく。ときどき今持っている魔力を全て使って、最大で何メートルまで照らせれるかの確認も忘れずに行う。その結果、6日目終了時点で、80mまで照らせれるようになった。


最終日の朝、目が覚めると珍しくミールが来ていた。


「ミールおはよう。ミラちゃんはいいの?」

「ミラはもう個別特訓終わったよ。今は復習するために、色々と罠解除してる感じ。それでくるみの方はどうなの?」

「なんとも言えないね。一応走りながらの魔力利用は安定してきてはいるけど」

「ふ~ん、なかなか頑張ってるね。それで照らせれた範囲はっと」


 そう言ってミールは、自分の前にモニタと作り出し眺めている。多分あのモニタに私たちの特訓の進捗状況が乗っているのだろう。


「へぇ、結構頑張ってるじゃない。でもプレゼントは、無理そうだね」

「あぁ、100mだっけ」

「そうね、今日1日であと20mは厳しいでしょ。」

「あぁ、ミール来てたんだ」

「カールも来たんだ。ということは朝食かな」


 朝は、特訓が始まるまで明るいからどうもカールが来るまでに余裕がある時がある。だけどカールが来てから、ライトが消えるまでの期間はちょうど1時間なので助かっていたりもする。


「そうだ、くるみ、朝食べる前に全力で使ってみてよ」

「えっ、いつも全力だけど」

「いつもどおりじゃなくて、魔力で管を作らずに全て光の魔力に変換させてってこと」

「えっ、でもこれから朝食だよね」

「それぐらいいいでしょ、カール」

「まぁ、くるみがやるって言うんなら止めないけど」

「よし、なら決まりね」

「えっ!?私やるって言ってないけど」


 あれよあれよというまに、辺りの明かりは消されライトを使う準備が整ってしまった。

私は仕方なく杖を構え、意識を集中させる。今までのように木属性魔力を使って管を作ることなく、持っている魔力を全て光属性に変換し、杖の先端に細くし集めていく。だけど、最初の頃よりは魔力の漏れも少なくなってはいるものの、どうしても漏れが出てしまっている。だが、多少の漏れには目を瞑りライトを発動した。


 その結果、今まで木属性の魔力割いていた魔力もライトに使ったこともあり、記録が伸び90mにまで到達した。それを見たミールは、満足そうに頷いているのを意識の端で捉えることができた。意識が戻るとあたりは明るくなっており、カールはいなくなっていた。


「くるみお疲れ」

「カールは?」

「カールならしずくのとこに行ったよ。あと朝食出してくれてるから食べるといいよ」


 私は、ミールの言葉に従い朝食を食べ始めることにした。朝食を食べながらもミールは7日目の予定を説明してくれる。どうも、7日目はお昼で切り上げるらしい。その直前に、もう一度どこまで照らすことが出来るか見てくれるとのことだった。そして去り際に「瞬間でもいいんだから頑張ってね」と言い残しミールは去っていった。


 私は、ミールの言う瞬間的でもいいという言葉に疑問を持ち、少しの間低い魔力を使い確認してみることにした。

確認した結果、低い魔力量でも瞬間的に魔力を注ぐと比較的明るくなることがわかった。そのあとは、魔力の回復をするために休むことにした。


「くるみ、準備はいいかな?」

「うん、大丈夫だよ」

「それじゃ、頑張って」


 ミールがそう応援してくれたので、私は考えていたことを実行に移した。

 まず、最低限の魔力でライトを発動させ、手早く残りほとんどの魔力をライトに注ぐ直前で固めていく。最後に、残しておいた魔力にのせ、固めておいた魔力をまとめてライトに注ぎ込んだ。それを最後に私の意識は途絶えた。


 意識が戻ると、満足そうにしているミールがいた。疑問に思いつつ、腕輪を確認してみると110mとなっている。どうもミールは、その結果に満足いっているようだ。詳しく聞いてみると実際に、その距離が照らされたのは1秒あるかないかだったらしい。それに、杖に無茶をさせたことによって、杖の先端から中程にかけて亀裂が入っているのが確認できた。


こうして私の個別特訓は杖1本を犠牲にしなんとかクリアすることができた。


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