個別特訓_くるみ編 前編
個別特訓はそれぞれ2部構成の予定
個別特訓が始まり早々と気絶した。気絶から覚醒した私の顔に、ラビィが顔を近づけ気にかけてくれている。そんなラビィに私は大丈夫だよと声をかけつつ頭を撫でてあげた。
「きゅい~」
「大丈夫だよ。ラビィ」
そう言いつつ、気持ちを切り替える意味も込め、ラビィをモフることに集中する。だけど、辺りが暗いことで、どうも気分が晴れない。だからと言って、いまの私の魔力ではあまり広範囲を照らすこともできないこともわかっている。だからいまは仕方なく、周囲が暗いままモフることだけにした。そのままある程度魔力が回復するまでモフリ続けた。
「よし、もう一度。【ライト】」
そういい、今回は最初から全力でライトを発動した。だけど、結果は「2m」という結果だった。
ラビィが鼻先を私に押し付けてくる感触に気がつく。その後、またラビィをモフるというのを繰り返していく。腕輪を見てみると照らされた範囲が5m、ラビィとの親密度が87%とというところまできている。そのまま、魔力が完全に回復したあともしばらくの間、ラビィに構っていると辺りが一気に明るくなった。目が暗闇になれていたことで、最初はかなり眩しかったが次第に目がなれてくる。しばらく腕で目を覆い目が次第に慣れてき手から目を開けてみることにした。
すると、部屋が照らされており、照らされたことにより部屋の全貌を見ることができた。部屋の中は机と椅子。そして、机の上にはラビィ用に買った籠が置かれていた。他にはなぜかサンドバックやルームランナーまで置かれている。
置かれている場所は、いまの私の位置から10mも離れていないところに机と椅子があり、ちょうどノルマの50m地点に色々なスポーツ器具が置かれている感じだ。
「くるみ、お疲れ。調子はどう?」
「あぁ、カール。もう何度も気絶して今の時間がよくわかりません」
「きゅ~」
「大丈夫、気にかけてくれて、ありがとうね」
「ラビィにも気をかけられるのはいいことだね。あと今はちょうどお昼時だよ」
「ということはこのライトアップもその関係?」
「そうだね。さすがに暗闇の中でご飯は食べたくないでしょ」
「まぁ、正直に言うとそうですね」
そう話していると、カールが以前のように魔力で作り出した、パンやサラダといったものを取り出しおいてくれる。なので、私とラビィは好意に甘えお昼をいただくことにした。
「それじゃ、僕は他の二人のところを見てくるね」
「わかりました、この光っていつまでついてますか?」
「そうだね、大体1時間程はついてるはずだよ」
「じゃぁ、その間はラビィと遊んでますね」
「いいけど、今回一番死にやすいのはくるみなんだから体には気をつけてね」
「わかりました」
カールが私に忠告をしてくれたので、素直にお礼を言うとカールは去っていった。私は昼食を食べ終わり、しばらくの間ラビィと遊んでいた。そのおかげもあり、ラビィとの親密度は90%にまで上昇した。辺りが暗くなり始めたので、再び座りながらライトを使い始めた。だけど、そのあとは、何度か気を失うも記録が更新されるようなことはなかった。
二日目になり、少し考えを巡らすことにした。このままだと、あまりいい効果は得られないと思ったからだ。
なので、私はまず魔力視で自身の魔力の流れを確認することにした。いままでと同じように椅子に座りながらライトを発動させる。すると杖の先端(ライトを発動している場所)からだけではなく、杖の途中からも魔力が漏れ出ていることが確認できた。
「うーん、これをどうにかしなければいけないのか。ラビィ、なんかいい方法ある?」
「きゅー」
ラビィは短い前足を、体の前に持って行って組んでいる。それを見た私は抱きしめたい衝動に駆られたがここは我慢だ。そんなどうでもいいことを考えていると、ラビィは考えがまとまったのか、ボディランゲージで頑張って伝えてきてくれる。
「きゅいきゅいきゅ(両手で丸いを作りそれを前に出して後ろにしてを繰り返す)」
「丸い筒かな?」
「きゅきゅ(頷いたあと、片手を外し手をその中に通す)」
「丸いつつの中に魔力を通せばいいってこと?」
「きゅい~」
「そっかぁ、ありがとうラビィ。でもうまくいくかな」
私は、ラビィの頭を撫でながら考えをまとめていく。確かにラビィの言うとおり、何か魔力を通さないもので筒を作って、そこを通すのが一番なんだけどどうしようかな。そこまで思いつきはしたが、なかなか筒を作るいい方法が思いつかない。私は、魔力の特性から知っていく必要がありそうだった。午前中いっぱい実験していて気づいたのは、魔力は薄く伸ばせるということだけだった。
お昼になるとカールがまたやってきてくれた。
「昨日と違って今日は随分おとなしいね」
「あぁカール。うん、ちょっとね」
「まぁ思いつめてても仕方ないし、お昼食べるといいよ」
そう言って昨日と同じように、ごはんを出してくれた。もちろん、今日の朝と昨日夕飯も食べている。ちょっとすごかったのが時間帯によって、ここの明るさが変わるのが面白かった。夕飯時は橙色にあたりを仄かに照らし、朝食時は白熱電灯のように明るくなっていた。今は昨日のお昼と同じように全体的に明るくなっている。
「それじゃ、このあとも頑張ってね」
「カールちょっと待って」
「どうしたんだい?」
「しずくとミラちゃんってどんな感じ?」
「あぁ、二人とも順調だよ。いまのところはだけどね。まぁ、まだ最初のほうだし」
そう言い残し、カールは帰っていった。他の二人の話を聞いた私は、頑張らなくちゃと気合を入れ午後からの特訓に気合を入れる。とは言っても、午後からやることも午前中と同じく、魔力の特性について調べることになる。暗くなってから2時間ぐらい経過した頃に今回の試験に光が見えてきた。
魔力はどうやら、同属性同士だと吸収し、反発属性の場合は打ち消し、相性がいいと前教わった混合魔法に、他の属性だと魔力強度により結果が変わるみたいだ。だけど闇と光はちょっと特殊らしい。
なので私は、木の魔力を使い薄い筒を作り出し、その筒に光の魔力を通していく。その光景を魔力視を利用し、杖の中を通っていく光の魔力の様子を見ていく。すると、魔力の漏れも少なく、杖の先端に魔力がどんどん集まっていく。それを確認した私は、一度魔力を回復させるため、しばらくの間ラビィと遊ぶことにした。もちろんそのタイミングで、ラビィにお礼を忘れずに伝える。
そうしていたら気づいたら夕飯時だった。だけど、ずっと戯れていたこともあり腕輪からファンファーレが鳴り響いた。腕輪を見てみると、ラビィとの親密度が100%となっている。それを確認したあとギルドカードを確認してみることにする。
--------------------------------------------
冒険者ランク:F
名前:くるみ
年齢:17
種族:人
属性:木・光・召喚
武器:杖
称号:Aランク冒険者の弟子、ジェミニの加護
--------------------------------------------
となっていた。それを見て知ったのは召喚って属性扱いなんだということだった。
夕方ということもあってカールがやってきた。
「無事に召喚魔法使えるようになったみたいだね」
「はい、おかげさまで」
「それじゃ、試しに使ってみるといい」
カールの言葉に従い【送喚】を発動した。すると、ラビィの足元に魔法陣が現れラビィが消えた。その後【召喚】を使いラビィを召喚して見せた。
「うん、大丈夫そうだね。それじゃ魔力の効率化の方も頑張ってね」
そういって夕飯をおいて帰っていった。
なんとか定期更新が出来ている




