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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
3章「特訓」
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防御特訓_2

「えっ!?」


その動作を見たときに私は嫌な予感がした。そしてまもなくその嫌な予感が現実となる。

「バシュッ」

という音がして腕が切り離された。そのまま切り離されては腕が私の方に飛んできた。そのため、私は横に飛んだ。今まで私がいたところで爆発が発生する。背後で爆発したことにより背中で爆風を受けた。


「うわぁ、つうぅ」

「くーねぇ大丈夫?」

「うん、なんとか」


 腕を切り飛ばしたストーンゴーレムは、再度周囲から土を集め再度腕を形成し始めた。それを確認しつつこちらも体制を立て直す。そのあいだにも、着実に周囲の土が集まっていく。だが本来の素材と違うからかいつもの倍以上の時間をかけ修復されていく。


「なるほど、魔導玉ごとに素材が決まってるんだ」

「みたいだね。この感じだとさっきのロケットパンチのあとに少し落ち着けそうだね」

「あれまた受けたくないなぁ」


 さっきの通称ロケットパンチの感想について、三者三様の意見が飛び交った。そう話していると、ストーンゴーレムも修復が終わったようで私たちに向け再び拳を振り下ろしてきた。その拳を私たちは散開することにより躱したが最初と同じように周囲に礫が散らばることはなく、逆にゴーレムの腕が潰れあたりに土が飛び散った。


「ちょっとストップ。ミール一旦中止」

「りょ~か~い」


そう言ってカールとミールが出てきて一瞬にしてストーンゴーレムを倒した。


「どうしたの?」

「いやぁ、予想以上にダメな状態だった」

「腕が使い物にならなくなると思わなかった」

「そういうこと」

「じゃぁ場所移動するよ」

「【転移】」


ミールが転移することで私たちの周りは草原地帯から山の麓の岩場に移り変わった。そのまま少しすると空からふわふわと魔導玉が降りてきた。そのまま周囲の石を集め始め再び人型となった。


そこからは草原地帯で戦っていた時と同じように攻撃を回避していると再びロケットパンチの構えを取る。そのまま先ほどと同じように私目掛け拳が飛んでくる。その拳に対し、セイントシールド張り着弾時の爆風が、あたりに飛び散るのを防ぐ。だが爆風の威力が高くセイントシールドにヒビが入るが、逆にいえばそこまでだった。


 そのままセイントシールドを使いつつ、ロケットパンチを防ぎ続け、夕方になる頃やっと雷が落ちてきて、ストーンゴーレムが動きを止めた。


「やっと終わった」

「なにげに攻撃の余波交わすのが一番大変だった」

「そうだね。ほぼ半日かかったからね」

「お疲れ、どうだった?」

「あぁ、ミール」

「大変でした」

「あれで大体折り返しだよ。あのランクでは比較的遅いほうだし・・・って、なんでそんなにげんなりしてるの?」


カールのこれでも遅い方発言に対した、感想が顔に出ていたようでカールが呆れた顔して問てきた。


「だってアレで一番遅いって」

「まぁ、ゴーレムの中で一番遅いよ。それにDランクの中で見ても遅いことにはかわりないし」

「それにこのあたりから、魔物の中でも魔力操作が洗練されてくるしね」

「えっ、ていうことはあの時ダークブレード壊れたのにも関係あるの?」

「あぁ、そのこと」

「君たちの師匠に聞いてない?」

「??」

「あぁ、もしかして光と闇の後出しの権利?」

「そうそう、それだよ」

「良かったちゃんと伝えてて」


 ミールとカールが、以前ミントさんに教えてもらった光と闇の後出しのことについて知っているか聞いてきたようだ。それを聞いたしずくは頭に「?」を浮かべているが、私は少し悩んだあと思い出した。そのことをカールとミールに伝えると二人はホッとしていた。

(ミントさんの重要なことを伝え忘れるのって神のあいだでも普通なのだろうか)

そんなことを考えているとミールが提案してくる


「じゃぁ、試しにしずく、私に斬りかかってみて」

「えっ、いいの?」

「大丈夫、しずくの攻撃なんて痛くも痒くもないから」

「でも魔力使えないんじゃ」

「大丈夫、今だけは使えるようにしておいたから。さぁへなちょこ攻撃やってみてきなさい」

「いったなぁ」


そうしずくは食って掛かりダークブレードを使いミールへ斬りかかった。だが私は内心ミールへのダメージはないんだろうなと思いつつ、二人を止めずに成り行きを見守った。そんな様子にカールは不満だったようで、私を一瞥したあとしずくとミールの間に、漆黒の短刀を挟み込んだ。

その直後、短刀が白く光ったと思うと、しずくのダークブレードが折れる。


「くるみは気づいてるみたいだけど、その属性で作った剣に反属性の魔力を流して脆くしてる感じだね」

「口では簡単に聞こえるけどそれって相当難しいよね」

「そうでもないよ。私もできるし」

「それってどれぐらいかかったの?」

「そうだねぇ、大体100年ぐらいだったかな」

「うん、一生かかってもできるような技術ではないことはわかった」

「まぁ、あの二人はいつものことだから置いとくとして、くるみなんで止めようとしなかったの?」

「どうせ防がれることもわかってたし」

「でもしずくに危害が出るっていうことは、考えなかったの?」

「えっ、だって今までもそういうことなかったし。それに二人なら危害加える気ならいつでも出来るでしょ?」

「まぁ、そうだけど、その考えは直さないとね」

「そうだね、君が思っているほどにここは優しくない」


そう私に忠告だけして二人は帰っていった。そのあとは、普通に夕食を食べ2日目は終了となった。


「う~、暑い」


3日目起きると昨晩寝た岩場地帯ではなく砂浜だった。そして近くにはカールとミールがいた。


「さて、こんな具合に寝ている時も相手を動かしたりできるから気をつけてね」

「さいあく、いかがわしいことされるかもよ」

「えっ!?」


その言葉に驚いて私は自分の体の状況を確かめるように見える範囲で身だしなみ等を確認した。だけど砂浜で寝てたことで、所々に砂が付いている意外、問題はなかった。そうしているとしずくとミラも起き始め、今日の訓練が開始される。


「うぇ~、どこここ?」

「ここは、砂浜だよ」

「口の中じゃりじゃりする」


 そう言いながらしずくは、つばと一緒に口の中に入った砂を吐き出していた。そんな時、海から何かが飛び出してくる。それにいち早く察知したのは、会話に混ざっていなかったミラで、短剣で攻撃を逸した。

 ミラが逸した攻撃を見てみるとそこには、カジキマグロを小魚にしたような小さな魚が砂場に刺さっていた。


 ミラが弾いた後から、小さなカジキマグロ(後にアローフィッシュとわかる)が間断なく私たちに向け突撃してくる。それをしずくは短刀と刀の二刀流、ミラは短剣、私はライトシールドに当てることで防いでいた。だけど、しずくたちは安定しているが私は1発ごとに、ライトシールドが壊されてしまっている。それを見かねたのか今までと違い、少し角度のついた盾が私の前に現れた。


「盾っていうのは、本来受けるためのものじゃなく受け流すためのものだよ」

「だから本来盾は、中央が一番高くなっている」


そう説明しながら、私にめがけ飛び込んでくるアローフィッシュが捌かれている。


「それじゃ、また一人でがんばって」


そう言い残し、カールとミールは観戦に戻った。

(カールとミールって忙しいって言っておきながら意外と暇なのかな)

そんなどうでもいいことを考えつつ特訓は再開された。


 その後、しばらくしてしずくとミラへはアローフィッシュが出てこなくなった。だけど、私のところには今まで同じぐらいの量のアローフィッシュができている。それを、ライトシールドとセイントシールドの形に斜面を付けたことにより、盾のもちも良くなった。

「パリンっ」

けど少し気を抜くとすぐに壊れてしまうけど。


「はぁはぁ【ライト・・・・シールド・・・】」


日も暮れ始めた頃、私の体力と魔力も限界に達し、気を失ったように眠ったしまった。


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