特訓の合間に
ゲームと読みがメインになってストックが尽きそう
私たちがやったことの危険性を見せつけられた私たちは、有無を言わさず帰された。帰される直後に、明日は休みだからゆっくりするといいよと言われたので、それを夕飯時にミラへ教えてあげた。
まぁ、夕飯にもカールたちは来ていたのだが。
「なんでいるの?」
「その言い方ひどくない?」
「私は別に構いませんよ、カール様とミール様のご飯作るのは苦じゃありませんので」
「まぁ、多少増えるぐらいたいしたことないよね」
「くるみ様の言うとおりです。そこまで大変ではないので」
そう言っていたが、なかなか様付けになれない。カールとミールが夕飯に来た際、ミラへ明日休みだから自由にするといいというと楽しい(?)夕飯は終わりを告げた。そのまま私たちは数日ぶりのお風呂に入り眠りについた。
翌日目が覚めると、既にお昼になっていた。しずくは私を抱き枕にしていたようで、私に抱きついた状態で顔を見ていた。
そこへアルヘナが部屋に入ってくる。
「おはようございます。くるみ様、しずく様」
「おはようアルヘナ」
「アルヘナちゃんおはよう。ところでミラちゃんとラビィは?」
私たちはそれぞれアルヘナへ挨拶し今この場にいないミラとラビィについて聞いてみた。
「ミラさん達なら軽く体動かしてくるといって外に出ていかれました」
「う~ん、この時間だと狩りに行ったのかな?」
「どうだろう」
そんな話をしていると「く~」と可愛らしい音が聞こえてくる。なんの音かと思い、しずくに聞いてみようと振り向いてみると、顔を赤くしお腹を抑えているしずくがいた。
「昼食もできているのでどうぞ」
そう言い残し、アルヘナは部屋を出て行ってしまった。
この日の私たちの予定は、ここポルックスで色々と買い物に出かけるのが今日の目的なので、昼食を食べたあと必要最低限の武装だけしてしずくと一緒に街へ繰り出した。
「ん~っ、こうしてくーねぇと二人きりになるのステラシオンに来て初めてだね」
「確かにそうだね。でもどうしたの突然」
「うん、ちょっとね」
私としずくは、オープンカフェでパフェを食べながらここにきたときのことを思い出していく。
「こっちに来てからいろんなことあったよね」
「うん、いきなりホーンラビットに襲われて」
「ミラちゃんに助けられて」
「ミントさんに戦いのいろはを教えてもらって」
私たちは、お互いにこっちにきたときのことをそれぞれ口にしていく。その過程で、懐かしく思いつつもつぶやくのは止まらない。
「美香と優は元気にしてるかな?」
「そうだね、こっちに飛ばされてもうそろそろひと月かになるね」
「もう学校始まっちゃうのか」
「そっか、そんな時期か。こっちに来て感覚少し狂ってきてるな」
「まだひと月といえどドタバタしてたからね」
「くーねぇ淋しい?」
「どうしたの、しずくいきなり」
「だって、くーねぇ泣いてるから」
「えっ」
しずくに言われて私は初めて涙を流していることに気づいた。しずくが近くにいてくれるといえど、元の世界には友人たちもいた。それを思い返したから無意識に涙が出たのだろう。そんな私の手をしずくがギュッと握ってくれた。
「戻ったらあの二人に聞いてみよう。もしかしたら時間ごと戻れるかもしれないし」
「そうだねしずく」
「くーねぇがさみしい顔してるとぼくもさみしいし」
「ごめんね、しずく。・・・・・さてちょっとお買いものにも行こうか」
「うん!!」
私はしずくの手を握り返しカフェをあとにした。しずくにどこ行きたいか聞いてみると武器屋と元気よく答えてくれる。なので、大通りを歩きながら武器屋を探してみると思いのほかあっさり見つかった。
カランコロン
「嬢ちゃん達いらっしゃい」
「こんにちは」
「おじさん、刀とかる?」
「あぁ、数少ないがあるぞ」
「見せて」
「いいぞこっちだ」
そう言って、武器屋のおっちゃんが刀が置いてある棚の近くに案内してくれた。案内してもらったしずくは、普段使っている長さの半分ぐらいの刀を見ていた。
「しずく、短いけどそれ使うの」
「うん、昨日使った魔法用に短いのもほしいなって」
「そうなんだ、私もちょっと探してみようかな」
「そっちの子もなんか買うのか?」
「あぁはい、短杖ってどんなのありますか?」
「短杖かちょっとこっちに来てくれ」
短杖が置いてある場所へ案内してくれたので、私は使いやすそうなものを探してみることにした。10分程、置いてある商品を見てみても残念ながら気に入るものはなかった。
「う~ん、これといって気にいるのないな」
「そうか、それは残念だな、そっちの子はどうだ?」
「そうだね。・・・ぼくはこれください」
しずくは普段使ってる半分ぐらいの長さで刀身が黒っぽい刀を選んでいた。
「ほう、嬢ちゃん闇魔法は使えるのかい?」
「うん、使えるよ」
「それならいい目利きだ。これは鉄と黒鉱石を半々の合金で打った刀だ。比較的いい商品の代わりに値が張るぞ」
「どれぐらい?」
「そうだな、ざっと大銀貨2枚といったところだ」
「くーねぇ、買っていい?」
「そうだね、まぁ、無駄遣いというわけでもないからいいかな」
「よっしゃ、おっちゃん買った」
しずくはそう言って、大銀貨2枚をカウンターに置いた。それをおっちゃんが受け取ったのを確認した後、私たちはお店をあとにした。武器屋から外に出ると、ミラがこちらに歩いてくるのが見えたので声をかけることにした。
「ミラちゃんおかえり」
「ただいま、二人はデート?」
「そうだよ」
「じゃぁ、私たちは邪魔しちゃ悪いから先戻ってる」
「きゅい」
そう言って、先に現在の宿として使わしてもらっている教会に戻ろうとしたがしずくが呼び止めた。
「ねぇ、ミラ。これから道具屋行くんだけどくる?」
「う~ん、邪魔にならない?」
「別に構わないよ」
私も問題ないので頷いて返答すると、ミラも付いてくることになった。ミラも矢の備蓄が少なlくなってきていたのでちょうど良かったみたい。道具屋ではそれぞれの消耗品を購入したあとミラと一緒に再度武器屋に行くことになった。
武器屋のおっちゃんは最初驚いた顔をしていたが、今回は3人と1匹だったことによりさっきと同じように接客してくれた。そこでミラは緊急時に使っている短剣や弓などを確認した後、今まで使ってるのと似たような短剣を買っていた。
一通り買い物も終わった私たちは、雑貨屋に入り適当にお菓子を買ったあと教会に帰った。
『ただいま』
「きゅきゅききゅ」
「皆様お帰りなさいませ」
「アルヘナちゃんただいま」
とそれぞれが出迎えてくれたアルヘナへ挨拶した。そのあとは、昨晩と同じように夕飯を食べたあと買ってきたお菓子と赤茶でティータイムとした。
「おっ、これ美味しいね」
「美味しい、もう一枚も~らい~」
「明日からは防御の練習でいいんですよね?」
「もぐもぐ、うん、そうだよ。明日は比較的攻撃してくる世界にするから気をつけてね」
「あぁ~、こっちのも美味しい」
「あぁミールそれぼくが狙ってたのに」
「へへ~んさっさと食べないのが悪いんだよ」
「それで、なんでお二人がまたいらしてるのですか?」
「|ふぃふぁふぁっふぁふぁら?《いちゃダメだった》」
「ミール、しゃべるか食べるかどっちかに。それでさっきの質問だね。普段からもこれるんだけどくるみたちがいないとどうも堅苦しくなるんだよ」
そりゃそうでしょ。周りのみんなも緊張するよ。そんな話をしながら今晩のお茶会はお開きとなった。明日は、また地獄の特訓 防御編が開始されるので憂鬱に思いつつしずくと同じ布団に入ったら安心して寝てしまった。




