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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
3章「特訓」
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攻撃特訓_2

 私たちは、この世界で一番目立っている大きな山に向け移動しているが、会う魔物がゴブリンだけとなにも代わり映えしない状況だった。


「もうゴブリンばっかりで飽きた~」

「まぁしずくの言っていることもわかる気がする」


 しずくの愚痴にミラが賛同した。確かに私も元から一撃で倒せているゴブリンだけだと、あまり緊張感を保つことが出来ていない。そんな時、正面に今までで一番苦戦を強いられた魔物が姿を現した。奴は前に会った時と同様に鉄の鎧と兜、剣、盾を装備したゴブリン。


そう、以前洞窟内で戦ったゴブリンソルジャーが草原の真ん中を歩いていた。


「強いの発見」

「しずく、ちょっと待って」

「なに?くーねぇ」

「あの時は苦戦したから言うけど1撃で倒せる自信あるの?」

「うっ、ない、でもやってみないと」

「確かにそうだけど、無理な可能性もあること認識しておいてくれればいいよ」

「うん」


 しずくは、大きく頷いてからゴブリンソルジャーへと駆けていく。そのまま持っている刀を横なぎで振るったが、予想通りゴブリンソルジャーの盾で防がれてしまう。そのまま、何度か刀を振るったが全て盾で防がれるか切り傷をつける程度。切り傷ぐらいなら世界のルールで、すぐに回復してしまい意味を持たない。最初のルール説明で見せてくれたように、腕を切断しても意味をなさないから足を切断して動きを封じたりもできない。なのでしずくはおとなしくこちらに一度戻ってきた。


「う~ん、やっぱり一撃は難しいな」

「おかえりしずく。予想通り何か考えないといけないね」

「少し作戦会議しようか」


そうして私たちはゴブリンソルジャーを一撃で倒すための作戦会議を開始した。

その結果、出てきた方法としてはゴブリンソルジャーの装備を全て剥ぎ取ってから、目や首といった急所に全力で攻撃を叩き込むというものだった。

ここで一番の問題となるのは盾の存在で、そこは私が前回使ったしなるソーラーレイでなんとかすることになった。


「さぁて、あれ以来出来ていないんだよね」

「そうだね」

「くるみ、魔法はイメージが大事って習ったと思うけど、実際あの時どうイメージした?」

「それがしずく助けるのにいっぱいいっぱいでよく覚えてないんだ」

「じゃぁ、また僕がピンチになったらまた使えるかもしれないね」


そうしずくが提案してくれたがそれを私とミラが反対する。


『それはダメ』

「あの時はたまたまうまくいったけど今回もうまくいくとは限らない」

「そうだよ、それにしずくが危険にさらされるのは嫌かな」

「む~、くーねぇがそう言うなら諦めるよ」

「それより、別な魔法として確率したほうがいい」

「やっぱりそうだよね、実際ソーラーレイは1直線の攻撃で躱されやすいし」


そういう話し合いの結果になり再度ゴブリンソルジャーと対峙することになった。


 先の話し合いで、新たに作ることにしたソーラレイの派生として作り出した、ソーラーウィップは想定通りにムチ状になった。だけどあの時と同じように盾に巻きつけて盾を無力化することができないでいる。

(やっぱりあの時は運が良かっただけか)

 そのまま、ソーラーウィップで盾を打ち続けるだけとなってしまっている。もう少しムチの練習が必要になりそうだ。


「集合~」


私は、このままだとらちがあかないと思い再度みんなを集めた。


「さてどうしようか。私のムチがもう少し使い慣れればやりようがあったけど」

「そうだね、ぼく達も新しい魔法使えればいいんだけどね」

「おやおや~、お困りのようだね」

「困ってるね~」

「カール様、ミール様。戻られたのでは?」

「どうせ暇でずっと見てたんでしょ?」

「おやぁ、しずくは察しがいいね~。どうせ戻っても暇だし」

「ミール、君が暇なのは仕事の大半を僕に押し付けてるからだろう」


カールが呆れながらミールに苦言を呈した。ミールは「てへへ」と言いながら頭を書いている。


「さて話を戻すけど」

「戻すような話もないよね。あたっ」


カールの発言にミールが茶々を入れたのが原因で、カールにげんこつを落とされていた。


「こいつに構っていたらいつまでも話進まないからすすめるけど、君たちってそれぞれの魔法の使い方とか理解してる?」

「こいつ扱いっていひどい。しくしく」

「そこまで気にしてない」

「気にしたほうがいいよ、それだけで魔法の発想にはなるから。じゃぁね」

「しくしk・・うぇ」


それだけ言い残して口だけでしくしく言いながら、泣き真似(?)をしているミールの来ている服の襟を持ち引っ張っていった。その時にミールが変なうめき声を上げていたのは聞かなかったことにしてあげよう。


 その後、私たちはそれぞの魔法の使い方を見せることにした。私は指先と杖から半々ぐらいで、ミラとしずくが手のひらからという結果になった。これを見たしずくは、武器からも魔法を出せるということに驚いていた。

武器から魔法を出すことで新しい魔法を思いつたようだ。


「よし、これならいける気がする!」

「確かに切れ味良さそう」

「しずく、がんばって」


 しずくが自信を持って、ミラが感心して、私は純粋に応援で声を出した。いましずくの手には以前、襲撃者に折られた刀が握られている。その先端は折れているわけでなく、闇の魔力でできた刀身が出来上がっていた。闇の刀を持ちゴブリンソルジャーへ駆けていっく。


「ていっ!」


 しずくが、気合を入れて手に持った闇の刀を首めがけ横に薙いだ。それに合わせゴブリンソルジャーが盾で防ごうとしたが、防ぐことができず盾ごとゴブリンソルジャーの首ごと切り裂いた。その一撃によりゴブリンソルジャーを倒しきることができた。


 空を見てみると既に夕方だった。そのまま、しずくが影の中に格納していたホーンラビットの死体(食べかけ)を取り出し料理を始める。火はいつものように威力を抑えたソーラーレイで確保。しずくとミラは匂いにおびき出された魔物を狩っていた。


「よし、夕飯もできたししずく、ミラちゃんそれ倒し終わったら夕飯にしよう?」

『はーい』


魔物の相手をしていたしずくたちに声をかけて二人が戻ってくるのを待っていることにした。


「くーねぇ、大収穫!!」


 待っているとしずくが嬉しそうに座って待っていた私に、飛び込んできたので受け止めきれず芝生の上に倒れてしまった。


「しずく、危ない」

「あぁ、ごめんなさい。でもくーねぇほら鶏肉」

「おぉ、これで作れる料理が増える」


 そう言ってしずくは、足が異様に発達した鶏のようなものを出してきた。頭はしずくが倒したようでキレイに切断されていてよくわからない。後ろから来たミラには聞いていみると、この魔物はコッケイっていう鳥型の魔物で、大陸の方に住んでいる弱い魔物のようだ。

 なんでも、飛べないのに日々ジャンプして羽をパタパタしている姿が、滑稽だったからこの名前になったという。

 そして、お肉はふたご島では珍しいけど大陸ではメジャーなお肉になっているらしい。ここら辺で言うところのホーンラビットのお肉といったところだ。


「それなら、明日はコッケイの肉で何か作ろうか」

「やった~♪」


しずくは、喜びの声を上げたが一方ミラは少し不安そうな顔をしていた。


「ミラちゃん、鶏肉苦手?」

「いや、そういうわけじゃないけど、しずくと防衛していた時、予想以上に魔物多かったから少し気になって」

「まぁ、大丈夫だよ」

「確かに魔物多いと休めないかもしれないからちょっと気にしないとだね」


 しずくは、楽観的だったけど私としては充分な休息が取れないことが昨晩の夢につながっており、少し心配になっていた。

だけどしずくの「お腹すいた~」には、勝てず一旦考えを脇に置いておいて食事にすることにした。


----------ミール視点-----------

 私は寝転がりながらしずくたちの動向を見ていた。

(お兄ちゃんは今もせっせか仕事をこなしているから正直暇だなぁ)

その時に違和感を感じて、今日作り出した世界の設計を見てみると重大な欠点に気づいた、なのですぐにカールに声をかけて今後どうするかを練ることにした。


「あぁ、カールちょっと面倒な設計が出来上がってる」

「なぁ、ミールもう少しこっちのことも手伝ってくれないかな」


 そうぼやきながらも、カールはミールの手元を確認し眉間に皺を作った。そこには時間が経つことにより、魔物が凶暴化するようになっていた。


「これ前に、暇つぶし用の世界の設定が有効になっていたか」

「でもここまで根幹だと今から修正できないよね」

「無理だね、まぁ常時リカバリーだから死ぬことはないでしょ。寝れないかもしれないけど」

「まぁ、そうだね。それに寝たかったら何か考えるでしょ」


そう言ってカールは、仕事の続きに私は再びしずく達の観戦に戻った。

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