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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
3章「特訓」
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特訓の概要

今回少し短めです。

「みなさん、ご夕飯の準備が整いました。どうぞこちらへ」


 私たちがカールと話していると、アルヘナが戻ってきて夕飯ができたと伝えてくれる。私たちはアルヘナに案内され協会の奥にある食堂へと通された。食堂に到着しそれぞれ思いもいの場所に座るときれいに私たちのパーティとカール、ミール、アルヘナに別れた。


「じゃあ、本題に入ろうか。明日からくるみとしずく、ミラ、ラビィには特訓を受けてもらう」

「地獄の特訓だよ」

「地獄の特訓って何させる気なんですか」

「やってもらうことはひたすら攻撃、ひたすら防御、個人課題の3つなんだけどどれからやりたい」

「ちなみにそれぞれ1日で仕上げる」

『えっ!!』

「いやいや、それはさすがに無理でしょ」


 さすがのむちゃぶりに私たちは絶句した。そのあと私だけ無理と明言する。ただし、しずくとミラはできるというより、あんまりの発言に、未だに呆気にとられている状況なだけだ。

一方そんな私たちを見て、カールは苦笑していたがミールは楽しそうに笑っている。


「あははは、そりゃ無理だよ。そこは私たちが何とかするところ」

「ミール笑いすぎ。でもミールの言うとおり1日でするのは無理だが1日のうちに複数日の経験を積ませることはできる」

「それって安全なんですか?」

「安全かどうかで言うと・・・」

「ミールいつまで笑ってるの。いきなりあんなこと言われたら誰でもびっくりするでしょ」

「なにおう、普通に考えれば無理ってわかるじゃん」

「そんなこと言うならこのお肉もらい」

「あぁ、しずく。私の肉取った!」


 意識が戻ってきたしずくが、未だに笑っているミールに食ってかかるが、ミールはいつもどおりあっけらかんとしてそんなの無理と言い切る。それに対し、しずくの気に障ったようで、ミールの前に置かれた骨付き肉を1本取っていってしまう。それをミールが、目に涙を溜めて訴えてくる。そんな二人の言い争いの声が少しづつ大きくなってくる。


「あんたらは毎度毎度。食事中ぐらい喧嘩しないで出来ないのかな」

『っ!?』


 私がにっこり笑って二人に言うと、言い争っていたしずくとミールはピタリと言い争いをやめた。そして、原因はしずくがお肉をとったことのため、私の骨付き肉を1つミールのお皿に移してあげた。


「あ・・ありがとう・・」

「どういたしまして。それじゃ、カール話の続きに戻りましょう」

「そうだね。今回の手法によるデメリットだけど、少しの間時間の感覚が狂うことかな。あとは死なないように気をつけてくれればいいよ」

「それなら大丈夫そうだね」

「カール様、個人特訓ってどのようなことを」


 私たちが話しているところにミラが質問を投げかけてくる。質問を受けたカールは、頷きつつその質問に対し答えていく。


「そうだね、順番に行こうと思うが、その前に僕から質問だ。くるみたちのパーティの斥候はミラでいいのかな?」

「はい、武器で見ても私の方がいいと思います」

「そうだね。罠外している時に襲われたりって考えると、ミラのほうがいいだろうね」

「それなら、個人特訓はくるみちゃんは召喚魔法の習得と魔力量の増加・運用率上昇。しずくちゃんは多人数戦の向上。ミラちゃんが罠外しの練習。あとは攻撃防御訓練中の問題点を入れる予定だよ」

「じゃあ攻撃防御訓練っていうのは?」

「その二つは簡単だ。ひたすら敵に攻撃もしくは防御し続ければいい」


 個別特訓とは裏腹に攻撃防御特訓はとてもざっくりした説明だった。それを聞いたミラは、頷きつつ食事を再開した。しずくとミールは、私に怒られないようにおとなしく食事をしている。アルヘナちゃんは緊張した面持ちで食事に集中しているようだった。


「よし、小難しい話はここまでだ、あとは普通に雑談としようじゃないか」

「そうですね」

「ねぇねぇ、もうお話し終わった?もううるさくしていい?」


そう私に訪ねてきたのは予想外にミールだった。以前の傲慢っぷりはどこに行ったのやら。


「別に周りの会話に邪魔にならないようなら話しててもいいんだよ。現に私たちだけで食べてる時も結構話してるし」

「そうだったんだ」


 ミールはそう呟いてホッと一息をついている。そんなミールを、珍しいのを見たというふうな顔で、カールが眺めていた。


「そうだ、ごはんになる前にアルヘナから聞いたんだけど、なんでこんな隅っこに教会があるの?」

「あぁそのこと、実は―――――」

「ミールがうるさいから郊外に追いやられた?」


 カールが説明をはじめようとしたところで、質問した張本人のしずくが予想を述べた。それを聞いたミールは不服そうだが、カールがミールの前に手を出すことで、反論しないように制している。


「実はね、アルヘナのいうことはあながち間違ってないんだ」

「そうなの?」

「うん、僕とミールは縄張り意識がとても強いからね。だから外部の神が入ってきたり、許可なくこの島にやてきた場合容赦はしないよ」


そう言ってにこりとカールは笑っていた。その笑顔をみたミラがビクっとしている。何か心あたりがあるのだろうか。


「あぁ、ミラとは以前にちょっとね」

「何があったのか気になるけど聞かない方が良さそうだね」


私の発言に、ミラがコクコクと激しく頷いていた。そのあと、ミラはアルヘナと会話していた。それと、なんでもここら辺に建物がないのは、近くに家があると壊したくなってしまうようだ。主にミールが。

 そのあとは、私とカールが妹の世話話、ミラとアルヘナがここら辺での甘味処の話、しずくとミールがどれだけ、姉または兄を好いているかの話をしていた。それを横で聞かされている私とカールは、少し顔が熱くなった。その中でお風呂の話を紹介しよう。


「ねぇ、ミール。お風呂ってやっぱり、カールと入ってるの?」

「もちろん、もうカールに髪とか洗ってもらうのが日常だよ」

「へぇ、でも男女で一緒にお風呂っていかがわしいよね」

「べつにいいじゃん。恋人同士が一緒にお風呂に入るなんて当然って思わないしずく」

「あぁ、言われてみれば確かに普通かも」


 横で二人の話を聞いていた私は、なんでそこで納得するのかなと思いつつ、二人の話には入らないことにした。


「それにしても、ミールって相当のブラコンだよね」

「あら、そう言うしずくだって相当のシスコンじゃない」

「やっぱり私たちってにたものどうしなのかも」


そう言ってひしっと握手していた。


 食事が終わり私たちは、お風呂に入り明日に備え早めに休むことにした。カール達はお風呂から上がった後に帰っていった。



 その夜。私は7日間ずっと見たこともないモンスターたちと戦い続ける夢を見た。それを夢と認識すると目が覚めた。今まで寝ていたのにもかかわらず、疲れが増した気がする。瞼を開けていられず重力に従って再び瞼を閉じる。瞼を閉じるとすぐに泥に沈むように深い眠りについた。


翌日ラビィにお腹をけられながら目を覚ますまで夢を見ることはなかった。

その日は、とっても嫌な予感を感じつつ朝食を終えしずくたちと一緒に、協会の中庭に移動する。そこには今までとは空気の違うカールとミールの二人が待っていた。


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[一言] しずくとミール、仲良き事は美しき哉(汗)
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