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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
2章「魔物の巣窟」
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祝勝会と不穏な影

これで第2章終了です。

前話でも書きましたが明日も更新します。

 看護師さんに追い出されるようにして病院を出た私たちはその足で冒険者ギルドへ行くことにした。

冒険者ギルドへ入るとそこはどんちゃん騒ぎだ。私たちは何がどうなっているのかわからずギルドカウンターへまず行くことした。


「こんばんは。この騒ぎなんなんですか?」

「こんばんは。ゴブリン掃討作戦成功の祝勝会が2階でやっているんだよ」

「そうですか、なら私たちも少し顔出してきます」

「ちょっと待って、まずギルドカード更新させてね」

「はーい」


私たちはギルド員さんにギルドカードを渡して順に更新してもらう。


「おめでとう、ギルドランク昇格したよ」

「本当ですか!? ありがとうございます」

「これでFランクだね」

「そうだね、よ~しひきつづきがんばるぞ」


しずくとミラのやり取りを見ていたギルド員さんが、微笑みながら様子を見ている。そんなギルド員さんに挨拶し、ギルド2階の食堂区画へと向かう。食堂区画は既に出来上がった大人衆でひどい有様だ。階段を登りきったところで唖然としていると、ミカゲさんが気づいたのかこちらに近づいてきてくれえた。いつも口元を隠しているミカゲさんが口元を隠していなかったので新鮮だ。


「大丈夫?」

「はい、ご迷惑おかけしました」

「問題ない。それで誰にやられたの?少年少女の二人組?」

「そんな人たちいなかったよ。ぼくたち、魔族の少女にやられたんだ。しかも手も足も出ずに」

「そっか、なら彼らの言う通り助けてくれたのかな」


 私たちで話ているとお酒により顔を赤くしたグレンさんがこちらに向かって歩いてくる。そのまま背中を押されて食堂の中央にまで押し込まれてしまった。


「お前ら、今日の功労賞の登場だぞ~」

『ウォ~~~~』

「えっ? えっ?!


食堂一体の状況で私は、ついていけず少しパニックを起こしてしまった。そんなときにいつもお世話になるのは妹のしずくである。


「グレンさん、功労賞ってグレンさんたちじゃないの?」

「あぁ、確かに一番強いのを倒したの俺たちだがお前たち以外は格下の討伐だからな。今回一番頑張ったのはお前たちだ」

「あ・・ありがとうございます」

パチパチパチパチパチパチパチパチ


 しどろもどろになりながら、私はグレンさんに挨拶をした。それに合わせ食堂内から拍手が鳴り響く。そのあと、グレンさんから私たちの武器等を返してもらい、一部のものはしずくの影の中にしまってもらう。

 この時しずくが刀を使っていることに目を付けたグレンさんが今度機会があったら色々教えてやると言ってくれた。

一通り受け取ったあと私たちは、空いている席へと座りそこに届いていた食事を進めていく。そこでゴブリンの巣に行くときに仲良くなったレイカちゃんとカエデちゃんの二人やってきて、5人で話しながら食事を進める。

 5人で楽しく食事をしていると、ラビィの入った籠がもぞもぞと動き出したので、ラビィもこの匂いに釣られ起きたようだ。そのままラビィは、籠から出てきて近くにあったサラダを食べ始めた。

 そんなラビィを誰も邪魔することなく見守っていると、グレンさんがこちらの机に酒瓶を持ってやってきた。


「おう、お前らも飲んでるか~」

「ちょっとグレンこっちに来ないで。お酒臭い」

「そんなこと言うなよ。ほらほら飲め飲め」


カエデちゃんがグレンさんに文句を言っているが、グレンは気にした様子もなく私たちのコップにお酒を注いでいく。ちなみにここだと冒険者登録ができる15歳から成人という扱いとなり飲酒しても問題はない。


「もう、くるみさん達は飲めなかったら無理しなくていいからね」

「OK。でもちょっと飲んでみる」

「私はやめておく」

「私も」


 しずくは、お酒を飲んでみることにしたようで、少しお酒を飲んでみている。私とミラは遠慮した。飲んでみたしずくはというと顔をしかめていた。


「くるみ、無茶して飲んでみるから」

「何だ、お前ら泡麦茶ダメな口か」

「私たちの年齢なら飲めなくても仕方ないでしょ。ほら男はそっち行った行った」


 カエデちゃんがグレンさんの背中を押して他の机へと退場させた。一方しずくは、再度泡麦茶を口に含んでいた。そのまま再度飲み込んで少し顔をしかめている。


「しずく無茶しなくていいよ」

「うん~。もう少し美味しいのとかないのかな」

「そうだね、飲んでみたいなら店員さんに聞いてみようか」


 そうして、ピッチネクターがジュースみたいで飲みやすいという情報を聞けたしずくは、ピッチネクターを頼んでいた。

 そのまま話しながら待っていると、店員さんがピッチネクターを持ってきてくれる。しずくは恐る恐る口をつけて飲んでいる。


「ん!? これ美味しい。本当にジュースみたい」

「しずく、ジュースみたいだからって飲み過ぎたらダメだよ」


 そのまま、しずくがグビグビと飲んでいると、少しづつ目がとろんとしてきて顔も赤くなってきた。そして、私の腕に抱きついてきたり、胸に手を持ってきたりと少しづつスキンシップが過激になってきている。


「あぁ、もう。しずくを宿まで送ってくるから、私たちはここで抜けるね。ミラちゃんはどうする?」

「私はもう少しここで話してから帰る」

「ん、わかった。今日はお疲れ様でした」

『おつかれ~』


 そうして、ミラにお金を渡してから私としずくはギルドを後にした。そのまま宿屋に帰りしずくを引き連れてお風呂に入る。その間に、しずくからキスを強請られたりして少し大変だったけど、なんとかしずくをベットまで連れて行き寝かしつけることに成功した。

(ふ~、一苦労だった。最低限外ではしずくにお酒はダメだな。予想以上にスキンシップが激しすぎる)

そう思っていると、いつもの如くなんの前触れもなく辺りが白を基調とした部屋に一変した。


「やぁ、大丈夫だったようだね」

「お陰様でね。助けてくれてありがとう」

「おやっ、バレていたか」

「なんで気づいたの?」

「突然現れて突然消えるなんてカールたちぐらいしか知らないってだけ」

「なるほど、確かに一理あるね」

「ねぇねぇ、しずくは?」

「しずくは酔っ払ってやっと寝かしたところ」

「そっか」


 そうつぶやいてミールが少しションボリとしていた。前の口喧嘩で大分友好を深めることができていたようでなにより。


「それで、様子を見に来ただけじゃないんでしょ?」

「相変わらずくるみは話が早くて助かるよ。実は君たちを襲った魔族のこととかでちょっとね」

「そう、で魔族どうなったの?」

「結果から言うと逃がした。そして僕たちもあまり表に出れないからくるみたちには早急に身を守れる程度には実力をつけてもらう必要がある。というわけで早くポルックスにある僕たちの祠まで来てね」


それだけ言ってカールとミールは帰っていった。


----------???視点-----------

 夜の海辺の近くにある洞窟の上に一人の魔族の少女が立っていた。

 魔族の少女は今日洞窟で刺された右手を布で巻き、苛立たしげに海に向かって魔法をぶっぱなしている。


「ったく、あのゴブリンどもも使えないな。せっかく知識を与えたのにあっさり死にやがって。まぁ、悪いことばかりでもない低脳な魔物に知識を与えたらどう動くのかの情報は得ることができた」


 そう独り言を言いながら情報をまとめていると近くによってくる人影目に入った。

 人影は警戒しながらこちらに近づいてきており頭にはドクロマークの入ったバンダナをまいている。それを見た魔族の少女は好都合と思い彼に接触を計る。

(今度はある程度知恵のあるやつに知識を与えるとどうなるか様子を見てみるか)


「おい、誰かいるのか」

「私はここいるよ」

「ひっ!」


 海賊が声を出して訪ねた後に、私は彼の後ろから声をかけた。すると男は短い悲鳴を上げた後、そのまま前に倒れ既にしゃべることのできない状態となった。


「【シャドウモンタージュ】これでよし」


 私は、彼の姿をコピーし自分にかぶせて変装し、彼が歩いてきた方向にある海賊のアジトへ向かっていく。


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