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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
2章「魔物の巣窟」
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逃亡

今回は出だしからしずくちゃん視点から開始です。

----------しずく視点-----------

ぼくのところにいたジャッカル2匹をくーねぇに任せてジャッカルリーダへ駆けていく。


「グルルルルルル」

「やぁ、わんこ。さっきは良くもぼくを無視してくーねぇのところに行ってくれたね」


 言葉は、通じないと思いつつぼくは少し怒気を含めた声音ジャッカルリーダに声をかける。ジャッカルリーダもその言葉の意味を理解したのかぼくに向けて吠えた。

ジャッカルリーダは、鳴き声に併せてぼくに腕を振り下ろしてきたが、ぼくはジャッカルリーダの横に回るように走ることによってジャッカルリーダの腕を躱す。地面についた腕をそのまま横に払うことによってぼくの後をおってくる。その腕をジャンプして躱して腕に斬りかかった。

ジャッカルリーダは躱すことはできなかったが距離感を誤ったことにより表皮を切り裂く事しかできなかった。


「ちっ、距離見誤った」


 そのまま地面に着地した。ジャッカルリーダも気にした素振りを見せず後ろに跳んで距離を稼がれてしまった。

「【シャドウバイト】」

 しずくがジャッカルリーダへ即座にシャドウバイトを行ったが着地と同時に横に飛ぶことで回避されてしまう。そのままお互いに決定打のないまま時間が過ぎていくがそれぞれ倒し終えたくーねぇとミラが合流してくれた。


「くーねぇ、ミラそっちは終わったの?」

「終わったよ。こっちは結構苦戦してるのかな?」

「問題ない」

「う~ん攻撃は当てれるけどかすってる感じかな」


 ぼくは素直にくーねぇたちに状況を簡潔に説明していくもちろんそのあいだの警戒も怠らないようにしつつ。ジャッカルリーダも不用意に飛び込んでくることはないがこのまま硬直状態ではない気がするから余計に注意が必要になる。


「ガウッ」

その考えが功をそうしたのかジャッカルリーダの頭上に空気の塊が浮いた。それに気づいたぼくはくーねぇを抱えてジャンプをする。

「うわぁ、なに!?」

 くーねぇの驚いた声が聞こえたけど今は無視して回避するしかない。ラビィもミラが抱えてその場を移動しているから問題ないだろう。そう思い辺りを確認しているとジャッカルリーダの頭上にあった空気の塊が私の後ろに着弾した。

着弾するとあたり一面に防風が吹きすさび週の石や砂などを巻き上げそれに僕たちも巻き込まれてしまう。


「【セイントシールド】」

 くーねぇが咄嗟にセイントシールドを使ってくれたことによってダメージは最小限に抑えることができたが風に振り回されて方向感覚を失ってしまう。そのまま竜巻から外に投げ出されてしまい、地面に向かって頭から落ちていくのをふらふらする頭で認識できた。

(早くどうにかしないと)

ぼくがそう思ったが何も打開策が思いつくこともなくどんどん地面が近づいていく。

「【ガスト】」

するとしたから突風が吹いてきて落下速度が減速し打撲程度で地面につくことができた。


「ありがとう、ミラ。あのワンコは?」

「ジャッカルリーダならあの突風の中どこかに消えた」

「そっかぁ、う~ん周囲にもいなさそうだし逃げられちゃったかな。くーねぇ大丈夫?」


 くーねぇに声をかけてみたが一向に返事が帰ってこないので地面におろしてあげるとくーねぇが気を失っていた。

(あの状況だったから意識が飛んだのかな。抱え方も急いでたから安定してなかったし)

「くるみは少し寝かしておこう。それよりしずくは治療から、傷口から細菌入ったら大変だし」

「うん、そうだね。ラビィいつも悪いけどお願いね」


 ぼくはラビィに回復をお願いするとラビィも気にしないでというように膝をトントンと前足で叩いたあとに回復してくれた。

回復が終わり倒したジャッカルと足を潰したが生きたままとなっているジャッカルを適時処理しながら戻る準備を整えていく。そうしているうちにくーねぇも目を覚ましてミラと一緒にジャッカルの解体をし始めていた。


「ふ~、こんなものかな。くーねぇ大丈夫だった?」

「しずく、大丈夫だよ。ちょっとぐるぐる回されて意識飛んだぐらいだから。逆にしずくが助けてくれないともっとひどいことになってたかもしれないし」

くーねぇがそうフォローしてくれた。

「それにしてもあの最後の攻撃はすごかったね」

「うまいこと地形に影響されて威力が上がったんじゃないかな。多分実際は逃げるための時間稼ぎ程度だったろうし」

「どうしてそう思えるの?」

「だってジャッカルリーダあれ撃ったあとすぐに逃げの体制に入ってた。私はくるみたち助ける為に動く必要あったしラビィも足止めは難しいだろうからおとなしく逃がすことになったけど」

「そっか、なら仕方ないね。命があっただけでも良かったし」

ぼくはミラの言葉に納得しまだ解体ができていない死体や毛皮などを収納していく。

「よし、後片付け終わり。今日は疲れたから帰ろうよ」

ぼくがそう提案するとくーねぇたちも了承の返事をくれたので街へ帰ることにした。


----------くるみ視点----------

帰宅途中にも何匹かのジャッカルに遭遇したが特に苦戦することなく倒しつつ進むことができた。

他にも統率個体がいないからなのかはわからないが1グループあたり2匹~4匹程度だったのも苦戦しなかった理由の一つである。


「ふ~。ただのジャッカルと大分違うね。1度の数も動きも」

「そうだね。戦いやすいよ」

「私も統率個体のことは聞いてたけどここまで違うとは思ってかなった」


 私の感想にしずくが同意してくれた。一方ミラは自分の認識と少し食い違っていたと話してくれた。

帰ったあとは明日戦うゴブリンの対策を話し合うためギルドの2階で夕飯を食べながら決めることにした。

街についてすぐにギルドへ足を向けそのままクエストの報告を行ってから夕飯をとることにする。


「ただいま、戻りました」

「おかえりなさい。どうでした?」

「クエストはなんとかなりましたけど統率個体は倒せませんでしたね」

「一応確認ですが逃がした個体にて傷は与えましたか?」

「何回か切りつけたけど浅く切っただけだよ。すばしっこくてなかなか当てれなかったから」

「でも取り巻きのジャッカルは全部倒せました」


 横からしずくがボスにどのぐらい手傷をおわすことができたかを話した。その説明を私が引き継いで取り巻きは全て倒せたことを告げる。すると受付のお姉さんが少し眉をしかめる。


「それはまずいことになるかもしれませんね」

「なんでですか?」

「多分手傷を負わせたあとに逃がしたのがまずいんじゃないかと」

「えぇ、そのとおりです。詳しく説明させていただきます」


ミラが予想を口にしたあとに受付のお姉さんがミラの予想が正しいことを肯定し説明を始めてくれる。


「実は魔物を取り逃がすの自体あまりいいことじゃないんです。人に傷をつけられたり仲間を殺されたりされると人間に復讐心をもち人間を優先的に狙うようになります」

「それは確かに厄介なことになるかもしれませんね」

「ですけど、今回はボスにはあまり傷を追わせていなかったということもあるので周りには警戒だけはするように伝えておきます」

「ありがとうございます。あとすみませんでした」

「いえいえ、それではギルドカードの更新と報酬の受け渡しさせていただきますね」


 私たちはギルドカードを渡した。機械でギルドカードの更新を済ませてくれたあとに報酬の大銀貨1枚と小銀貨5枚を受け取った。その足でジャッカルの素材売り捌き夕飯をとることにした。

作者のモチベは読者さんの閲覧数やブクマ、評価により支えられています。

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