思わぬ強敵
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森の中でバインドを使いながら順調にゴブリンを狩っていく。ゴブリンは一般では食べることが無いようでゴブリンはその小さな角や爪が取引されているようだ。
なので今は角や爪を剥ぎ取って残った死体はラビィに頼んで穴を掘ってもらい埋めながら進んでいく。
「よし、これでやっと討伐数半分だね」
「そうだね。この調子なら今日中に全部終わるかも」
「ブモォォ」
話しているとそう遠くない位置から動物の鳴き声が聞こえてきた。その声が空耳か確認するため、二人に聞いてみることにした。
「しずく、ミラちゃん今なにか聞こえた?」
「聞こえなかったけど、しずく念のために索敵お願い」
「大丈夫もうしてるから。あぁいるね。そのちょうど正面の木の裏に」
その報告を聞いたと同時に正面の木が「バキッ」という音がして折れた。
「ブモォォォォォォォォォォ」
「【きゅきゅっ】」
ラビィが即座に状況を理解したようで私たちの前に土でできた壁を作り上げる。
「ドン」と魔物が土壁に当たったようで壁にヒビが入る。その音でミラが現状を理解したようで素早く指示を出す。
「散開!各自バインドをいつでもつかるようにしておいて」
私たちはその言葉に従い魔力を練りつつバラバラに動き出す。
私は土壁を迂回し突っ込んできた魔物を確認する。魔物はわかりやすくいえば猪だった。所々に血がついたように赤くなった体毛を持ち大きな牙を2本持っている。体高は1メートルほどある猪だ。
「しずくその猪の足止めて。じゃないと危険」
「わかった。【シャドウバインド】」
しずくはシャドウバインドですべての足にを縛り付けることにより動きを封じることができているが猪の力が強いのかあまり長くは持ちそうにない。
一方ミラは猪の後ろから矢を射っているが有効打にはなっていないようで猪の表皮に刺さっていなかった。しずくの使ったシャドウバインドも既に2本振りほどいていた。このままだと遠くないうちにすべての足についた影蛇がほどけてしまう。
「たぁっ!」
動けないのでしずくが猪の足に刀で切りつけているが有効打をあたえることができておらず表皮を切るだけに留っている。
「かたぁい」
しずくが猪の足の硬さに文句を言う。このままだと猪の足を止めることができないので私もバインドを追加でかけることにする。
「【ライトバインド】からの【ツリーバインド】」
ライトバインドを3重でかけると同時にあたりの木の枝を使って猪の動きを止める。が少しづつバインドが外れていく。
「しずく、これ以上はちょっときついかも」
「わかった」
しずくは刀を一度鞘に収めた。そして刀に今までの倍ほどの魔力を纏わせる。そしてしずく渾身の居合切りが猪の足に当たる。
一瞬刀が止まったように見えたが足の腱に切り傷をつけることに成功した。
腱が切られたことにより猪の動きができなくなったがまだ牙を振り回したり方向を変えたりはできるからまだ油断はできない。
「よし、なんとか切れた。でも切断まではできなかったか」
「ブモォォォォ」
猪が足を切られた痛みにより顔を振り回して辺りを牽制している。
しずくはバックステップで猪から距離を取ることにより致命打を受けるのを防いでいた。
「しずく、グッジョブこれでやりやすくなる」
「これでいいの?」
「うん、こいつに動き回られるよりは断然楽」
ミラが正面にまわって猪の目を狙って攻撃を開始したが猪は顔を動かすことにより矢を牙に当てて攻撃を防いでいる。
「【ソーラ-レイ】」
私はソーラ-レイを猪に向かって使ったが、猪はそれに気づいたようで再び顔を横に動かした。それによりソーラ-レイが牙にあたり牙が宙を舞う。
そのまま私の前に牙が落ちてきて目の前に刺さる。目の前に刺さったのは流石に驚いたがこれで攻撃手段も少なくなった。
「ブモォォォォ!!」
牙をへし折ったのが痛かったのか猪は大層ご立腹のようで私に礫を撃ってくる。
「【ライトシールド】」
私はライトシールドで礫を防ぐ。だけど数が多く完全に防ぎ切ることができず腕や足が礫により切れてしまう。
「【きゅうい】」
ラビィが私に対し回復魔法を使ってくれたようで礫によってできた傷が癒えていく。
「ブモォォォォォォォォォォォ!」
猪が再度礫を撃ってきたので私は新たな魔法を使うことにした。イメージとしては以前襲撃者が使った複数のライトシールドだ。
「【セイントシールド】」
私が使ったセイントシールドにより正面に5枚の盾が作られる。盾に礫が当たっていき無事に防ぎ切ることができたが、魔力を使いすぎてしまい力が抜けてしまう。
そんな私に気づいたしずくが私のもとに駆け寄ってくる。
しずくは私の前に立ち猪と対面する。刀は既に鞘に収めており居合切りをする準備が整っている。
「ラビィ、ぼくの足元からさっきの槍出してもらって思いっきり飛ばしてくれる?」
「きゅい」
ラビィはしずくのお願いに頷くと魔法を行使する。
「【きゅいきゅう】」
鳴き方はホーンラビットに使った石の槍同じ鳴き方だが先端を槍から平に変えたようでそれをしずくの足元に出現させて跳ね飛ばした。
猪も気づいたようでしずくに対し礫を撃ち込んででくる。しずくは致命傷にならない箇所は無視して勢いを殺さないようにしているようだ。致命傷になる礫はミラが空中で矢を撃ち落としているので問題なさそう。そのまま勢いを乗せて猪の正面からしずく渾身の居合切りをしたことにより頭の半分ほどまで切れたが刀はそこで止まってしまう。
だが致命傷には充分で猪は地面に倒れた。しずくも魔力を使いすぎたようで地面に倒れ込むことになる。
ラビィは私を守るために張ってくれた土壁を解きしずくの元に走っていき傷を癒していく。
私はなんとか動ける程度まで魔力が回復したのでしずくのもとに集まることにした。
「ふぅ、なんとかなったね」
「この猪なんなの?すっごく硬かったんだけど」
しずくは猪の途中までしか切ることができなかった刀を抜き血を拭ったあとに刀の刃を確認している。
「あぁ、刃こぼれしてるし。ぼくもまだまだだな」
刀の刃を確認して刃こぼれしていたようだ。しずくは影の中から刀のメンテナンスセットを取り出そうとしていたがミラがそれに待ったをかかける。
「ミラちゃんこの猪ってなんだったの?」
「しずく、メンテナンスは少し待って。ここのままだと親がくるかもしれないから」
「え!? あれ子供だったの?」
「そうだよ。だから早く動き出したほうがいい」
「確かにそうだね。これしまっちゃうね【シャドウガレージ:格納】はやくはやく」
しずくがシャドウガレージで猪を影にしまって私たちは急いでこの場所を移動することにする。
「しずく、近くに敵っている?」
「いるよ、右側の先に」
しずくが敵のいる箇所を教えてくれたので私たちは急いでまっすぐに進んでいく。
「ブモォォォォォォォォ」
さっきの猪以上に大きな声をあげてさっきより大きい大人の猪がさっき私たちが戦っていた場所に突撃をしていく。
「【フェイクツリー】」
私はあたりの木を使ってブラッドボアと私たちのあいだに木を密集させることで私たちを見えないようにする。
一方猪は辺りの木々をなぎ倒している。このままだと間違いなくバレるのでいそいそと移動していく。
しばらく進んでいくとブラッドボアが木をなぎ倒す音が聞こえなくなったので私たちは緊張を解きその場にヘタリ込むのだった。




