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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
1章「冒険の始まりと冒険者登録」
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閑話 ミントの旅立ち

少し短めです。

これは、くるみたちが旅に出る前日の夜のことだった。


辺りが光に包まれて今までいた書庫から白い部屋へ変わっていた。


「やぁ、久しぶりだねミント」

「久しぶり~」


ミントの前にカールとミールがやって来る。

それに気づいたミントはこれといって戸惑うこともなく丁寧に一礼してから口を開いた。


「おやおや、カール様とミール様ではないですか。矮小ないちハーフエルフになんの御用でしょうか」


ミントがおどけたようにカールとミールに挨拶をした。


「適当な敬語はしなくていいよ。どうせ君は僕たちとほぼ同格なんだから」

「そうそう、それに矮小なハーフエルフじゃないよねあんた。500歳オーバのハーフエルフなんて聞いたことないよ」


ふたご神がそれぞれミントに苦言を呈している。


「それにユカの後継者に一番近いでしょ?」

「そうそうあと何体残ってるの?」

「それじゃお言葉に甘えようか。あいつの試練なら、あとSSクラスの相手1体といったところだな」


 ユカとは射手座の神の名前でありカールとミールと同格の存在である。彼女は、狩猟を好んでおり目を付けた相手に適当な強敵を試練と言って与えてくる少し困った神様だ。ミントはその試練の相手を討伐し続けたことにより後継者まであと一息のところまで来ていた。


「それで私になんのようだ。ユカじゃなくお前たちが来るということは相応の用事だろう?」


ミントが少し訝しげにここに来た理由を確認する。


「そうだね。実は、ミュセルを助けてやって欲しいんだ」

「本当はくるみちゃんたちにお願いしてたんだけどね」

「何?それは本気で言っているのか?」


その言葉にミントは警戒をあらわにしてふたご神に問い返した。


「本気だよ。まだ二人にはある少女としか言ってないけど」

「これ自体はね~。スーさんからの直接の依頼だね」

「そのスーさんっていうのは誰のことだ!?」


ミントが初めて聞く名前について聞いてみることにした。


「スーさんといってるけど実際はスリザのことだよ」

「スーさんはね私たちと同格の存在かな」


それだけでミントは今回二人が来た重要性を理解する。なので仕方なく依頼の内容を聞くことにした


「それで、その依頼というのはどういったのだ」

「さっきも言ったとおり依頼内容はミュセルを助けてほしいっていうことだよ」

「だけど悪いことしろということじゃないから安心してね」

「ん!?どういうことだ。ミュセルは魔物の活性化させた張本人だろ」

「あぁそれね、実は斯く斯く云々でね」


ふたご神がそれぞれことの発端をミントさんに説明した。それを聞いたミントは心底あきれた様子で言葉を紡ぐ。


「なるほどそういうことか。でもそれだとそのうち魔族が連れ戻して終わりだろ」

「そうでもないんだよ。どうも魔族はミュセルを亡き者にしようとしてる派閥があるみたいでね。いつらに捕まったら戦争にまで勃発しかねない」

「今はその派閥を可能な限りスーさんが抑えてるのが現状かな」


大分物騒な話になってきたがミントにもことの重大さが理解したようだ。なので自分の認識とカール達の認識に齟齬がないか確認していく。


「なるほど、このままだと魔族を止めれる役がいなくなるということか」

「それもあるけど実際はもっと大変かな」

「そうだね、このままだと帝国を無くす必要も出てきちゃうんだよね」

「それが起きないギリギリがいまの状況ということ」

「なんで、そこまで行くんだ?」

「それはいまの帝国を支えている宰相が考えてるのが世界征服だからだよ」

「ただミュセルが純粋に強いから今まで何も出来ていんかっただけで」

「なんとまぁ。無駄な頑張りをしてるもんだな」


 ミントさんが呆れながら答えた。実際この世界には12の神がいる。その神に認められるか実力で超えない限り世界征服なんてものはできるわけがない。

 さっきの話の通りだとその宰相はミュセルより実力が低い、尚且つスリザという神が他の神に保護を依頼した時点で神に認められることも皆無となる。


「それでもこの状況は好きなタイミングでミュセルを殺せるのに変わりはないんだよ。例えば毒物を仕込んだり、それこそ魔物をけしかけたりとか」

「そうそう、このままだといつ最悪の自体になってもおかしくない」

「状況はわかったよ。それで、くるみたちに任せてることをなんで私に頼むんだ。このままくるみたちに任せればいいだろ」

「それはね。この前のカストルの一件で予想以上に遅れが生じてるんだ」

「それとミュセルは料理も鑑定もできないから結構危険なんだよ」


 ミールの言ったとおりこの世界では鑑定ができないというのは率直に毒物を食べる危険に直結している。その上料理もできないとくればまともな食事もできていないだろう。実際ミントはミラにも子どものときに毒草などの知識を叩き込み鑑定までできるようにしている。まぁミラが覚えているかどうかは定かではないが。


「いつ出たかはわからないがよく今まで無事だったな」

「まぁね、転々としてたと言ってもギルド登録してたようだからクエストでなんとかなってる感じ」

「とは言ってもそろそろ限界がきそうなんだけどね」

「わかった、それで今どこにいるんだ。そのじゃじゃ馬姫様は」

「今はユカの管理地のところってぐらいしかわからないな」

「ごめんね、あんまり他の領地への干渉って出来ないから」

「まぁ、それは仕方ない。ユカからそのへんの話は聞いている。明日くるみたちを見送ったら私も出立しよう」

「悪いけど宜しくね」

「ユカの祝福受けてたら魔族ぐらい大丈夫だろうけど気をつけてね」

「あぁ、任せろ」


そう言うと辺りが白い部屋から今までいた書庫に戻っていた。


「それにしてもあいつらも面倒なことに巻き込まれたな。まぁ可能な範囲でフォローはしてやるとするか」


そうぼやきながら久しぶりの長旅になりそうだったのである程度の荷物を揃えてから眠りについたのだった。


翌日くるみたちを見送ったあとにミントは転移小屋へと移動した。

そのまま置かれている本棚にむかい本の並び替えをしていく。


「よし、多分これでよかったはずだ」


そうして床に書かれた魔法陣に魔力を流し始め転移を行った。

転移後辺りを見渡すと胸元と腰に布を巻いた女性がたっていた。


「やぁユカ久しぶりだね」

「ひさしぶり、ミント。もう、ちょこちょこ会いに来てくれてもいいのに」


女性ことユカがミントに対し頬を少しふくらませて文句を言ってくる。

ミントはそんなユカの頬を指で押すことによってしぼませた


「それで例の姫様はどこにいるんだ」

「あの子は今私の祠にいるよ。直接話してとどまってもらってるから」

「わかった」


ミントは小屋から出て射手座の祠に向かい歩いていくことにした。

移動中ユカが周りの魔物に助太刀したことにより予想以上に戦闘時間がかかったのはまた別の話。

なぜ活性化させたのかはくるみちゃんたちがミュセルにあった時に明かします。

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