今後の予定
ラビィの名付けも終わり今後の予定について話し合うことにした。
「ラビィの登場で話の腰をおられたが話は戻すぞ」
ラビィの所為で話の腰を折られたとはあんまりではないかとも思うが実際にラビィのことを聞いたことによって脱線したのは確かなので苦言を呈しても意味ないと思い諦める。
「今日の襲撃者だが気を張りすぎると余計に疲れてここぞという時に本来のスペックを出すことができなくなる。どのぐらい警戒するかはそのパーティ次第だけどな。あとは3人で話し合って決めればいい」
ミントさんはそう言い残して居間を出て行ってしまう。
ミントさんが出ていった後、私たちで交代でラビィを撫でながら話し合いを行いその結果、件の女性は見かけたら警戒するけどそうじゃなければそこまで気にしないことになった。
話し合いが終わったタイミングでミントさんが戻ってきて私に持っていたものを投げて渡してくる。
「ラビィに一時的にこれをつけとけ。物置から見つけておいた」
「あるがとうございます」
ミントさん投げ渡されたのはが古びた赤い革製の首輪。
流石ミントさん言わなくても持ってきてくれるなんてありがたい。でも埃かぶっているのでここはしずくに協力してもらうことにしよう。
というわけでラビィと私、しずく、ミラで外に出る。ミラはそのまま解体小屋へと移動して今日狩ったホーンラビットの解体をするとのことだった。なのでここに残ったのは私としずく、ラビィの2人と1羽だけになった。
「しずく、水出して」
「お安い御用だよ」
しずくの出してくれた水を利用して埃まみれの首輪を洗う。結構汚れがついていたようで綺麗になるまで思ったより時間を使う。
綺麗にし終わると綺麗な真紅の首輪。うわぁ綺麗、この色なら充分目立つな。
「ラビィちょっと我慢してね」
「きゅい♪」
ラビィは嬉しそうに鳴いて顔を斜め上に向けた。上に向けてくれたことにより首輪が付けやすくなった。
ラビィは思ってたより賢いのかもしれないと考えながら難なく首をを付けてあげることができた。
首輪をつけてあげるとラビィは首を動かしていた。違和感がないか調べているのだろう。
「きゅきゅっ♪きゅ~い♪」
ラビィも気に入ったようでとても嬉しそうに鳴いていた。そのまま外でしずくとラビィと鬼ごっことかして遊んでいるとミラが解体を終えたのか帰ってくる。
鬼ごっこの成績?聞かないでください。私の心がくじけるので。私の運動神経を考えれば当然といえば当然の結果でしたとだけ。
「くるみ、どうしたの?落ち込んでるみたいだけど」
「大丈夫だよ・・・、しずくとラビィで遊んでて自分の運動神経の悪さを再認識しただけだから。ハハハッは~~」
「それなら問題はないか」
ミラに華麗にスル~されてしまい話は進んでいく。
「このあとどうする?予定ではもう旅に出てるはずだよ。あとラビィをどうするだけど」
「私は旅に出てもいいかな。あとラビィは連れて行きたい!」
ラビィだけはどんだけ反対されても私は意見を変えるつもりはない。しずくなら私の願いを叶えてくれ
るように動いてくれるはず。
「私も問題ないよ。ラビィは連れて行きたいんだけど死んだらそれまでなんだよね?」
「そうだね。流石にこの中に召喚系の魔法持っている人もいないからそうなるね」
(おやっ雲行きが怪しくなってきたな。でも召喚系の魔法があったらどう違うのでしょうか)
「う~ん、それならちょっとラビィを連れて行くのはためらうよね」
(なんと珍しいことにしずくが裏切った。ならここでちょっと聞いてみましょうたほうがいいかな)
「ミラちゃん召喚系の魔法あったらどう違うの?」
「あぁそれなら、召喚系の魔法は所持してる人が少ないんだけどラビィのように使役した魔物を魔法陣の中に帰還させて後で再召喚ができるの。その関係で例えばラビィが不慮の事故にあっても強制帰還されるだけで済む」
(なるほどそれはたしかに嬉しい魔法ですね。今のままだとラビィが危ないってことになるのか)
ラビィを死なせるのは嫌だけど自分の気持ちを素直に伝えることにした。
「危険でも連れて行きたいな。ここら辺なら危なくないし」
「わかった、なら折衷案として双子島の間連れて行こう。それで危険性があるようならミントさんに預けるということにしよう」
「仕方ない。それで妥協します」
ということで双子島のあいだは連れて歩いて様子を見ることした。
そして旅立ちは明日と言うことになった。そのため今日は少し豪華な食事を作ることにした。
私たちはうさぎのハツや肉等を使ったうさぎ鍋を食べラビィには野菜を山盛りであげることにした。驚いたのがラビィは雑食のようでうさぎの肉をあげたところ美味しそうに食べている。共食いとか気にしないみたい。
その夜は私たちは夜ふかしせずに寝ることにした。
----------???視点-----------
着物の女性とマントを羽織った女性が今日も森の中で話している。
「お疲れ。悪役ご苦労さま。嫌じゃなかった?」
「大丈夫だよ。ちゃんと伝えたいことは伝えること出来たし」
「そうだね、これで目標達成だね。それにしても、シャドウウォークの移動先に気づくなんて思ってなかったな」
「そうだね、念の為に張ってくれたライトシールドがなかったらちょっと危なかったよ」
今日の襲撃で起きた話を二人は続けていた。でもどこかのんびりした空気を出しているのでとても襲撃者には見えない。
コートの女性が含み笑いをしながら着物の女性に話しかけていた。先の襲撃をどこかで眺めていたのであろう。
「ふふふっ。それにしてもなんでひょっとこ?流石にあの場所にあわなすぎでしょ」
「仕方ないじゃん。あれしか顔隠せるものなかったんだし」
そう仲良く話しながら彼女たちは夕食を進めていた。今日の料理も昨日と同じようにうさぎ鍋だったが今日はそれとは別にお米も炊いているようでお米のいい匂いがあたりに満ちていた。そして鍋をある程度食べ終わると鍋の汁にご飯を投入しておじやにしていた。
着物の女性が今日の戦闘を思い出したようで伝え忘れていた事を話し始める。
「妹の方はシャドウウォーク使えるようになってたよ。多分その関係で移動先気づかれんたんじゃないかな。ものとしては一緒だし。それと姉の方はフラッシュムーブ使って驚いたよ」
「うそ。あれ実戦で使ったの?私周りに迷惑かかるから使ったことなかったよ。それとは別に見てたよ。魔力入れすぎたでしょ」
「うぐっ。流石にとっさだったから魔力量ミスった」
「その刀普通のと違うんだから気をつけてね」
「わかってる。この刀は使い方を間違えれない。それほど危険なものだから」
実際に着物の女性が身につけている刀は倭国トーラスで売れ残っていた妖刀の1本であった。黑鉱石で作られているのは本当だが、少量の魔力を流すだけで圧倒的な切れ味を誇るものである。
今日の襲撃で使って来た魔法のことや魔力制御のことをのんびり話しながら食事を勧めている。
全て食べ終わったのを確認して二人で片付けを始め、滞りなく完了。
「さて私たちも帰ろうか」
「そうだね」
そう言ってマントの女性と着物の女性が互いに手を握って魔法を発動させた。




