廃村
朝食を食べたところで私たちは一休みしてから移動を再開する。
ラビィは今回私の頭に乗っての移動だ。そのまま休憩を挟みながら二日間ほど歩いたところで木の柵が見えてきた。私たちは見えてきた木の柵に向けて近づいていく。そのまま柵の近くまでたどり着くと一人の色白のエルフの男性がやってくる。
「何やつだ」
「こんにちは、観光できたんですけど」
「観光だとこんな集落にか」
「そうだよ、お兄さん。ルクバトの受付の人に聞いたんだけど」
「そうか。だがなここは本当に何もないんだ。それに宿屋もないから止めることもできない」
「商人は来ないんですか」
「来ることには来るんだがここから半日言ったところに別の村がある。そこで泊まるようにお願いしている」
私としずくの質問にエルフの男性は答えてくれる。私たちはお礼を言った後に集落を後にし教えてもらった村に行くことにした。話の後移動を再開する。そのまま半日ほど歩いていると廃墟と化した村が出てくる。
「しずく、たぶんここだよね」
「うん、話聞いてた限りここだと思うけど」
「なにかいる」
私としずくで話しているとミラが警戒するように言ってくる。それに合わせてミュールも短剣を引き抜いて警戒し始めた。しずくも刀に手をかけていつでも抜けるようにしている。そうしていると一つの廃屋から豚面の魔物であるオークが出てくる。
「ブモ!?」
オークが廃屋を出ると同時にしずくがオークの胴体を斬る。それと同時にほかの廃屋からもオークが姿を現していく。
「ミラ、この村の人たちってどうなったかわかる?」
「十中八九死んでる」
「そうじゃの、家の中にオークが潜んでいて人の気配がない以上既に食料となっていると見たほうがいいじゃろう」
ミラとミュールが同じ意見を言ってきたので生存者は絶望的だろう。そう思っているとしずくも戻ってくる。しずくに村の様子を聞いてみると妙に統率のとれたオークが数匹いたとのことだった。
「何かあるかもね」
「また統率個体?」
ミラがそこまで言ったところでしずくがうんざりしたように言葉を発する。その声が聞こえていたのか一番奥の大きな建物から一回り大きく黒い肌のオークが出てきた。
「何あれ」
「初めて見る個体じゃの」
ミラもミュールも見たことがないのか黒いオークは私たちを見つけて口を開く。
「なんだブモお前らは」
「ここにいた人たちは?」
「そんなもの俺たちのお腹の中だブモ」
黒いオークがそう言うとしずくは腰に差した刀に手をかける・
「ブーーモッモッモッモッモ。やる気かブモ。嬢ちゃん」
「待ってほしいのじゃ」
今にも走り出しそうなしずくに対しミラがストップをかける。それによって黒いオークも戦闘態勢を解除する。人語をしゃべる時点である程度予想はしていたけど、結構な知識があるようだ。
「名前を聞かせてもらっても」
「ブモモモモ、嬢ちゃんたちに名前なんて教えても意味ないブモ」
「そうじゃな、じゃがありがとうと言っておくのじゃ。おかげでお主がネームドということはわかったのじゃ」
「ブモ!?」
ミュールがそう言うと黒いオークは驚いたように言葉を返す。
「黒オーク、あなたに名前を与えた人を教えてくれないかの」
「いうつもりはないブモ。言ったら殺されてしまうブモ」
黒いオークはこれ以上情報を引っ張り出せそうになかった。だけどミュールは別な聞き方をした。
「そうか。まぁいいのじゃ。主の見た目である程度誰が名前を与えたのかはわかっているのじゃ」
「そうなのかブモ」
「えぇ、黒い体表である程度予想はつくのじゃ」
「気を付けるブモ」
「その必要はないのじゃ。なぜならお主はここで死ぬのじゃからな」
ミュールはそう言うと以前からためて居ていた魔力を使い闇冷で活性化された闇の魔力で槍を生成しそのまま射出する。
「あまいぶも。闇属性は効かないブモ」
「お礼を言うのじゃそれでわかったのじゃ」
ミラはそう言うと打ち消された闇の槍を再度射出するも先ほどと同じようにダメージが入らない。一方しずくは水の槍を作りだし攻撃するも後ろに手に回して取り出した鉈で叩き落してしまう。
その攻防を皮切りに黒いオークとの勝負は開始された。
「しずくよ、先ほどの会話からわかる通り闇は効かないのじゃ。やるなら水属性の魔力を増せるとよい」
「わかった」
「さてこちらはいつも通りやっていこうかの」
ミュールはしずくに相手の特徴を伝えた後に私たちはいつも通り戦おうとミュールは言う。その間にも前線ではしずくと黒いオークが武器をぶつけあっていた。




