アルの村に向け出発
エリックさんからオヒューカス帝国について聞いた後、エリックさんは宿屋へと帰って行ってしまった。それを見送った後、私たちは相談することにした。
「さっきの話の通りなら警戒するのは仕方ないね」
「さっきの話が本当ならね」
「ミラ、そこは信用するしない関係なく頭に入れておいたほうがいいよ」
「まぁ、そうね」
ミラとしずくの間でそう話している。実際私はさっきのエリックさんの話を信じてもいいと思っている。まだ何か隠している感じはあるけど今知りたいことは知ることができた。それに不信に見られることも厭わずに私たちに元の姿を見せてくれたのも高評価だ。そういうこともあり、先ほどのエリックさんの話のある程度信頼がおけるんじゃないかと思う。
「まぁ、エリックさんのことはこの後考えるとして、カルロスとレキはどうかな」
しずくがそう言ってから二人のもとに歩いていく。それに合わせて私とミラはエリスの元へと移動する。エリスは「うんうん」唸りながら自身の中の魔力を探っている。私はそんなエリスに近づいて肩にポンと手を置いた。
「今日はこのぐらいにしようか」
「でも、まだ進捗が」
「こればかりは一朝一夕でどうにかできるようなものじゃないから、ゆっくり進めるといいよ」
「はい・・・。」
エリスが渋々ながらもうなずいたのを確認した私はエリスの頭を撫でてあげる。するとうさ耳がぴこぴこと動いていた。しずくを確認してみると、しずくの方でも今日の特訓終了にしたようだ。終了の直前に少しアドバイスをしているのが目についた。外で軽く汗を流した後、部屋に戻り仲良く寝ることにした。
翌日、私たちは宿屋で朝食をとった後、関所に常駐している兵士たちにアルの村について聞いてみる。すると、そこまでじかんかがかかることなく情報を得ることができた。今いる関所を北に出て道なりに2日も進むと到着すると教えてくれた。なので、私たちはその言葉に従いに抜けて道なりに進むことにした。
「あと2日でそれなりに自衛はできるようにしてあげるよ」
「「げっ!」」
「げっとは何だ、せっかく教えてあげてるのにその反応は」
「まぁそうだけどしずくさん、昨日以上に厳しくなるんじゃ」
「まぁそうだね。でもこれからは歩きっていうこともあって翌日に問題が起きることはないようにする」
「本当かな」
しずくとカルロス、レキが今日からの特訓について話している。一方で私はエリスと話をすることにした。
「くるみお姉ちゃんも魔力感じるのに時間かかったの?」
「エリス、くるみは半日で使えるようになったから一緒にしたらだめだよ」
「そうなんだ、ミラお姉ちゃんは?」
「私はそうだね、だいたい1日から2日ぐらいはかかったかな」
「そうなんだ、私もそれぐらいかかるのかな?」
「そのぐらいもしくはそれより時間がかかるって思ったほうがいいかも」
「本当?」
「うん、私たちの師匠も平均だと3日ぐらいって言ってたし。それに君たちは魔力量も極端だって聞いたことある」
「そうなんだ。もしかしてこの特訓って無駄になるのかな?」
「大丈夫だよ、もし魔力なくてもこの特訓が何かの役に立つかもしれないし」
私がそうエリスを励ましてあげることにした。それとは別にミラに確認してみることにした。
「それで、ミラちゃん実際はウサギの獣人ってどうなの?」
「詳しくわからないっていうのが正直なところだけど、魔力がないっていうのは聞いたことがない。カルロスやレキみたいに犬や猫の獣人は魔力が少ないことがほとんどのようだけど。逆にキツネの獣人は魔力量が多いって聞いたことある」
「そうなんだ。ウサギの獣人がどうかって言ったところだね」
「それなら実際に聞いてみるといいんじゃない?」
私とミラ、エリスで話しているとしずくのほうの話が終わったのか話に参加してきた。そしてエリスに対し、いくつか質問している。それはとても簡単な質問で、エリスの両親についての質問だった。
「エリスのお父さんかお母さんが魔法使っているのって見たことある?」
「ん~ん、見たことないよ」
「そか、それなら家に魔法道具どれくらいあるかな」
「そんなに多くないと思うよ、コンロと水道とかぐらいかな。もしかしたら私の知らないだけかもしれないけど」
「なるほどね。本当にそれだけだとしたら魔力量は少し心もとないかも」
それが質問をしたしずくの意見だった。確かにしずくが聞いた限りでは魔力量がそこまで多くないという結論になる。だけど、それとは別になところで魔力を使っているならわからない。それに冷蔵庫も結構高価都合上、一般家庭に普及しているかと言ったら微妙なところだろう。そう考えるとかもしれないから抜け出すことはないだろう。
そう話しているとお昼が近くなってしまった。なのでその場で足を止めて昼食をとることにした。私が昼食の準備をしているあだにもエリスは自分の魔力を探っているようでいいことだ。その雰囲気を横目で確認しながら料理を進めていく。
そして昼食ができたあたりでしずくとミラが戻ってきた。
様子を見てみるとミラが一人で帰ってきてしずくがカルロスとレキの二人を連れて戻ってきている。それを見てしずくも私と同じように二人に教えていたのだろう。
「さぁ、昼食も終わったらまた道なりに進んでいくよ。と言いたいけど、カルロス君とレキ君は動ける?」
「はい、何とか」
「動けるギリギリまで絞られましたけど」
二人の様子を見ていると少し心配になるが、しずくがやりすぎていないことを信じて移動を再開することにした。
「カルロス、レキ、遅れてるよ」
「しずく、もう少し二人に優しくしたら?それに今遅れてるのってしずくが昼に特訓したからじゃないの?」
「まぁ、くーねぇの言う通りなんだけど、体力はもう少しつけていないとね」
「だからって移動中にそこまでしごくのは少しどうかと思うよ。やるなら夜にしてくれないかな」
「わかった、くーねぇの言う通り夜に今までの倍しごく」
「くるみさん、なんてことを」
「夜が地獄だ~」
二人の絶望に満ちた声を聞きながら道中移動していくことにした。そしてこの日の夜少し思いがけない事がおきた。




