主るもの
「タルフさん手伝いますよ」
「あら~、そういってくれると嬉しいです~」
「普段私が料理してるので気にしないでください。それにここら辺の料理も気になりますから」
「そうですか~。それなら頑張らないとですね~」
タルフさんはそう言って腕まくりをした。タルフさんはゆっくりながらも手際よく準備を進めている。今日はここら辺でとれたムニエルと硬いパンを用意しているようだった。ムニエルのタレにパンをつけて食べるようで、ムニエルの味付けは少し濃いめにしている。それに対しスープは魚介ベースであっさりとした味付けにしている。
「今回は奮発しちゃいますね~」
タルフさんはそう一言言った後にカニの足を2本持ってくる。そしてカニの足の節をすべて折ってから鍋に入れる。そのあと少し煮た後に、火を止めた。
「できました~。それじゃ、くるみさんは~パンお願いしますね~」
「わかりました」
タルフさんはお盆にスープとムニエルを乗せて持ってきてくれるようだ。そして水を操ったようで扉を水でできた腕が開けた。開かれた扉をくぐると後ろでバタンと音がして扉が閉まる。思いのほか音が大きく肩がびくっとなった。タルフさんは気づいているのかいないのかわからないがにこにこしながら机に盆にのせたスープとムニエルを置いていく。私の持つパンはタルフさんの指示に従ってテーブルの真ん中に置く。
「それじゃ~、いただきましょ~」
『いただきます』
タルフさんの言葉に従って私たちはご飯を食べ始めることにした。そしてタルフさんは、今ここらへんでタイムリーな話を振ってくる。
「まずは~、町の復興に協力していただきありがとうございます~」
「なんでそれ知っていたのですか?」
「アルセス様から~、皆さんが頑張ってくれたって~話を聞いてね~」
「まぁ、ぼくたちは旅行がメインだからね。ここからはそこまで依頼も受けない予定だし。時間もそれなりにあるから」
「そう・・・・ですか・・・」
しずくの返した言葉にタルフさんは少し言葉を詰まらせながら答えた。私はしずくの声音が少し落ち込んでいるように聞こえていた。その気持ちが表情に出ていたのかタルフさんは今までのようなふわふわしたしゃべり方をやめていた。それが気のせいだったのかタルフさんはまたふわふわしゃべり方に戻っている。
「実は~、私も教会で行われた炊き出しの~お手伝いをしていたんですよ~」
「そうだったんですか?」
「え~、手伝ったといっても週1ぐらいだったから~、4回ぐらいだったんだけどね~」
「私も何回か手伝ったけどタルフさんいなかったですよね?」
「そうですね~、くるみさんに会った記憶はありませんね~」
「ということはうまく時間会わなかったのかな」
「どうでしょうか~。私は子どもたちに炊き出しを渡したりするほうでしたから~」
「私は主に作るほうに周ってたから会わなかったのかな」
「たぶんそうだと思いますよ~」
タルフさんと話しながら話を進めていく。話していくとしずくとミラが会話に入ってくる。この会話に私は顔色を変えることとなった。
「そういえば、タルフさん。もう一つアクベンスギルドで話題になっていることって知ってる?」
「う~ん。・・・・・あぁ~、そういえばここと反対側にダンジョンで来たんでしたっけ~」
「そうそう。そのダンジョンがね」
「あれ~、くるみさん、どうしたんですか~」
私は顔色を少し青くさせて無心にご飯を食べることにした。
(聞こえない聞こえない)
そう思いつつご飯を進める。それに気づいたタルフさんが私に声をかけてきた。
「いや、何もないよ」
「くるみさん、無理はよくないですよ。後でお話は聞かせてもらいますね~。しずくさんミラさんもそれで大丈夫ですかね~」
「まぁ、この話降ったのはぼくたちだから大丈夫だよ、ねっミラ」
「うん、これで少しはくるみがまともになってれるとありがたい」
この二人の言葉に対し私は今日のしずくは厳しいよと思いながら食後の予定が決まった。それによって若干落ち込んだ私に対しタルフさんは優しい声音で声をかけてくれる。
「大丈夫ですよ~。ここは神様の祠を祀る場所以前に教会ですから~。懺悔室など完全個室はありますから~」
「それならその時に話します」
「そうですか、何か他に聞きたいことってありますか~。ついでにこたえちゃいますよ~」
「それなら、アルセス様(?)って何をつかさどってるの?」
しずくがすごくまっとうなことをタルフさんに聞いている。それを聞いたときに私は、気づいてはいけないことを気づいてしまった。私たちカールたちが何をつかさどってるか知らない。ということに気づいた。
「そういえば~、アルセス様のこと説明してませんでしたね~。アルセス様はですね~。主に海産などをつかさどっていますよ~」
「海産ということは漁業?」
「そうなります~。そのため~、ここら辺でとれる物の大半は食べれるようですよ」
「なるほど、なんというか微妙な感じ?」
「微妙とは何ですか~。立派な加護ですよ~。そういえばお二人はそれぞれの神が何をつかさどってるか知ってるのですか?」
「?」
「実は知らないんですよ」
「そういえば説明してなかたっけ?」
「聞いてない」
そう私たちで話すとタルフさんが溜息をついてから説明をしてくれようとしたところで声が聞こえてきた。
「なんでそんな単純なこと知らないのよ」
その声はとても聞き覚えのある声でテーブルの上にデフォルメされた二人が立っていた。
「ミール、なんでちっちゃいの?」
「さすがに双子島の外だからね。島の安全のために力をこっちに割けないのさ」
「そうだよ」
そう話していると初めて聞く男の声が聞こえてくる。
「おい、ガキどもさっさと自分の管轄に帰れ」
「久しぶり、アルセス」
「やぁ、つれないね。数少ない男神仲間じゃないか」
「だからと言って俺の管轄に何の用だ」
3人の神が話しているが私たちは唖然としている。そんな私たちに気づいたのか新しく来た男が自身の紹介をした。
「おっと、嬢ちゃんたちには初めましてだな。俺はアルセス。蟹座の神様といわれている」
そう挨拶をしてくれたアルセスに私たちは挨拶を返した。アルセスはそんなそんな私たちの態度に満足したのかカールとミールに視線を戻した。
「アルセスに言われなくてもさっさと戻るよ」
「そうだね、ぼくたちのところも今はそこまでいい状況でもないから」
「何?どういうことだ」
カールの良い状況ではないということを言うとアルセスは目を鋭くさせてカールを睨んだ。
「ミール、くるみたちへの説明は頼んだよ」
「はーい」
ミールは私たちに説明を始めてくれた。その間にカールはアルセスに入れ替わるように魔族の出入りがあったこと。それとタイミング的に今いる魔族はここで起きたスタンピードに関係がある相手じゃないかという説明をした。それを聞いたアルセスはこめかみに血管を浮かびらせてからカールに言葉を発した。
「よし、今からそいつをぶっ飛ばしてくる」
「別に構わないけど、アルセスも今は離れれる状況じゃないのかい?」
「うぐっ。ちっ、しゃぁねぇ。自分の管轄を安定させることが優先だ」
そういっておとなしく復興に力を入れると返していた。
作者大好き久しぶりのミール登場




