入り口
海でひとしきり遊んだ翌日。
ギルドに到着するとギルドのクエスト掲示板に少し人だかりができていた。人だかりに近づくと話し声が聞こえてくる。内容を聞いてみると昨日受付の人に言われた海岸にあるクエストが張り出されているようだ。
「クエスト張り出されてるなら受けてみようか」
「そうだね、手持ちはあっても困らないし」
「それじゃ、とってくるね」
それだけ言い残し人並みに入っていく、そしてクエストの依頼書を持ってきてくれる。
「しずく、それごと持ってきて良かったのかな」
「大丈夫だったよ、はがしたら裏にも同じものが貼られてたみたいで裏にも同じ依頼があったよ」
「そんな手間のかかったことを」
私はしずくに依頼書持ってきて良かったのかと聞いたところそう返ってきた。依頼書を持ってきも問題ないならこれで依頼を受けることにした。受付に持っていくと受付の人は直ぐに受注手続きをしてくれる。
「それでは、ダンジョンの調査お願いします。調べていただきたいところは、出現する魔物、マップ、罠になります」
「マップってどうすればいいですか?」
「そうですね、手書きでもいいですが、できればこちらを利用してください」
「これ何ですか?」
「これは魔法道具の一種になります。ただし、金額はそれなりな額になるので数枚しかありませんのでなくさないようにお願いします」
「はい、それで使い方はどうすれば」
「使い方は単純で、この左上の色が違う部分をちぎったあとに、用紙を手に持って歩けば自動でマッピングされます。注意事項としては、アイテムバッグやそれに類似するスキルの中に入れるとマッピングされなくなるので注意してください」
「わかりました、気をつけます」
受付の人にマップについて聞いてみると左上が赤くなっている紙を1枚手渡される。そのあとに渡された紙について説明してくれた。注意事項は私たちで言うところのシャドウガレージに入れるわけにはいかないようだ。なので私が持って歩くことになった。
そしてギルドをあとにしてダンジョンに向けて移動をはじめることにした。
「きゅっきゅきゅっきゅ♪」
「ラビィはご機嫌だね」
「そうだね、なんかいいいことでもあったのかな」
ラビィは私の頭の上に乗って歌を歌っている。ラビィの歌を聞きながら砂浜を歩いている。その歌も急にピタッと止まった。その異変に気づいた私たちは急に止まったラビィの歌に警戒を強める。警戒を強めたのが幸をなしたのか、砂浜から1本のハサミが飛び出してきた。飛び出してきたその後ガサガサと砂をかき分けてから砂の中から身長の倍ぐらいのカニが1匹出てくる。
「カニ~」
「しずくストップ」
カニを見たしずくが一目散にカニに向かって突撃しようとしたところで私はストップを掛けた。まぁ日本でカニといえばそこそこ高級で、頻繁に食べることが出来ないからその反応もわからないでもないんだけど。私たちは警戒しつつそのカニの様子を伺うことにした。カニは横歩きで海の方へと近づいていく。そのまま海に入るのかと思いきや、いきなり私たち目掛け横歩きで突進を仕掛けてくる。
私たちは警戒していたこともあり直ぐに走り出すことができた。
私だけは結構ギリギリになりそうだったので、しずくに抱かれての回避となる。交わした後、砂浜に下ろしてもらった私たちはそれぞれに武器を取り出す。
武器を取り出した私たちは、相手の情報を得るためにそれぞれの簡単な攻撃を使ってみることにした。
「【ソーラーウィップ】」
「【ダークブレード】」
「【ウィンドカッター】」
「【きゅっきゅう】」
しずく以外の魔法がカニに当たる。カニは全員の魔法が当たった中からカニがのそのそと出てくる。出てきたカニの様子を見てみると甲殻に多少のキズはできているけどまだピンピンしているようだ。そのカニに対ししずくが距離を詰める。そして手に持った闇剣を振るった。カニは闇剣を爪で受け止める。カニは黒い瞳でしずくを見つめた後に爪を前に出した。爪を前に出したことによってしずくがこちらに戻ってくる。
「殻は大分硬いね」
「ということは節を狙わないといけないのか」
「それならやってみるね」
「ラビィもお願い」
私たちはラビィとしずくに前衛をお願いする。しずくは闇剣で振り下ろされる爪を横に回って躱し、闇剣で爪の節を切りつける。切りつけたことによって直ぐに爪は切り飛ばされる。ラビィはカニの足元を駆け回る。そして足の節を次々に足に生成した風の刃で切り裂いた。
すべての足を切り裂かれた頃にはカニは動かなくなっていた。
「こんばんはカニだ~」
「はいはい、格納しておいてね」
「はいさ」
しずくはカニを倒したあと部位ごとにまとめててきぱきと格納していく。その間に私はこのカニを使ってどんなごはんを作ろうかで頭をひねることにした。
「くーねぇ格納終わったよ」
「はーい、それじゃダンジョンに向けて移動再開しようか」
「ちょっといい?」
「どうしたのミラちゃん」
「うん、ダンジョンの中の隊列だけど今のうちに考えておかない?」
「いいけど、いつもみたいな隊列じゃダメなの」
ミラの提案に頷きつつもしずくが今までの隊列ではダメなのかを聞く。てっきり私も今までの隊列で行くのかと思ってたのでちょっと意外だった。歩きながらもミラと話しているとどうも受付で言われていた罠を心配しているようだ。罠の解除をカールとミールの地獄特訓で習ったのはミラだけなのでできれば先頭に立って行動したいとのこと。
「発動させてそれを躱すっていうのじゃダメなの?」
「それでもいいけど、毒煙とか出たらどうするの?」
「それは難しいな」
「でも、ミラちゃんが先頭で大丈夫なの?」
「うん、これでも前衛は少しはできる。最初のうちにしずくと入れ替わればいいしそれぐらいの時間は持たせることはできる」
「それなら、前はミラに任せようか」
話し終わったところで、海岸にある岩場にぽっかりと口をあけた洞窟が姿を現した。
洞窟から「オォォォォォォォォォォォォ」と言う声が聞こえてくる。それに含め半透明の物体がふわっと目の前を飛んでいった気がした。
「ひっ!」
私はそれを見た瞬間短い悲鳴をあげてしずくに抱きつく。しずくは慣れた様子で私の頭を撫でてくれた。一方でミラは心配そうにこちらを見ている。
「これは探索は大変なことになりそうだね」
「そうだね、くーねぇがこの調子だとぼくもまともに動けないし。戦力的にね」
「うぅぅぅぅ、しずく~」
私はしずくに抱きついて唸っていることぐらいしかできていない。それでもしずくに撫でられていることで少しは平静を取り戻してくる。入りたくはないけど。
「まぁ、このままここにいても仕方ないし中に入るしかないか」
「しずく、くるみは大丈夫そう?」
「くーねぇ、少しは落ち着いたけど中に入るとどうなるかな。くーねぇ大丈夫?」
(コクコク)
私はしずくの言葉に静かに頷くことしか出来ていない。それを感じ取ったしずくがミラに大丈夫そうと答えたあとにゆっくりと洞窟の中へ入っていくことになった。




