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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
120/500

入国

短めです

「このままキャンサー共和国の主要港に入ろうと思います」

「わかりました。私たちは甲板にいますね」

「わかりました」

「エレンさん、レイクさんってどこにいるの?」

「レイクなら船尾の方で警戒しているはずよ」

「ありがとう」


 しずくがレイクさんのことを確認したあとしずくに肩を貸しつつ船尾に移動する。船尾ではマークさんとレイクさんの二人が海上を経過しているところだった。


「レイクさん」

「おっ、しずくちゃん。元気になったか」

「まだ立つことはできないけどなんとかね。それと回復魔法使ってくれてありがとう」

「それは構わねえよ。俺自身魔力はそんなに多くないから宝の持ち腐れなんだわ」


 最初のころは敵対意識まるだしだったしずくの様子が少し和らいでいる気がする。そう思っているとレイクさんが私に対しても声をかけてくる。


「くるみちゃん、よければキャンサー共和国の中案内してあげようか」

「いえ、ここから見えるだけでもそんな余裕ないと思うから」


 私がやんわりと断っていてもしつこく言い募ってくる。それを見かねたのかマークさんが最初の時のようにげんこつを落とす。それに合わせてしずくはまた敵意むき出しになった。

そんなしずくをなだめながらも船首へと移動した。船首にはミオとリオの二人が周囲を警戒している。

二人は私たちに気づくとレイクさんと同じようにしずくの心配をしてくれている。


「ありがとう、大丈夫だよ」

「それならよかった」

「しずくちゃんが来たときすごい怪我だったんだから」

「心配かけてごめんね」

「そうだよ」

「それに、くるみちゃんなんて顔面蒼白だったよ」

「えっ、私そこまでひどい顔だった?」

「そうだったよね、ミラちゃん」

「うん、一応戦闘中は問題なかったけど離脱したあとは心ここにあらずだった」

「それはごめん」


そう伝えると、キャンサー共和国から軍船が近づいてくるのが見えた。軍船から声が男性の聞こえてきた。


「そこの海賊船とまれ」


そう言われると私たちの船はゆっくりと動きを止める。動きを止めた船に軍船が近づき武装した男が乗り込んできた。それにグレンさんが対応するため船の中から出てくる。

船から出てきたグレンさんに軍船から降りてきた男が訪ねている。


「あなたがこの船の船長ですか?」

「いや違う。俺たちは冒険者だ。この船に乗っている冒険者の中で一番ランクが高いのが俺だから対応させてもらう」

「そうか、冒険者なら今我が国が外からの入国を禁止しているのを知っているはずだが」

「あぁ、心得ている。だがカストルの支部長からこの依頼を受けている」


 グレンさんはそう言ってから冒険者ギルドで受け取った依頼書を手渡した。それを確認した男は依頼書を返してくれてから伝えてくる。


「悪いが1日待ってくれないか」

「どうかしたのか?」

「少し確認を取ってくる。食料ぐらいなら渡せるが」

「心配ない。1日ぐらいなら充分になんとかなる」


 それだけ伝えると軍船はキャンサー共和国に戻っていく。それを確認した私たちはその場で待つことにした。

その間にしずくにお願いして前に作ってもらった釣竿を出してもらう。出してもらった釣竿に適当に餌をつけてから海に糸を垂らす。糸を垂らしているとあまり食付きがよくない。だがそれも気にせずにしずくが気になったことを聞いてくる。


「そういえばくーねぇ、サメってどうなったの?」

「サメ?」

「しずく、くるみは多分知らない」


 そう伝えたあとにあらましを説明してくれた。なんでもあの戦場で流れた血の多くが海に流れたことによってサメの魔物が近づいてきているようだ。サメは倒れたクラーケンに食いついている間に船は全速力であの場から逃げていったとのことだった。


そう話しているとレイカとカエデの二人も船室から出てきたのか私たちの下にやって来る。そして私たちが海面に糸を垂らしているのに気づき何をやっているのかを聞いてくる。それに対し私は釣りの説明をする。二人もやってみたいと言ってきた。

言ってきた二人に対し、しずくは自分の釣竿をレイカに渡したあと影の中から木の枝と糸等を取り出している。


「しずく、なんでそんなもの入っているの?」

「こんなとこともあろうかと思って」

「どんなこと」


そう思いつつも今回はこれによって全員分の釣竿を作ることができた。

そうしてミラを含めた5人で夜まで釣りをして過ごした。釣果は全然良くなかったので夕飯はいつもと同じように簡単なスープと乾パンになった。



翌日になると再びキャンサー共和国から軍船が近づいてくる。軍船には昨日も乗っていた男が乗っておりこちらの船に乗り移ってくる。そして昨日帰ったあとのことを説明してくれた。


「まず、結果としては君たちの入国を歓迎しよう」

「それはありがたい。海賊の受け渡しはどうしたらいい?」

「海賊どもは港で受け取ろう。それと入国を報酬としている以上こちらは何も言えん」


軍船から降りた男はそうぼやきつつ私たちの乗る船を誘導してくれる。

誘導されたままキャンサー共和国の地を踏みしめることができた。港は何隻かの船が沈没していたり、輸入品を入れるための倉庫などが潰れているのが見て取れた。そして街の方からは多くの声が聞こえてくる。

その声は悲愴なものがほとんどだ。


「海賊は受け取ろう」

「あぁ、それにしてもひどいな」

「これでも大分落ち着いたほうだ。少し前まではそこら中に魔物や民間人等の死体がそこら中にあったんだ」


 それを聞いた私としずくは顔を青くする。それを気づいたミラが私たちに声をかけてきてくれる。


「くるみ、しずく、大丈夫?」

「うん、話だけでこれだとこのあとそういった現場に出くわしたらどうしようもないし」

「そうだね、これ以上に酷い惨状見て動けなくなるわけにもいかないし」

「それもあるが、今は無理をしなほうがいい」


 軍船にのって来た男が私たちに伝えてくれた。そして私たちはその場をグレンさんたちに任せてからその場をあとにする。街に入ると街中は静けさに満たされている。そのまま街の真ん中まで行き、あたりを見渡すと見慣れた龍をモチーフにした看板が見えた。竜の紋章の裏にはローマ数字の2のようなマークではなく、ふたつの勾玉を横にして縦に重ねたようなマークがあった。


「こんにちは」

「ようこそ、アクベンスギルドへ」


 ギルドに入ると受付の人が声をかけてくれたが作業の片手間に挨拶したような雰囲気だった。ギルドは外の静かさが嘘のように慌ただしかった。


「おい、誰か回復魔法使えるやつはいねえのか」

「おねがい誰か炊き出し手伝って」

「この荷物を診療所まで大急ぎで頼む」


などなどだ。それを聞いた私は受付に行き、海賊のこととふたご島から来た冒険者のことを話し、それぞれにできることを対応していくことにした。

これで第4章終了です

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