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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
1章「冒険の始まりと冒険者登録」
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弱点克服と打開策

 午後からはこちらに来てから恒例となっている戦闘訓練の時間。朝食の時にミラが行っていたように今日も4人での訓練になる。

「それじゃ午後の戦闘訓練をはじめる。今日も二人ひと組で分かれるか。私とくるみで近接戦闘練習、しずくとミラで魔力制御の練習だ」

『は~い』

私としずくふたり揃って低いテンションで返事をする。

「どうしたんだ、元気ないぞ」

『だって、運動(じっと)したくな~い』

「いやぁ、わかるけど。最低限の防衛手段や魔力制御ができないと逆に危険だぞ」

『ぶー、そうだけど』

「二人のシンクロ率すごい!途中からずっとほぼ同じこと言ってる」

「いや、ミラそういう問題じゃないからな。ぶーぶー言ってても終わらないからさっさとはじめるぞ」

ミントさんがミラへ少し呆れながら答えてつつ今日の午後の特訓が開始された。

私はひたすらミントさんからの攻撃を杖でガードする練習をしてしずくはカンテラに魔力を注ぎ続けている。

言い方を変えれば私はひたすら打たれるか転び続けてしずくは眩しい思いをしなが唸り続けている。


「あたっ!」

余計なことを考えていこともありミントさんの持つ木刀を杖で受けることができなかった。

「くるみ、もう少しよく武器の軌道を見ろ。今のところフェイントなしで打ち込んでるだけだぞ」

ミントさんが呆れながら指摘してきた。

(そんなこと言ったって、できないものはできないんだよ)

そう思いつつもオブラートに包んでミントさんに反論をしてみた。

「そうは言っても。運動がダメなんだもん」

「だからと言ってもう少し頑張れよ。あと転びすぎだ。何もないところで転ぶか普通」

ミントさんの言う通りだ私はこの模擬戦が始まって1時間ほどですでに2桁は転んでいる。そのためミントさんから治癒力を上げる方法を教えてもらっているほどだ。

やり方は単純で傷のところに魔力を集めるだけ。そうすると傷の治りが早くなるみたいで、実体験済みだ。実際はこの他にも回復魔法という回復に特化した属性もあるみたいだがかなりレアらしい。

回復魔法が特化しているとはいえ蘇生はできないとのことだ。そのためこの世界の死は現実と同じようだ。

「もう少し続けるぞ」

無残な継続宣言とともにミントさんはまた打ち込んでくる。

「こっち?」

そう言って持っていた杖を右脇腹を守るように構えるとそこにミントさんの打ち込んできた木剣に当たった。思ったより反動が強かった為、後ろに一歩下がった。

だがそれが問題だったようで後ろにあった石につまづいて転んでしまった。

「いったーい」

私は尻餅をついてしまった。

「くるみ。今日はこの辺にするか。この様子だとまず転ばないようにしないと危ないな」

「どうすればいいですか?」

「そうだな、走り込みでもしてみるか。足腰鍛えれば少しは変わるかもしれん。あと体力作りだな」

その結果、私は残りは走り込みを行うことに訓練内容が変更された。


----------しずく視点-----------

今日は朝にミラと約束したこともあって一緒に魔力制御を行う。

「しずく、今日はこれ使って魔力制御の練習して」

ミラは昨日ミントさんが見せてくれた小さなカンテラを持ってきていた。

「ミラ、ありがとう」

「じゃぁ、魔力を流してみて」

「は~い」

ぼくはミラの持ってきてくれたカンテラに光を流して見ると。案の定あたりに光が立ち込めた。

「眩しい」

「そのままでいい。その状態で魔力の放出量を下げてみて」

「こう?」

ぼくは感覚を便りに流している魔力を少しづつ少なくしようとしてみると。急激に光が少なくなっていく。

「しずく、魔力絞りすぎ」

「わかった、じゃぁ少し強くする」

魔力の流す量を増やしてみた。すると最初の頃よりカンテラ明るく光り始める。

それを何度も繰り返していると、いきなり体の力が抜けた。

「ふみゅ~。力が入らない~」

「あちゃー、魔力使いすだね。魔力が少なくなると力入らなくなるから気をつけてね」

「そういうことは早く言って欲しかったな」

「しずく、どうかしたの」

力が抜けて座り込んでいると走っていたのであろうくーねぇが私のところに来ていた。

「くるみ、走ってるの?」

「そうだよ、ミラちゃん。ミントさんが体力つけるのと足腰を鍛えるために走れって」

「そういうこと、くるみにも伝えておくけど魔力を使い続けると力抜けてこうなるから」

そう言ってミラはぼくに指を指して説明した。

「まぁ、力抜けているのは一時的で時間とともに回復する」

「そっかぁ、命に影響はないんだね」

「この脱力状態でやめておけば大丈夫。これ以上使うと命の保証はできない」

「なら気を付けないとだね。じゃっ私は引き続き走ってくるね。くるみ頑張ってね」

「ありがと~。がんばるよ~」

そうしてくーねぇは走っていった。

(あっ、転んだ。くーねぇも苦戦してるんだな。)


くーねぇを見送ったあとミントさんがこちらに歩いてきた。

「あっ、ミントさん、ちょうどいいところに。ちょっと相談があるんだ」

「どうした?ミラ」

「実はずっとやっててもしずくの制御がうまくいかなくてどうしようかと」

「なんだ、しずくもか。くるみも一切進歩なかったからな」

「ならちょっと考えたほうがいいな」

「そうだな。短所克服はあきらめるか。やり方次第で何度かなるだろう。ちょうどいいくるみもちょっと戻ってこい」

ミントさんが走っているくーねぇを呼び寄せ今後の方針の変更を告げられる。

「ミントさん、どうしたの?」

「実はな、二人の強化方針を変えようと思う」

「しずくは気配察知を特訓しろ。目標としては障害物の裏の気配を正確に読みぬくことだ。くるみは緊急回避の手段を考えておけ。それが実用できるようならそれで大丈夫だろう。くるみが直接狙われた時のしずくの反射神経は大分早いからな」

「ミントさん、くーねえを助けるのは全然いいですけど、多分魔力使って切りかかりますよ」

ぼくはすごくまともな疑問を覚えたのでミントさんに問い返してみた。まぁ普通の人にしたらまともではないのだが。

「そこはもう仕方ない。くるみに攻撃してくるということは敵対している盗賊や魔族とかだろうしな」

「それはそれでしずくが人を斬るのに慣れるとまずそうだね」

「そこは気をつけてくれとしか言えないな」

くーねぇの疑念にはミントさんも苦笑で気をつけるようにしか言ってくれなかった。

「それで、特訓ってどうやってするの?」

「ん?特訓か、やり方は簡単だ。しずくはただひたすら目をつぶって私やミラからの攻撃を防ぎ続ければそのうち身につくだろう」

「そんな適当な。でも今の状況より楽しそう」

ミントさんの発案はとっても適当だけどこのままずっと座っているよりは楽しそうだったのでそのやり方に乗る。

「ミントさん私はどうするの?」

「くるみはひたすら試行錯誤だ」

「これまた適当な返答」

こうしてぼくとくーねぇの新しい特訓内容が決まったので順次進めていく。少しさみしいけどやっぱり旅に出るにしても個人の力が必要だからね。

「ミントさん、ミラよろしくお願します」

「じゃ始めるぞ。まず普通に私と打ち合おう。そしてミラは死角から攻撃を随時行ってくれ」

「わかった」

ミントさんが説明を終えたので木剣による攻撃が開始された。

カンッ。カンッ。カンッ。カンッ。

と何度か打ち合っていると後頭部に衝撃が走った。

「あたっ!」

「まず1回目は失敗だな」

「さっきのは何?」

そう思って後ろを振り返ると地面に木の矢が落ちていた。

「矢ということはミラか。これは気づかなかったな。でもじっとしてるよりずっと楽しい。次お願い」

「よーしその粋だ。また行くぞ」

また打ち合いが始まったその時に後方の木から「がさっ」と音が聞こえたのでそれを信じて、振り返って持っていた木刀をふるった。

すると「ベキ」って音がして木の矢が折れて地面に落ちた。流石に初めてうまくいったので嬉しくなったがその関係で油断してしまう。

「やったぁ、矢落とせた。いたッ」

その結果、後ろからミントさんに頭を叩かて2回目の模擬戦が終りを告げる。

「1回出来たぐらいで気を抜くな」

「それもあるけど音出したのわざと。しずくの気を後方に向けるために」

「そうだったの?せっかくうまくいったと思ったのに」

「そういうことだ。今回ミラは私のサポートとして動いた。だから今回の場合、回避したり矢の対応をした後に私の動きを察知する必要があったわけだ」

そう考えるとこの模擬戦大分大変だな。だけどその分やる気も出るというものだろう。

「そうだね。確かにこれを捌ききるのは大変かも。じゃぁ休憩なしで連続でお願い」

それからぼくは1時間ほどぶっ続けで攻撃をさばき続けた。最初はすぐにダメージを受けていたけど最後の20分間ほどは攻撃をかわし続けることができた。そしてぼくは地面に倒れた。

「疲れた~。いったん休憩」

「よく頑張ったな。もう少しかかると思ってたが、予想以上の進捗だ」

「最初とは見違えた。この調子なら今日中に最低限はものにできるかも」

「さてくるみの方はどうかな」

そういってミントさんはくーねぇの方に歩いて行った。

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