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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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戦いの終わり_2

----------しずく視点-----------

こぽこぽ

とぼくの口から気泡が海面へ向けて上がっていく。

 海面の方からはパイモンがすごい速度で近づいてきているのが見えた。どうやらあのラクダを斬る直前に上から何らかの攻撃を受けたようだ。意識を手放さなかったのは不幸中幸いだったみたい。

このまま考えていても埒があかないので水中で一回転して上から迫ってくるパイモンを闇剣で切りつける。

 パイモンは闇剣の腹に右手を当てて自身の横に受け流した。その後、ぼくの左腕へ爪を振り下ろす。振り下ろされた爪を横に移動することで、肩から切り落とされることを防ぐことができた。だが、爪を完全に躱すことができておらず腕の表皮が切られてしまい血が滲む。

 腕から流れる血は海中に霧散している。その血に引き寄せられるように別な殺気が近づいてくるのに気づいた。ぼくは腕に感じる痛みを耐えつつ海上へ泳いでいく。

 海上に行っても海面へ血がポタポタと落ちている。そしてラクダの方を見てみると船の方に火球を放っているのが見えた。それを確認したぼくはラクダの首へ蹴りを一発入れる。その時、ぼくの足元からパイモンが飛び出てきた。それに気づき後ろに飛びずさることで回避することができた。そしてラクダの首を蹴ったことによってぼくへ向けて敵意をむき出しにしてきた。


「ちっ、海賊どもは全員捕まったのか」

「ということは船の方は後クラーケンだけなんだね」

「まぁ、そうなんだが。クラーケンも進化したようだぞ」

「また面倒な」


 パイモンと話しているとき船の方から大きな音が聞こえる。船の様子を見てみると少しづつ沈んでいるのが見て取れた。それを確認したぼくは急いで船のもとへ駆けつけようとしたところで正面に回ったパイモンの拳が迫っているのが見て取ることができた。その拳を体を捻ることで脇腹をかする程度に済ますことが出来た。それでも少し脇腹が切れてしまったが問題ない。問題があるとしたら、このままだと船に近づくことができないことだ。


「船には行かせねぇよ」

「やっぱりそう簡単にはいかないか」

「あったりまえだ」


 そう言い返されてしまった。そしてまもなく再度船の方から轟音が上がった。パイモンの肩ごしに確認してみると大きな水柱ができている。それを確認したぼくはくーねぇがやりたいことがなんとなくわかった。

 ぼくは積水を影の中へしまいラクダへと駆けていく。その時、目の端に特徴的な背びれが目に入る。


(やっぱり血の匂いに惹かれてサメが来たのか)


そう思いつつもこの状況だと安全な場所に行くこともできない。

ぼくは動きを変えずにひたすらラクダとの距離を詰める。

パイモンはぼくの前へ瞬間移動したかのように一瞬で距離を詰めてくる。

パイモンはぼくがまだ動かせる左腕を狙って蹴りを入れてきている。

蹴りは咄嗟に船側に飛び右手を無理やり動かし右手のひらで受け止めた。


「バキッ」

「い゛、ぐっ!!」


 右手で無理やり受け止めたことによって、右手の骨から嫌な音が響き激痛がくる。だけどそれによってラクダとクラーケンの間に入ることができた。そして近くに召喚主であるパイモンがいなくなったことによってラクダが炎と砂が混じったブレスを放ってくる。ぼくはそれを影に潜ることで回避。

そしてくーねぇの影から船上に戻ることにした。


----------くるみ視点-----------

 私の影からしずくが出てくる。しずくの様子を確認してみると想像以上にボロボロの状態で出てきた。


「しずく、大丈夫?」

「ごめん、くーねぇ。もう限界」


 そう一言残して脂汗をかきながら私に体重を預けてくる。そんなしずくに焦りつつも息があるので少し安心した。そんな時船からバキバキという音がする。そして船は半ばから二つに折れ海に沈んでいった。そんな中ミカゲさんの手を借りながらしずく抱え間一髪で海賊船に移動した。その時にクラーケンを確認してみると、目の少し上あたりに風穴があいておりゆっくりと船の方へと倒れているのが目に見えた。


「ちっ、クラーケンもやられたか。キャメル帰るぞ」


 悪魔の少女がそう言うとラクダが一声鳴いたあと、ラビィが帰るときのようにあたりに魔力をまき散らしながら消えていった。そして私の近くに魔族の少女が寄ってきて

「この勝負は預けといてやる」

と言ってから飛んでいってしまった。


 海賊との勝負が終わったあと、海賊船の中にしずくを運び込みラビィとレイクさんが回復魔法を使ってくれた。その後は私が看病する。キャンサー共和国の近くまでついたところでしずくが目を覚ます。


「ん、あれ?くーねぇ、あのあとどうなったの?」

「しずくのおかげでクラーケンは倒せたよ。あと魔族の子が勝負は預けるって」

「そっか、パイモンとの戦闘ほぼ負けた感じだったんだけどな」

「あの子パイモンって言うんだ」

「うん、女帝の側近の一人って言ってた」


そう言ってしずくは顔をうつむかせてしまう。その後、私のお腹に顔を埋める。

そして肩を震わせながら小さな声で気持ちを口にした。


「おねえちゃん・・・ぼく・・・・勝て・・・なかった」

「大丈夫、誰も欠けてないから。大丈夫だよ」

「でも・・・・ぼくが・・・・止め・・・・ないと」

「大丈夫だよ」


 嗚咽を漏らしながら私に言ってきているのに大丈夫と言いつつ抱きしめてあげる。そしてしずくが落ち着くまで背中を優しくぽんぽんと叩いてあげた。そして大分落ち着いたのか自分の状態について気づいたのか自分の右手の様子を見ている。


「あれ、そういえば右手痛くない」

「ぷっ・・ふふふ、もうしずく今更だよ」


 私は笑いながらもしずくの寝てたベッドの脇に腰を下ろした。しずくは私が笑っていたのに少しむっとしながらも手を直してくれたことについて聞いてきた。


「ラビィが直してくれたの?」

「そう、それとレイクさんが直してくれたの」

「そうなんだ、あとでお礼言わないとね」


 私としずくで話していると扉がノックされる。私はそのノックに答えると扉が開く。扉の向こうにはミラが来ていた。


「しずく、大丈夫?」

「うん、どうしたの?」

「あぁ、そうそう。陸見えてきたって」

「うそ、くーねぇちょっと見に行ってみよ」


 そう言ってからしずくがベッドから出る。その時にガクッと膝から力が抜けたのがわかった。私はすぐにしずくに肩を貸した。


「しずく、本当に大丈夫なの?」

「うん、多分大丈夫だと思うんだけど、なんでだろう足に力が入らない」

「それならいいんだけど、何かあったら教えてね」


 しずくに肩を貸しつつ甲板に出る。甲板に出るとエレンさんたちが見張りをしていた。エレンさんにしずくの足に力が入らなかったことを言うと説明してくれた。


「あの海賊たちとの戦いで、私たちは全員でクラーケンの相手をしていましたが、しずくさんだけは一人であの魔族と戦っていました。そのため魔力を限界以上に使ってしまったのでしょう」

「そんなことってできるの?」

「えぇ、できます。ですが魔力枯渇より以上に反動が大きいので今回のもそうでしょう。しばらく休めば治ると思いますよ」

「そうなんだ、よかった」

「治るといっても、体にはよくないので頻繁に無理はしないようにしてください」

「はい」


 エレンさんに釘を刺されてしまいしずくは大人しく頷くことになった。

 しずくの状況も終わったあと、陸について聞いてみると船の先を指差した。そこには海岸と半壊した港街が見えてきた。

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