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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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地獄の海戦_3

----------しずく視点-----------

(くーねぇのことも心配だけどこっちはそれどころじゃないんだよな)

そう思いつつ今の状況を確認していく。

まず、武器としては右手に媒体なしで作りあげた水の剣。左手に積水を媒体として作り出した闇の剣を持っている。次に身体の損傷としては右手が上腕の骨にヒビが入っており動かすことができない、その為今は自分の影で無理やり動かしている状況だ。最後に魔力と体力だが体力は問題ない、魔力は右腕を動かす際にどんどん消費している。

(このままだとやばいな)


 現状の確認を進めているとラクダに乗ったパイモンはなおも少しづつだが、ぼくのもとへ近づいてきているのでゆっくり状態の確認ができた。パイモンは確認が終わるのを待っていたかの様にラクダの背中を一定のリズムで叩く。するとラクダはのんびりと口を開けて砂の竜巻がぼく目掛けて向かってくる。

 砂の竜巻に当たる前に横へ跳ぶ。横に跳ぶとラクダの動きと違い、勢いよく蒸気を上げながら通過した。


「これは火と地属性なのかな?」

「頭悪そうなのに気づいたのか」

「頭悪そうなのは余計だ。それに砂が通過して水が蒸発してるんだから直ぐにわかるよ」


 パイモンと話していると、再度パイモンはさっきと違うリズムでラクダの背中を叩く。するとラクダは再度口を開き今度は砂の弾丸を撃ちだした。それを回避するとパイモンは「ニヤー」っと口が裂けた様にして笑った。その顔を見て僕は急いで後ろに振り返った。そこには船に向け一直線に進む砂の弾丸があった。

 それを確認したぼくはなにも考えずにシャドウウォークを発動させ船の影へと移動し、即座に船と砂弾の間に割り込んだ。そのまま影で無理くり右腕を動かし水の剣で、砂弾を弾く。それだけで僕の周囲を蒸気が満たす。

蒸気に満たされたことにより視界が遮られるが前に飛び込むことで蒸気から抜け出す。

 抜け出した先には既にパイモンが先回りしており、空中でくるっと一回転してからぼくに踵落としをしてくる。

 ぼくに襲いかかってくる踵を闇剣を横に払うことで何とか受け流しに成功する。その際に「ピキッ」という音がして闇剣にヒビが入ってしまう。

ぼくはヒビが入った闇剣に魔力を流すことで修復する。修復したことによって、維持しているだけより多くの魔力を消費した。そうしているうちに自身の魔力も大分少なくなってきていることに気がつく。


(さすがに長時間海上に立っているし剣2本の維持だからな。魔力的に船に戻らないといけないんだけどあれを放置もできないし、無理するしかないかな)


 そう思いつつパイモンの呼び出したラクダを睨みつける。

 ぼくはパイモンを無視し、ラクダを狩るために距離を詰めるが横合いからパイモンが接近してくる。それを横目に確認するとタイミングを見計らい、パイモンの蹴り出した足に飛び乗ってからラクダに飛び込む。それを見たパイモンは顔を歪めてからぼくに対し睨みつけていた。

 ラクダに近づくと一気に熱が上昇する。上昇した熱によってじっとりと汗をかく。汗を気にせずに切りかかるとラクダは闇剣に対し小さな竜巻を吐き出した。吐き出された竜巻で剣が弾かれる。

手元に高熱の砂が当たったことによって軽いやけどを負ってしまう。そのまま剣を弾かれたことにって、踏ん張ることができず後方へ吹き飛ばされてしまった。吹き飛んでいる途中、海面に足を付けることで少しづつ速度を落とすことができた。

 何とか速度を緩めることができたところで横合いから闇の槍が顔めがけ飛んでくる。それを紙一重で躱すことができた様に思えたが額を切ってしまった。


「最悪だ。さっきの汗が傷に触れてしみる」

「さすがにそろそろ魔力的にも限界だろう」

「だからといって諦められないんだよね」


 パイモンと話しているあいだにも汗と血は流れてくる。流れてくる汗と血を左腕で拭ってから、パイモンに斬りかかる。それに対しパイモンは、腕を横に振り抜くことでぼくを弾き飛ばした。だがそれはぼくの予想通りの行動となる。ぼくの吹き飛ばされた方向は、ラクダのいる方向となる。ラクダの方に近づくにつれ、さっきと同じように暑さも増していく。そして後少しでラクダに攻撃が当たるというところで「どぷん」とぼくの体は海面へと落ちた。


----------くるみ視点-----------

 グレンさんの攻撃が通るようになってから、こっちに有利になるかとも思ったがクラーケンが水中に潜って動きを見せてこない。クラーケンを警戒しているあいだに乗り込んできた海賊たちと白兵戦の様相になってしまった。


「お前ら、男は皆殺しだ。女は好きにしていいぞ」

『おっしゃぁ!!!さすがボスだぜ』


 ボスと呼ばれた男の言葉に、周りの下っ端海賊たちが歓喜の声をあげる。それを聞いた私たち女性陣は顔を歪める。そしてエレンさんは「このゲスが」と言っていた。

 海賊たちは積極的に私たちに攻撃を仕掛けてくる。だが、男性陣に対しては首や胸と言った急所を積極的に狙っているのに対し、私たち女性陣に対しては足を中心にして行動力を削ぐ様に攻撃している。


「お前ら、こんなあからさまに舐められていいのか」

「あぁ、いいわけないよな。明らかになめくさってやがる」


 グレンさんが声をあげるとアキラさんもその声に応えていた。それだけじゃなく私含め女性陣も怒りを孕んだ顔をしていた。そのままミカゲさんは口まで上げているマスクを下ろし手にグローブをきゅっとつけている。エレンさんは持っている細剣が薄らと赤い光を宿していた。

カエデと私、ラビィとエルフの4人は後方に集まり魔法と矢で少しづつ相手に放っていく。海賊たちは風の盾や火の渦といった魔法で無効化されてしまった。その様子を見ていたエレンさんは気になることを言ってきた。


「おかしいですね。普通賊全員が魔法を使えることはないはずですが」

「ということは誰かが教えた、と言っても一人しかいないですね」


 私は伝えるとちらっとしずくと戦っている魔族の少女へと目を向ける。そうして見ていると海上にラクダが召喚されているのが見えた。

(これはこっちだけじゃなくてしずくの方もきつそうだな)


そう思いつつこっちの相手をする。そうしているとアキラさんが声をかけてくる。


「おい、くるみ。模擬戦の時のように森は出せねぇのか」

「それは無理。やろうとしたら船が壊れるよ」

「なるほどそれは無理だな」


そう話していると

「な、何だってんだ。うわぁ」

という言葉とともにゲソに捕まった海賊の下っ端が海中へと引きずり込まれていく。そして海面が薄らと赤くなったかと思うと赤い色が拡散していく。それを確認すると今度は、触腕を伸ばし一気に私たち含めからめとろうとしている。そのゲソに捕まった相手は海中に引き釣り込まれていく。そしてまた界面が赤く染まった。

 今まで炭化して再生ができていなかった箇所含め全てが万全となったクラーケンが再度姿を現した。だが、さっきより一回りほど巨大になっての登場となった。

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