地獄の海戦_2
----------しずく視点-----------
くーねぇに言われて【ナイトヴィジョン】を使ってまもなく、ゴブリンの巣で感じた殺気と同質のものを感じた。その感覚に従いダークブレードを振るうと、以前会った魔族の少女が姿を現した。
「やっぱり君だったか」
「何だ、あの時の雑魚どもか」
「あの時と一緒と思わないでね」
「ふん、そう言うなら実力で証明しろ」
魔族の少女はそれだけ口にするとぼくの隣から闇のランスを作りだす。それを確認したぼくは積水を取り出しダークブレードをもう1本作り出し、闇のランスの動き出しと同時に横に弾く。それでも闇のランスは止まることを知らず、空中で球体となり再度ぼくの方へ向かって飛んでくる。そして闇の槍を躱したあと球体になっている間に切り捨てる。それを見た魔族の少女は口元に少し笑を浮かべている。
「へぇ、なかなかやるじゃないか」
「もちろんだよ」
「それじゃこっちも少し本気といこうじゃないか」
そう言うと魔族の少女は姿を消す。姿を消した魔族の少女に対しぼくは殺気に対する反射で闇剣を振るう。すると殺気を感じた背後では爪を伸ばし受け止めている。その時の魔族の少女は驚きと愉悦に歪んでいた。
「面白い、お面白いぞお前」
「!?」
ぼくは突然の声に驚いてしまう。そして魔族の少女は距離を開け仕切り直しの様相を取った。
「私はパイモン。女帝であるミュセル陛下の側近。4人衆のひとりだ。お前の名前は?」
「へぇ、そういう名前なんだ。ぼくは九条しずくDランク冒険者だよ」
「その腕でDランクか。ギルドの目も随分節穴となったもんだ」
「へぇ、ギルドのこと知ってるんだ」
「もちろんだとも。これでも数百年は生きてるんだ。こどもの頃には冒険者紛いのこともやっていたよ」
魔族の少女改めパイモンは自身の爪に魔力を流す。魔力を流したことにより爪が伸び剣の様に使えるようになっている。伸びた爪を舌でぺろっと舐めたあとぼくに向け爪を横に振り抜けた。ぼくはその爪を闇剣で受け止める。パイモンは闇剣で爪を受け止めたことによってますます笑を深くした。
その時、船がいきなり前進しぼくはバランスを崩してしまう。そこへパイモンは横に爪を薙ぐ。ぼくはバランスを崩していることで闇剣で受けることもできず肩が切れてしまった。
「くっ!!」
「運が良かったといったところか」
「まだまだ」
パンドラはぼくの気概を買ったのか爪で突き刺してくる。ぼくはその腕を掴んで船外へ投げ飛ばす。投げ飛ばされたパイモンは空中で翼を広げ空中で態勢を整えた。一方ぼくは渋々積水をパイモンへ投げてからぼくも船外へ躍り出る。そのまま訓練中にやったように海面に降り立った。
海面の方が急に揺れたりしないので戦いに集中できる。一方パイモンはぼくの投げた積水を手のひらで受け止めようとしていたが既のところで躱した。そして積水のことに気づいたのか憎々しげにぼくを睨みつけた。
「そうか、あの時のふたりはそういうことか」
「どういうこと?」
「あの時に私の手のひらを貫通してくれたあいつの関係者だろ?」
パイモンの言葉にぼくはカールたちが助けてくれたといことを思い出し、無言で投げた積水を回収する。パイモンはぼくの行動を無言の肯定と受け取ったのか、私の懐に潜り込んでくる。そのまま肘鉄で鳩尾をえぐろうとしてくるが、左に移動することで脇腹の少し上を擦る程度だった。その後、間髪いれずに回し蹴りをしてくる。それに対応することができず右腕に諸に受けてしまい「ミシリ」という音が聞こえてきた。
「あ゛がっ!!!」
「まぁ、おまえがあいつらと関係があろうがなかろうがお前を殺せば反応があるだろう。あの時もお前たちを助けるために来たようだったしな」
「まだ、まだーーー!」
「その気概は気に入った。だがな大人しく死んでくれ」
(この感じだと右腕の骨にヒビ入ったかなそのせい武器を振るうのが難しい、)
「だからと言ってここで死ぬわけにはいかない」
「そうか、なら無様にあがき死ぬんだな」
パイモンがそう伝えてくる。パイモンは再度ぼくとの距離を詰め右側から集中的に攻撃をしてくる。パイモンが距離を詰める少しの時間を使い左手に持った刀をしまい積水を左手に持ち替えた。持ち替えた闇剣で攻撃を何とか捌いていく。未だに片腕が使えなくなって以降、クリーンヒットがないのを焦れたのか空から闇の球体が降ってくる。それを海水を斜面にして強く蹴ることでその場所から移動した。移動してまもなく今までいた場所に水柱が建つ。
出来上がった水柱を手刀で切り捨てゆっくりとぼくの方へと近づいてくる。それに対し自身の影を糸状にして右腕にくくりつけた。そして括りつけた影の紐を動かすことで腕の状態にかかわらず無理やり動かす。そしてミカゲさんとの戦いで作った水剣も作り出した。
「ふん、なかなか小ワザを覚えたようだが意味ないんだよな!!」
「くっ!」
パイモンがそう言うとともに周囲から光が消えた。それと同時に正面にいたパイモンも姿を消す。そして複数の箇所からパイモンの気配を感じることとなった。
感じとった気配は一直線にぼくのもとへと突っ込んでくる。それに対しぼくは水面に立つのをやめ「どぼん」っと海の中に落ちた。すると今までいた場所に四方にいたパイモンたちが集まった。そのまま、ぼくを追うように水中へと移動してくる。
「ん!」
水中に飛び込んできた4体のパイモンを闇剣を肥大化させ全て切り捨てる。それと同時に視界は確保されたが、正面からパイモンが迫ってくる。正面から来てるパイモンは一瞬姿をくらます。ぼくは姿をくらましたパイモンの気配を追うことで、居場所を確認することができた。
パイモンもそれに気づいているのか度々位置をずらしているようだ。そして何度目かの移動の後、既にパイモンはぼくのすぐ背後に移動していた。それに気づき、周囲にある海水を操作しパイモンに対し打撃を与える。打撃を当てられたパイモンは途中で態勢を水中ということもあり、すぐには態勢を整えることができずにいた。ぼくはそのまま海面へと移動する。海面に移動してから海面に足をつける。すると、態勢を整えたところで足元から怒気を伴った気配が急接近してくるのが気づけたのでその場から飛び退く。
飛び退くと同時に先程までいたところからパイモンが飛び出してくる。飛び出してきたパイモンは、詠唱を開始した。
詠唱を開始したのを確認したぼくはすぐに海面を蹴ってパイモンに接近する。接近したことによってパイモンは僕に向け蹴りを放つ。それを影操作で無理やり動かす右手に持つ水剣で受け止めた。
水剣で受け止めたことによって、水剣は砕ける。そしてパイモンの詠唱は完了し、パイモンの周囲にコウモリが集結してくる。コウモリは少しづつ形作り、ラクダの形となった。そのままラクダは地面に降り立ち「ジュ~」という音をだし、海面から湯気が出ている。
そのまま、ゆっくりと海面から湯気をだしつつぼくのもとへ近づいてきた。




