模擬戦のあとで
私たちとグレンさんたちの模擬戦が終了したあと、ギルドの酒場で先ほどの模擬戦の反省会を開いた。グレンさんたちもとなりの席で反省をしている。
反省会の全体としては、以前よりはマシになったが引き続き攻撃のバリエーションの少なさとそもそもの技量不足となる。
個別で言うと、私がアキラさんに説教されたように自己評価の低さと森を生成しやすくするための苗木の収集、魔力コントロールの粗さとなった。しずくは私と同様に魔力コントロールの粗さ、戦闘に集中するまで時間がかかる。ミラが、近接戦闘の上達、応用魔法の習得となった。
実際今回最後に使った装着型の風の刃はカエデたちの真似だったので自分のオリジナルというわけではない。そのため相手の意表をつくことは難しくなってしまう。なので自分たちだけのオリジナル技を作る必要があった。
お互いのチームで今回の反省点をまとめ終わると今度は席をくっつくけて明日からの海賊討伐の話に移っていく。
「まぁ、お前たちの実力はわかった。悪かったな見下した言い方して」
「いえ、逆の立場だった場合私たちもそんなに大きく変わってるとは思えないので大丈夫です」
「そう言ってくれるとありがたい」
「それで、明日からの話だが、海賊の規模などは特に聞いていないのか」
「マルクスさんから聞いていないですね。こちらに伝えれるどころじゃないかもしくは向こうも海賊の規模を把握できていないのではと思います」
「まぁ、そうだろうな。それに海賊相手なら戦いなれているCランクチーム2ついれば十分に対応可能な戦力という想定なのだろう」
「すまない、少しいいだろうか」
私とグレンさんで明日のことを詰めていると私たちに声をかけてくる一団がいた。声をかけてきた一団を見てみるとレイピアのような細剣を腰に下げたエルフのお姉さんがいた。その後ろにはローブ姿のエルフの女性が2人と革鎧を着て弓を背負ったエルフの男性が2人いた。
弓を持ったエルフのうち見た目20代の優男風のエルフと目が合うと彼はニコッと笑いかけてきた。それを見たしずくのセンサーに引っかかったのか優男さんに対し露骨に警戒している。それに気づいたのか見た目30代のエルフが優男さんの頭をげんこつで叩いた。
「お前は女と見ると直ぐに色目を使う癖何とかしろ」
「なんすか、マークさん?可愛い子に対してそれ相応の対応しないと失礼じゃないですか」
「レイク、いい加減にしないか」
男性のエルフ2人の口論を私たちに話しかけてきた女性エルフが止めに入る。このチームのリーダだからなのか優男エルフは渋々口を閉ざす。それを確認したあと、私たちに向き直り1枚の依頼書を見せてくる。
「先ほど、海賊がどうこういっていたと思ったんだが、この依頼の話で問題ないだろうか」
エルフさんが見せてきた依頼書は私たちの持ってきた依頼書で間違いなかった。その依頼書を確認したあと、グレンさんが代表して話を進めていく。
「そうだが、君たちが最後の1パーティということでいいのかな?」
「はい、それで彼女たちもあなたのパーティメンバーでしょうか」
「いや、くるみ、彼女たちはこの依頼をここまで持ってきてくれたパーティだ。それに彼女たちも海賊に討伐に参加する形になる」
「実力の程は?」
「ギルドランクとしてはDランクだが、実力はCランク以上と思ってくれて構わない」
「その確証は?」
「そうだな、依頼の開始は明日からだから時間的に猶予はないんだよな」
「確かに時間がありませんか。仕方ありませんあなた達の言葉を信じましょう」
「別に代表戦なら今からでもいいよ」
「ちょっと、しずく」
「ほう、いいでしょう。それでは私が相手になります」
二人の話にしずくが食ってかかりこの後に代表による模擬戦をすることになってしまった。。
(どうしてこうなるのかな)
「そうこなくっちゃ。くーねぇは魔力が回復しきっていないしミラとラビィは相性悪いからぼくが相手になるよ」
「しずく、大丈夫なの?しずくも結構魔力使ったって聞いたよ」
「大丈夫、くーねぇよりは休憩挟んだから充分に戦えるよ。それにそこまで時間がかからないだろうから」
「!?」
そう思っていても話はどんどん進んでいく。
しずくがそう口にすると細剣エルフさんの表情に怒気が混ざった。その怒気を容赦なくしずくへぶつけてくる。しずくは気にした素振りを見せずに流していた。
「くーねぇに色目を使ったことへのお仕置きとぼくたちの実力を見てもらわないと」
「しずく根に持ってたんだ」
「?」
ミラが特に気にせず呟いたことをに対ししずくがうまく聞き取れなかったのか、意味がわからなかったのか不明だから、頭に?を浮かべている。それを見た、細剣エルフさんは気にした素振りを見せずに訓練場へと移動していく。そのあとに私たちも移動したことによって、訓練場で細剣を持つエルフとしずくが一騎打ちで戦うことになった。
今回の審判はグレン、私、マークと呼ばれた男エルフとなった。戦闘開始はお互いに委ねるとして模擬戦は開始した。
しずくと細剣エルフさんは10Mほど開け、にらみ合う。その後お互いが同タイミングで距離を詰めた。お互いが動き出したあとは、しずくの言ったとおり一瞬で勝負が決まった。細剣エルフの持つ剣が当たる距離になったところでしずくは影に潜り細剣エルフの背後から闇剣を細剣エルフの首元につきつけている。
「そこまで、相手のランクを気にしすぎて足元すくわれたな」
「っ!?確かに、それは否定できません。でも何故あの剣で受けなかったのでしょうか」
「それはしずくにきいみないとわからないかな」
グレンさんと細剣エルフさんの話に混ざる形で入る。細剣エルフさんの気になったところをしずくに聞いてみると簡潔な返事が帰ってきた。なんでもあのままぶつかったら細剣エルフさんの剣がダメになる可能性があったとのこと。実際に剣を地面に突き刺すと「じゅっ」という音がして地面が少し溶けたあと魔法が砕けた。
「なにげに複数の魔法合わせてたんだ」
「一時的だけどね。完璧にするにはまだまだ訓練が必要だよ」
「なるほど、この中での一番実力不足は私たちということですか」
そう言葉にしてから細剣エルフさんたちと一緒に食堂へ戻った。
食堂に戻った後は各々挨拶をして、親睦を深めてからこの日は分かれることになった。
エルフの人たちのメンバーの内魔法使いの二人はミオとリオという双子のようで私としずくと気が合い直ぐに仲良くなった。弓を持った男エルフの二人は優男のレイク、止めに入ったのがマークというらしい。細剣を持ったエルフはエレンと名乗り、このパーティのリーダであることを名乗った。
明日の海賊討伐は遠くから海賊船へエレンさんパーティが主体で遠距離攻撃できる人たちが攻撃し白兵戦になったところでグレンさんやしずくたちが対処するということになった。私が見た夢のことについては申し訳ないが伏せてある。言ったところで信じてもらえないと思っているから。そのまま、不安な心を抱きつつも海賊戦前日は過ぎていった。
翌日私たちはワサトの港に集合した。港には商船に偽装した軍船が1隻停まっており、その船に乗り込む。軍船に乗って待っているとエレンさんとグレンさんのパーティが軍船に乗り込んできた。これで全員揃ったので、碇が上がり船が出航した。




