VSミカゲ_1
----------しずく視点-----------
チャリンとコインが落ちたと思ったらミカゲさんがいなくなった。ミカゲさんがいなくなったのを確認した後、ぼくは直ぐにくーねぇたちの影に魔力を行き渡らせる。行き渡らせたと同時にくーねぇの影に揺らぎを感じた。ぼくは刀を抜きギリギリでくーねぇの影から出てきたミカゲさんの忍刀を受け止めることができた。
「くーねぇはやらせない」
「!?」
ぼくはミカゲさんのお腹に蹴りを入れ、くーねぇから距離をとる。その後、蹴り飛ばしたミカゲさんとの距離を詰めてからダークブレードを発動させた。
「ビックリ」
「ぼくも闇属性は使えるからね」
「まぁ、そうですよね。早いうちに数的有利欲しかったですが【影分身】」
「その時点で数的有利取れてるんじゃないかな」
ミカゲさんは影分身含め3人になった。どうも状況を見るに防御特訓時にみたシャドウクローンと同じ能力のようだ。ということはこの3人を止めないといけないということでもある。
(やっぱりこの人たち相手だと一筋縄じゃいかないか)
既に抜いた刀の他に積水を抜き、積水に刀と同じ要領の魔力を使いダークブレードを発動させた。それによって、ぼくの身長より長い2m超えの刀にした。
「ミカゲさん、他のみんなには行かせないからね」
「出来ると思う?」
ぼくとミカゲさんと話しているうちに分身の1体がミラたちの方に向かおうとしていたが、その分身を刀を投げることによって仕留める。そのまま刀の柄につけていた糸状の魔力を引くことで回収する。投げても回収が出来るとは言え回収に少しの時間がかかってしまう。そのうちにミカゲさん本人と残りの分身が距離を詰めてきた。
ミカゲさん達との距離が2mを切ったところで、積水を振るう。だが、最初の一人目の忍刀に防がれてしまったが、力任せに二人とも吹き飛ばすことにした。その間に投げた刀を回収できた。ミカゲさんと距離が空いたこともありくーねぇの方をチラっと確認するとアキラさんを相手に苦戦しているのが見て取れる。
(さすがにくーねぇにあの人はまずい)
「よそ見厳禁」
「くっ」
くーねぇの方に気を向けているとみかげさんの方から苦無が6本投げられた。ぼくは飛んでくる苦無を2本の闇剣で撃ち落とそうとする。だが、飛んでくる苦無の半数には実態がなかったため、感覚が狂い実際のところ1本しか撃ち落とせなかった。抜けた2本の苦無はぼくの頬を掠めていくだけだった。
(致命傷与えないように気をつけてるのかな)
そんなことを考えていると頬を掠めた苦無の影を基点として再び分身が1体出てくる。その分身の影がぼくの上に被さったことで気づくことができた。上から振り下ろされる忍刀を刀で受け止めようとしたところで、さっきの苦無のことを思い出し横に転がるように飛ぶ。振り下ろされた忍刀は空を切るに終わった。
「本当に厄介だねそれ」
ぼくがミカゲさんにそう告げると唯一見える目が弧を描いた。他のみんなのところには行ってないから問題ないけどかなりやりにくい。積水が杖の役割もある関係で投合もできるようになりはしたが、積水がないと投合ができないので安易に手放すわけにもいかない。それにさっきは不意打ちだったから当たっただけだと思う。
「どうせこれも効かないんでしょ【ダークソーン】」
ぼくはダメもとで少量の魔力で3人のミカゲさんの足元から1本の刺を出した。ミカゲさん達はそれぞれジャンプで刺を躱し、再び苦無と手裏剣と1本づつ投げてくる。ぼくはさっきとは違いすべてを撃ち落とさずに、致命傷となる苦無と手裏剣を打ち落とす。今回も実態は1組と考えていたが今回は3組すべてが実体があったようで撃ち落とした物以外も体に傷をつけていく。
「魔力量によって実体と非実態を分けてるのかな」
「ご明察」
「ありがとう」
ぼくの予想を口にするとミカゲさんは答えを教えてくれた。その後、懐から苦無を1本ぼくの足元へ突き刺した。その苦無に赤い魔法陣の書かれた紙が巻きつけられており、その紙に火が灯りチリチリという音を出している。
「やばッ」
そう思ったときにはぼくの足元で爆発が起きた。
「あっぶな」
「何でまだ生きてる」
「その言い方ひどくない、でも初めて背後取れた」
何とかシャドウウォークで躱せたぼくは、驚いているミカゲさんの後ろから積水を振り抜く。振り抜いたことによって、影でできたミカゲさんを2人消滅させることができた。それによってやっと1対1そしてミカゲさんに接近という有利な立場を作ることができた。ミカゲさんは、忍刀を抜き振り下ろし、それを受けるためにクロスさせたぼくの刀と鍔迫り合いになる。その時にミカゲさんから珍しく話しかけてきた。
「最初の攻撃で手加減できる相手じゃないってわかったからね」
「それはどうも、僕たちの方は最初から全力で相手してるんだけどね」
「そこは経験の差。後、手加減出来ないから、致命傷になったらごめんね」
「それはお互い様だよ」
その会話をした後、ぼくは力を入れミカゲさんを後ろに押し返した。それに合わせる形で、ミカゲさんは後ろに飛び苦無を投げてくる。投げた後ろからミカゲさんが接近するために再度距離を詰めてきた。再度接近されたことによって今度はその場にとどめる形で刀を振るう。だがミカゲさんの袖や懐などに入れられた苦無や手裏剣等を投げてきて少しづつ傷ができてくる。それを嫌ったぼくはミカゲさんから距離をおくことにした。
「勿体無いな。せっかく面白くなってきたのに」
「ミカゲさんのそれが本性?」
ミカゲさんが口に当てた布を外しニタリと背筋が凍るような笑を浮かべている。そんなミカゲさんにぼくはより一層警戒心を上げ、60センチまで縮めた積水と刀を構えなおす。
警戒していたにもかかわらずミカゲさんが姿を消した。その直後ぼくの目の前に姿を現し回し蹴りを放ってくる。ぼくはその蹴りに反応することができず脇腹に直接受けてしまった。
「かはっ」
ぼくは脇腹を蹴られ少し距離が空き、あまりの痛みにうずくまっているぼくに対しミカゲさんがとかけてくる。
「これで終わりじゃないですよね」
「もちろん、くーねぇも苦手な近距離相手に頑張ってるのにぼくが諦めるわけには行かない」
「それは残念。あまり傷付けずに終わらせたかったのですが、仕方ないですね」
ミカゲさんからの問いかけに終わりじゃないと返し、刀を杖にして立ち上がった。そのまま脇腹の状況を確認し、戦闘に影響がないことを確認する。確認した結果影響は少ないが
(肋骨が1本いってる可能性もあるな)
と判断する。骨折したこともありこのままでは長くはもたないのは間違いない。ぼくは一度深呼吸して息を整えてから魔力を目に集中させる。それによってミカゲさんの動きを少しだけ視認することができるようになった。それで少しぶれているけど全く見えないよりは全然いい。
一方ミカゲさんも手元がくるわないように指抜きされたグローブを履着終わったところだった。
「さぁ、ここから第2ラウンドですよ」
「望むところ」
お互い開始の言葉を待つことなくお互いの中央でぶつかり合うことになった。




