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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第四章
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VSイストワール

 アシュリーが、全員に「プロテクト」の魔法をかけます。フィーネがガストンに命令を出して、イストワールを攻撃しようとしますが、彼はあちこち瞬間移動して、なかなか当たりません。それもそのはず。イストワールはこの世界アドューラを自由に行き来することができるのですから。


「まずはゲルティアスを浄化させます。みなさん、時間を稼いでください」


 アズトールが言った瞬間、イストワールは彼の背後に移動して、炎と雷の球を放つ魔法、「ファイアーボルト」を使ってきました。いくら「プロテクト」の魔法で守られているからといって、そのダメージは大きいものです。バーンたちはアズトールを囲うように、陣形を組みました。全員が守りの体制に入ります。


「――ガストンに命じる。私たちの周りに固い土の防壁を作れ――」


 フィーネの命令で巨大化したガストンは、土に振動を与えて、彼女らを包み込むような岩の塊を生成しました。そして、その強度を高めるために、レティがクモの巣のような糸を張りめぐらして、内部をまゆのようにします。その間も、イストワールは彼らの固い防御を崩そうと、さまざまな魔法を使ってきました。


「……出でよ、キラリクス!」


 アズトールの召喚で、浄化されたゲルティアスは、本来の神々しい威厳のある姿に戻ります。そして、流星雨りゅうせいうに満ちた空を見て、こう言いました。


「お前たちに女神の祝福をやろう。そしてイストワールを倒してラストゲートへいくのだ」


 ゲルティアスはエメラルドグリーンの瞳を夜空に向けて、「グォーン!」と雄たけびを上げます。それは、イストワールに穢れさせられていたときのものとは違い、どこか聞いていて心臓がドクン、と高鳴るような鳴き声でした。その声を聞いた瞬間、バーンたちはお互いの考えていることがわかるようになったのです。そして、心の底から力がみなぎってきました。バーンの女神の大剣がエメラルドグリーンに強く輝きます。そのときです、バーンはある技を思いつきました。それは、攻撃が当たるまで敵を追い掛け回す光の獅子を放つ、その名も……


獅子尾行閃ししびこうせん!」


 見事にイストワールへと攻撃が当たります。その威力も凄まじいものになっていて、彼は動けずにいるようでした。バーンたちは慎重にイストワールへと近づきます。バーンの技の影響で彼のフードは脱げてしまっていました。そこに映っていたのは、若い女性らしきシルエットの顔です。右手には『イミタシア』が握られていました。


「これはどういうことかな? おじいさん。いや、お姉さん?」


 レティの質問に、イストワールは、「ゲルティアスが話してくれるでしょう」と、今までの話し方とは全く違った様子で答えます。ゲルティアスはそんなイストワールを哀れむような目で見ていました。バーンたちはなにがなんだかわかりません。おじいさんだと思っていたイストワールが、若い女性の声で話しかけてくることや、ゲルティアスがその真相を知っていることが理解できなかったのです。


「ゲルティアス、どうか全て話してください」


 アズトールが言いました。すると、ゲルティアスは水晶でできたたてがみをゆさゆさ揺らしながら、「いいだろう」といいます。孤島に涼しい風が吹きました。事の真相とは一体なんなのでしょうか。

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