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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第三章
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マナルギー研究所

 バーンは、マナルギーを生成する場所のありかを尋ねます。アルベール帝王は彼のほうへ近づいてくるトゲにおびえながら、こう答えました。


地下迷宮ねっこの最深部にあるのが、マナルギー研究所だ。そもそも地下迷宮ねっこは、罪人や犬猫なんかの死骸をルナ鉱石にわせて、マナルギーに変換するための装置。言うなれば、このユグドラシルそのものがマナルギー生成のために造られた巨大設備なのだ」


「……では、あなたが今まで地下迷宮ねっこに送った人や動物たちは、被験者であり、気に入らない相手だったということですね……」


 アシュリーが手にした杖をグッと握ります。そして、バーンたちは思いました。マナルギーが生成されるのには、必ず犠牲者がいる。そして一級魔術師が持っている小銃の甘い香りのする液体。あれもマナルギーなのか尋ねます。すると、アルベール帝王は、


「まぁ一応薄めてはいるが、マナルギーもどきだ。お前たちがトロトロしていたから、オーブ鉱山のオントロンを始末してやった。あとは、あの大きなルナ鉱石を採掘して、今よりもっと強力な兵器を造って、エルフの里にある宝具、女神の指輪を手に入れるつもりだったのに……」


 と言って、レティのトゲに刺さって気絶しました。


「もうしゃべらなくていいよ。それに君たちもね」


 レティは、オントロンの死で泣いているリリィを横目で見ながら、一級魔術師たちにトゲを刺します。一級魔術師たちは悶絶してその場に倒れこみました。


「バーンさん。このユグドラシルを破壊しましょう。それが、ドワーフのみなさんやエルフの里のみなさんを救う唯一の方法です。どこかにコアがあるはずです」


「アルベールは、地下迷宮ねっこの最深部にマナルギー研究所があると言っていました。まずはそこへ行ってみましょう。アシュリーさんの言うように核があるかもしれません」


 アズトールが、バーンに問いかけます。彼は、頷いてアシュリーに「メモリーワープ」の魔法を使うように促しました。アルベール帝王たちの拘束を解くレティ。フィーネが、「放っておいていいの?」と尋ねましたが、彼は、


「大丈夫、半日は動けないよ。それに、アルベール君にはアルベール君なりの理由があったんだよ。罪のない人や動物……オントロンを殺してまでも手に入れたい何かがねぇ。研究者のやることは理解できないけれど、同情はするよ。たった一つの誤った研究のせいで、今まで培ってきた研究がゼロからスタートになってしまうんだから」


「やっちまえ! やっちまえ!」


 リリィはレティの絨毯の上でぴょんぴょんはねながら、アルベールに止めを刺すように促します。そこでバーンは考えました。リリィの悲しい気持ちや溢れ出る怒りの気持ち、それらにまかせて大剣を振るえば、この黄金の城、ユグドラシルは赤い血で染まることでしょう。果たしてそれは正しいことなのか。確かにアルベール帝王は間違ったことに手を染めていました。そしてそれは、ユグドラシルがある限り果てしなく続くことでしょう。ここでバーンの中に二択が浮かびました。アルベール帝王を殺すか、ユグドラシルを壊すか。彼はじっくり考えてから、横たわるアルベール帝王に背を向けて、アシュリーに地下迷宮ねっこの最深部分へと移動しようと言います。


「……アンタの仇は、コイツの夢の破壊で叶えてあげるから」


 フィーネは、号泣するリリィの頭を撫でながら言いました。アシュリーが「メモリーワープ」の魔法を使ってマナルギー研究所……アルベール帝王が言っていた地下迷宮ねっこの最深部分へと、全員を移動させます。そこには、大量のきんでできた小銃や、壁伝いに特殊な素材でできた透明な管が見えました。中にはルナ鉱石がゴロゴロと入っていて、どこかへと流れていく様子。


「あの管を辿ってみましょう。きっとどこかに繋がってるわ」


 フィーネが言います。バーンたちは彼女についていくように、研究所の扉を開けました。

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