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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第三章
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乗り込め、ユグドラシル! 2

「それでは、アルベールのところまで移動します。準備はいいですか」


 アシュリーがバーンたちに確認します。彼らが頷くと、彼女は「メモリーワープ」の魔法を使って、全員をアルベール帝王のところへと移動させました。そこには、まるでバーンたちが来るのを待ち伏せていたかのように、複数の一級魔術師が黄金の小銃のようなものを手にして立っています。杖は握っていませんでした。


「なんかわからないけど、私たちはアルベールに用があるの。どかないと痛い目にあうわよ」


 フィーネがガストンに命令をしたそのときです。一人の一級魔術師が巨大化したガストン目掛けて手に持っていた小銃を放ちました。銃口からは、弾丸ではなく甘い香りのする液体が出てきます。それがガストンに付着すると、気化してしまいました。これは見覚えがあります。レティが術や技を使えなくなってしまった原因の、謎の液体でした。みるみるうちにガストンが小さくなっていき、黒猫の姿に戻っていきます。一級魔術師たちは、バーンたち全員に目掛けて小銃を放ちました。浮遊できなくなるレティ。魔法が使えなくなるアシュリー。


 しかし、バーンの女神の大剣は、エメラルドグリーンに輝いて周囲の謎の液体を弾き返します。バーンの近くにいたアズトールは、『アニマハール』を開いて急いで詠唱しました。


「それは、清らかな泉の主。それは、浄化の洗礼……出でよ、ルフォーレ!」


 召喚されたルフォーレの口から、バーンたち全員の頭上に目掛けて水が注がれます。すると、ガストンは再び巨大化しました。床に落ちたレティの絨毯も浮上し、アシュリーも魔法が使えるようになります。


「――ガストンに命じる。周囲に波動をもたらせ――」


 一級魔術師が混乱しているなか、先制したのはフィーネでした。ガストンがその大きな拳を床に思いっきり振り下ろして、地震のような振動を起こします。ガストンとレティ以外はみんなぐらついて体制を乱しました。その隙にレティが一級魔術師たちを拘束します。振動が落ち着いて、バーンたちが体制を整えたころ、奥に隠れていたアルベール帝王がしりもちをついているのが見えました。それもレティが拘束します。バーンはアルベール帝王に、マナルギーについて尋ねました。悪態をつくので、レティは彼に繋がっているクモの巣のような糸に無害なトゲを一本、発生させました。相当痛かったのか、アルベール帝王は「ぎやぁあ!」と叫んで、バーンたちに話し始めます。


「あ、あれは生命体や術のエネルギーを吸収したり反射したりするルナ鉱石の性質を利用した、新エネルギーだ! お前たちが壊した大砲に漏れ出した液体こそがマナルギー。私の最高傑作だ! それを燃料に、エルフの里のバリアーを無効化した。それなのにお前たちときたら、私の研究の邪魔ばかりする!」


 バーンたちはゾッとしました。もし気化したマナルギーを吸ったのが、ルナ鉱石に耐性がついているドワーフのリリィや、術のレベルが高いレティでなかった場合、どうなっていたことでしょう。あのときの魔物たちのように液状化して吸収されてしまったのでしょうか。もう少し詳しく話を聞いてみよう。バーンたちはそう思います。そんな彼らを恨めしそうにアルベール帝王が睨んでいました。

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