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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第三章
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女神の大剣

 イストワールの夢を見なかったせいか、バーンたちはよく眠れたようです。魔物もいないので、彼らはたわいもない話をしたり、道に群生している花を眺めたりしていました。しかし、ゲルティアスのことを忘れているわけではありません。バーンたちは、再びイメージします。すると、水晶のようなたてがみに、エメラルドグリーンの瞳をした神々しいライオンの姿が五人の脳内に浮かび上がりました。その瞬間、そのライオンは、彼らの前にある丘に現われ、バーンたちを静かに見下ろしています。そして、バーンの握り締めている壊れた大剣を見て、ある問いかけをしました。


「バーン。もしこの旅で一つだけしか守ることができないとしたら、お前はなにを守る」


 突然の問いかけに困ってしまったバーン。彼には守りたいものが沢山あります。今まで出会ってきたこの世界アドューラの多くの住人たち、そして大切な仲間。『アニマハール』の動物たち……とても一つになど決められませんでした。その間もライオンはエメラルドグリーンの瞳で彼のことをジッと見ています。バーンは長い間考えました。しびれを切らしたのか、フィーネがバーンの背中を軽く押します。そして、


「約束したでしょ、私たちは支えあうって。バーンが一番大事にしてるものを答えればいいのよ」


 と言いました。それを聞いてバーンは、ある答えを思いつきます。それは、人にも動物にも、この世界アドューラにも深く関わっているもの、「心」でした。それを聞いたライオンは、丘から飛び降りて、バーンたちの前に向かって歩いてきます。


「私はゲルティアス。お前たちが暗闇から生まれたそのときからずっとお前たちの心を見てきた。そしてそれは、時間をかけるにつれて成長している。また、守りたいものは心だと言った。気に入ったぞ。その壊れた大剣を私の前に出せ。直してやろう」


 バーンはゲルティアスに大剣を差し出しました。すると、ゲルティアスのエメラルドグリーンの瞳がチカリと輝き、壊れた大剣が光を放ちながら宙に浮かびます。みるみるうちに刀身が蘇っていきました。そしてそれは、バーンの手元にやってきます。刀身の見た目は前の状態と変わりませんでしたが、柄の中央部分に女神の模様が施されていました。気のせいか、以前よりも大剣が軽く感じます。


作者まおうもイストワールも心を守れなかった。全ての女神が揃ったとき、またこの孤島へ来るといい。バーン。そしてその仲間たちよ。決して心を軽んじてはならない。わかったな」


 そう言うと、ゲルティアスは水晶のようなたてがみを揺らしながら、『アニマハール』の中へと入っていきました。これでやっと、アルベール帝王のところへ乗り込むことができます。本来の目的、マナルギーについて白状させにいくために。バーンはアシュリーに「メモリーワープ」を使うように促しました。孤島から帝都ジャミールの船着場へと移動するバーンたち。マナルギーとはなんなのか、彼らは全く知らないでいます。バーンたちはそれがとんでもなく恐ろしくおぞましいものであるものだとは思いもしませんでした。

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