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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第三章
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撃退成功!

「じゃあいくよ。マリオネット・カオス」


 広範囲に広がった、クモの巣のような糸は魔術師たちに絡まり、小さなバラのトゲのようなものを出します。痛みがはしったのか、魔術師たちは「うっ」と苦悶くもんの声を漏らしました。動けば動くほど深く刺さるトゲ。そしてついに意識がなくなったのか、彼らはいっせいに地面に倒れます。


「死んでしまったのですか……?」


「え、こんな技だったっけ。さすがに殺しちゃうのはまずいでしょ」


 アズトールとフィーネが魔術師たちに近づいて、生存を確認しようとしましたが、レティがそれをとめます。「本番はここからだよ」と言って、バーンたちやエルフたちを魔術師から遠のくように指示しました。すると、地面に倒れていた魔術師たちがいっせいに起き上がり、互いに向かって魔法をぶつけ合い始めました。そして、ご丁寧にもアルベール帝王がなにを考えているのかも言い合っています。どうやら、オーブ鉱山でルナ鉱石を沢山採取して、独自にマナルギーというものをつくりだし、エルフの里に張ってあったバリアーを破壊する兵器を作っていたようでした。おそらくそれが、バーンたちの見た大砲だったのでしょう。


「もうそろそろ共倒れするころかな?」


 レティが言い切る前に、魔術師たちは疲れたように地面に倒れ伏します。そして、おそらく帝都ジャミールへとワープしていきました。エルフたちは、自ら『アニマハール』へと入っていったユシェルクに驚きながらも、バーンたちにお礼を言います。


「……エルフのみなさんすみません。これは紛れもなくアルベールの指示したあなたたちへの侵略行為です。アルベールはみなさんも知っているように、あなたたちの宝具、女神の指輪を狙っています。このままでは、また次の侵略行為がなされるでしょう。帝都ジャミールでアルベールの部下として働いていた私にも責任があります……どうか引導を渡させてください」


「ふん、結局は自己満足だろう」


 エルフたちはそれぞれの意見をアシュリーにぶつけてきました。それを黙らせたのは、エルフの長老です。彼はエルフの里のシンボルである鷹の名が「ユーシェイルク」というものだったことを明かしました。長老は、アズトールの『アニマハール』へと入っていったユシェルクとなにか関係があるのかどうかを聞きたいようです。


「それよりさ、見たいんだよねー。女神の指輪」


 レティがぴょんぴょんはねているリリィを拾い上げて自分の絨毯の上に乗せながら言いました。それを聞いて、エルフたちはひそひそと噂話をするようにレティの方を見ています。


「オマエ、怪しいヤツだと思われてるぞ」


 リリィがレティを見上げて言いました。彼は彼女を摘み上げて、ゆらゆらとブランコのように揺らします。抵抗するようにジタバタするリリィ。アズトールが、「リリィさんはおもちゃじゃないんですよ」とレティに説教しました。


「コホン。とにかく話をしようではないか。こちらも聞きたいことでいっぱいだ。そして頼みごとも」


 バーンたちは長老の家と思われる、レンガ造りの建物の中へと案内されます。リリィはレティの絨毯からひょいと飛び降りて、木造の長テーブルにちょこんと着地して座りました。バーンたちは椅子に腰掛けます。エルフの長老は、集まったエルフたちを外に追い出し、話を始めました。部屋の隅には宝箱があります。もしかしてあの中に女神の指輪が入っているのでしょうか。とりあえず、バーンたちは長老と話をしてみることにしました。

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