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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第三章
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破られたバリアー

 奥に行くほど風がきつくなっていきます。そして、壊れた飼育小屋の付近で、黒いオーラをまとった大型の鷹の姿を見つけます。それは、空中をビュンビュン素早く飛び回り、鋭いカギ爪とくちばしで、バーンを見るや否や襲ってきました。それを大剣で防御するバーン。鷹は、それだけではなく大きな翼を広げて羽ばたき、突風を起こしてきます。バーンは吹き飛ばされてしまいました。


「マグネット・ドール」


 アズトールがキラリクスを呼び出している間、レティが凶暴化した鷹を引きとめようとしますが、相手が素早くて、なかなか拘束ができません。フィーネがガストンを巨大化させて、気絶させるように命令するも、ガストンの攻撃は空を自在に翔ける鷹には届かないようです。また、凶暴化した鷹はアズトールの詠唱を邪魔してきて、なかなかキラリクスを呼び出せません。そこでアシュリーが言いました。


「バーンさん。このまま個体で戦ってもやられるだけです。ここは合体技を試してみましょう」


 アシュリーは取得した、敵一体に火炎の風を流し込む「ストライクフレア」を使うようです。バーンは、一級魔術師との戦闘のことを思い出しました。それは、飛んでくる炎の球体「ファイアボール」を、「爆風烈斬ばくふうれつざん」で跳ね返して、二人の一級魔術師を同時に倒したということです。そのことをふまえて、バーンはアシュリーと合体技をやってみることにしました。


「それでは、私はバーンさんに向けて魔法を放ちます。うまくはね返して、凶暴化した鷹へと攻撃をぶつけてください」


 アシュリーがバーンに向けて、「ストライクフレア」を放ちます。炎をまとった熱風が彼に近づいてきました。それを見て、バーンは突然ある技を思いつきます。それは、大剣に炎を宿して地面にそれを突き刺し、広範囲に炎の結界を張る、その名も……


烈火円形陣れっかえんけいじん!」


 できたての炎の結界の中に凶暴化した鷹が突っ込んできました。


 ――キェエエエッ!


 やけどをしたのか、凶暴化した鷹はバーンたちから大きく離れます。動きもひるんで鈍くなっている様子。その間にアズトールがキラリクスを呼び出しました。浄化された鷹は、黒いオーラが消えて大人しくなります。その様子を静かに見ているエルフたち。


「オレにやけどを負わせるたぁいい度胸だ。オレはユシェルク。空中戦では役に立つぜー。アズトール、アカシェームを呼んでくれ。ヒリヒリしてしかたない」


「あ、はい。わかりました!」


 アズトールがアカシェームを呼び出しました。すると、少しこげていたユシェルクの翼が元通りになります。そして、ユシェルクはこそこそと様子を窺っているエルフたちを呼んで、バーンたちに女神の指輪を渡すように言いました。エルフたちはどうして自分たちの飼っていた鷹が話せるのか不思議でなりません。そして、宝具である女神の指輪をなぜ渡さなければならないのかもわからないといった様子です。エルフたちの反応を見ていれば、そう簡単には譲ってくれそうにもありません。


「君たちの大切なシンボルが言ってるんだよ。どうか譲ってくれないかなぁ」


 レティの、説得なのか頼みごとなのかわからない言葉に、エルフたちは戸惑いを見せました。すると、おそらくこの里の長老と思われるおでこに大きなこぶができたおじいさんエルフが腰に手を回しながら、ゆっくりとやってきます。


「とりあえず言い分を聞こうではないか。話はそれからだ」


 その瞬間、ピカッとエルフの里が光りました。それは紫色の輝きを放ち、エルフの里に張っていたバリアーを破壊してしまいます。バーンたちはとっさに思い出しました。それはヒューネイドに乗っていたときに見た大砲。もしかしたら、あれがエルフの里の結界を崩すものだったのではないかと彼らは思います。予感は的中しました。バリアーが破壊されたあとに、大勢の魔術師がエルフの里に乗り込んできたのです。エルフたちは魔法を使って対抗しようとしましたが、レティの絨毯の上に乗っていたリリィが、魔術師の魔法で捕まえられ、人質にされてしまいました。


「はなせー! はなせー!」


 リリィは魔術師の手の中で暴れています。絶体絶命のピンチ。本当の悪者は帝都ジャミールの魔術師たちだったのでした。下手に動けばリリィがどうなるかわかりません。バーンたちは考えます。そこで、フィーネがあることを思いつきました。それは、レティの、相手を混乱に貶める技です。今の彼は複数の敵を拘束できるようになっているのを知っていた彼女は、彼にその技を使うように言いました。相手が混乱すれば、味方同士が攻撃しあうこともあるでしょう。それを彼女は狙っているのです。レティはめんどうくさそうに浮かぶ絨毯の上で胡坐をかいて、クモの巣のような糸を魔術師たちに放ちました。

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