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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第三章
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警戒心の強いエルフたち

 もちろん空にも魔物はいます。そんなときに役立つのがレティの拘束技と、アシュリーの魔法でした。レティは、複数の魔物を拘束できるようになっていたり、魔物を近づけたり遠ざけたりなどができるようになっています。当てやすい的になった魔物を、アシュリーが魔法で確実にしとめていました。


「へぇ。やるじゃない、いつ特訓してたの」


 フィーネがレティに尋ねると、「野宿のときかな」とだけ答えて、次の敵が来るのを待っています。そう、バーンたち三人が眠れなかったあの日。レティは比較的弱い魔物で、自分の技を磨いていたのでした。それは、バーンも同じです。彼は、敵がいない間も、素振りや防御のイメージトレーニングをしていました。しかし、空の上では充分に戦えません。それがバーンにとって少しだけ悔しくもあります。


「戦力になれなくてすみません」


 アズトールが俯きながら、みんなに謝りました。しかし、ヒューネイドを呼び出して空を移動していることを考えると、謝る必要などないのにとバーンたちは思います。彼が謝ると、今度はフィーネが気まずそうなそぶりを見せました。ガストンのような巨岩型魔物ゴーレムは、陸上でしか戦えません。


「まぁみんな弱点があるって事だよねー」


 レティの言葉にフィーネは肩を落としてしまいます。そんな会話を何時間か続けていたら、青白い膜のような光が見えてきました。それを見てリリィは、「あれ! あれがエルフの里!」と嬉しそうに言います。バーンたちはヒューネイドに近くまで運んでくれるように頼みました。そこは林のようになっていて、道に迷いそうになります。そこでアシュリーの「ガイダンス」の魔法を使い、目的地まで進むことにしました。ホールスは導きの牛なので、目的地が定まっている場合は呼んでも効果がないのです。


「あそこが、エルフの里の入り口でしょうか……二人の男性が槍を持っていますね」


 青白い光の本元にたどり着いたバーンたちは、見張りと思われる二人の男性エルフに声をかけられました。そして、アシュリーの黒いローブと銀色の杖を見ると、手にしている槍を彼女の方へと向けます。そこで、レティは彼らの前に出てきて、絨毯の上に乗ったリリィの姿を見せました。


「やー、みんな。久しぶり」


 リリィがそう言うと、男性エルフたちは懐かしそうに彼女の頭を撫でます。そして、「人間たちがドワーフを連れてきたぞ!」と、里にいるエルフたちに呼びかけました。すると、みるみるうちにエルフたちが寄ってきます。中にはバーンたちを見て怪訝な顔をする者もいました。それもそのはずです。本来、人間とドワーフが一緒にエルフの里に来ることはないのですから。


「……まさかこの里の宝具をねらって来たわけではないだろうな」


「逆逆。コイツらは魔術師から女神の指輪を守ってくれるんだよ」


 リリィが言いました。しかしエルフたちは、バーンたちはよくても、なかなかアシュリーを受け入れようとはしてくれません。


「大変だー!」


 一人の男性エルフが走って来ました。急いで話を聞いてみると、この里のシンボルである鷹が突然、分厚い本を持った、変なおじいさんに魔法をかけられて暴走をしたと言います。間違いなくイストワールの仕業だと思ったバーンたちは、バリアーを解くように促しました。


「お前たち人間が、なにをできる!」


「私たちは穢れた動物を浄化することができます。被害が大きくならないうちに、私たちを中に入れてください」


 エルフたちは互いに顔を合わせて、しぶしぶバリアーを解きます。そして、バーンたちがエルフの里に入ったあとすぐに、またバリアーを張っていました。エルフたちは小声でボソボソと何かを言っています。それよりも先に、バーンたちはイストワールが凶暴化させたエルフの里のシンボルである鷹を浄化しに行きました。

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