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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第二章
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夢の中の出来事3

 またバーンたちは暗闇の中に立っています。アシュリーの姿は見えません。目の前には無言で佇む、分厚い本、『イミタシア』を携えたイストワールがいました。未だにその素顔はわかりません。


「そろそろ顔ぐらい見せてくれてもいいんじゃないかなぁ。気になって夜も眠れないよ」


 レティの言葉にイストワールは、「安心しろ。ここはお前たちの夢の中だ」とだけ答えます。レティは、「そういえばそうだねー」とつまらなさそうに、浮かぶ絨毯の上で寝そべって、ふてくされるように目をつむりました。夢の中で寝る。もっとも彼らしい行動です。


「バーンさんの役目は勇者として目覚めること。そして、あなたの役目は私たちに予言めいた言葉を託すこと。あともう一つは何なのですか。もし仮に『アニマハール』を消滅させることなら、正々堂々と戦ってはいかがですか」


「……アズトール。物事には順序というものがある。若さゆえにそれを怠れば、お前たちはラストゲートへ行くどころか、旅の途中で力尽きるだろう。そうすれば、また暗闇からスタートだ。まぁ今のお前たちにはわかるまい」


 イストワールはそう言うと、フィーネのところまで瞬間移動しました。いきなりの行動に、攻撃態勢に入るバーンたち。イストワールは、彼女が装備している女神のネックレスを、まるで美術品を鑑賞するように見ています。


「女神は持つべき者を選ぶ。レティよ起きろ。お前はもうすでに出逢うべき女神に出逢っている。そしてアズトール、お前はこれから出逢うことになるだろう。なにせ、旅の終焉を願っているのだからな。そしてなまくらな剣を持つ勇者の卵、バーンよ。どうか早く目覚めて私を女神の力で……」


 ――ガァアックッショオオーン!


 バーンたちは、オントロンの大きな大きなくしゃみで起こされました。地響きが起こり、パラパラと岩肌が崩れています。すると、魔術石があしらわれている銀色の杖を持ったおじいさんドワーフと、ハスキーな声のドワーフの女の子がアシュリーにかけよってきました。


「コヤツはリリィという。お前たちだけでエルフの里へ行っても追い返されてしまうだろう。少々わがままだが、一緒に連れていってやってくれ。それと小さな魔術師。お前がこの杖を持った瞬間に、火・水・風・地。四属性の基礎魔法を取得する。そしてそれらを使い続けていると、新たな魔法を会得することができるはずだ」


「ありがとうございます」


 アシュリーはおじいさんドワーフから杖を受け取ります。その瞬間彼女は、敵一体に火炎の風を流し込む「ストライクフレア」。そして、敵一体を水でできたナイフで切り刻む「アクアレーザー」、敵一体を地面から突き出た槍で串刺しにする「グレイブ」、敵一体を風の矢で射抜く「ウイングアロー」を取得しました。


「ねぇ、どんな感じ?」


 フィーネがアシュリーに尋ねます。


「今までにない魔力を感じます……すみません、私だけが強くなってしまって」


「オマエが強くなったんじゃなくて、ジイのおかげでへっぽこ魔術師じゃなくなったんだ、覚えとけ!」


 リリィが腕を組んで自慢げに言いました。オントロンはその姿を厳つい目で見続けています。まるで見守っているかのように。バーンは、おじいさんドワーフにエルフの里への行きかたを尋ねました。すると、遥か彼方の北西にあると教えてくれます。しかし、それだけで地図などは描いてくれませんでした。


「もしお前たちが裏切ったらいかないからな。証拠は残さん。だが、青白いバリアーが張っている人の寄り付かない場所、とだけ伝えておこう」


「んー、この曖昧な感じ。嫌いじゃないよ」


 レティが浮かぶ絨毯の上で寝そべりながら、興味なさそうにあくびをします。バーンたちはその姿に呆れつつも、とにかくオーブ鉱山から出ようとしたときでした。


「ワタシを忘れるなー!」


 リリィが地面の上でぴょんぴょんはねています。それをレティがひょいと拾い上げて自分の絨毯の上に乗せました。


「彼女に案内してもらいましょう」


 アズトールが提案します。バーンたちは頷いて、オーブ鉱山を出ることにしました。オントロンやドワーフたちに別れを告げて。

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