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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第二章
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オーブ鉱山の番人

 ホールスの導きによって、それらしきところへたどり着いたバーンたち。鉱床こうしょうには、紫色の水晶のようなものが様々な形で炎のようにメラメラと輝いています。どうやらそれは、アメジストのような鉱石とは違うようでした。アシュリーが言うには、これがルナという鉱石なのだそうです。


「なによ、巨大なゴブリンなんていないじゃない。こんなに沢山あるんだから、一つぐらい持って帰ってこられないもんなの?」


「この程度の大きさでは、加工することができません。それにまだ入り口付近です。もっと奥に行ってみましょう」


 アシュリーが言いました。通路が一本道だったので、アズトールは『アニマハール』のなかにホールスを戻します。バーンたちはひたすら目の前の道を進みました。ルナ鉱石の光を頼りに。どんどん道が広くなってきます。それに加えて、ルナ鉱石の大きさや輝きも増してきました。そして鉱山の一番奥にたどり着いたとき、バーンたちは、おそらくオントロンと思われる、赤い肌の巨大な魔物と遭遇します。額には大きな角が二本ありました。しかしそれは、いっこうに襲ってくることはありません。バーンたちをじーっと厳つい目で見つめています。


「ちょうどガストンが巨大化したぐらいの大きさだね。もしかしたら親戚だったりして」


 レティが浮かぶ絨毯の上で胡坐をかいて、からかうようにフィーネに言いました。


「ガストンは巨岩型魔物ゴーレムよ。見た感じだとゴブリンとは種族が違うわ。それより、さっさとやっつけちゃいましょ」


 フィーネがガストンを巨大化させて、オントロンを攻撃するように命じます。振り下ろされたガストンの拳をいとも簡単に受け取るオントロン。そして、そのまま無言でガストンを押し返しはじめました。


「それは、気高き孤高の爪。それは、唸る疾風……出でよ、コーテクス!」


 アズトールが召喚で応戦します。しかし、コーテクスの爪では、オントロンに傷一つつけることもできませんでした。レティの拘束技は、相手が大きすぎて使えません。アシュリーの、「サンダースピア」も全く効いていないようです。


 ――ウガァアアアア!


 オントロンは何かを訴えるかのように、雄たけびを上げました。ふとバーンがオントロンの頭上を見ると、それはもう大きなルナ鉱石がぶら下がっています。そこで彼は思いつきました。遠距離技の「旋風円烈波せんぷうえんれっぱ」で、巨大なルナ鉱石を落として、オントロンを倒すというものです。バーンは大剣を円を描くように振り回しました。その瞬間、


「やめろ! オントロンはワタシたちを魔術師から守ってくれてるんだ」


 というハスキーな女の子の声がしました。すると、ガストンと取っ組み合っているオントロンの足元から、小さなドワーフのこどもがわらわらと沸いて出てきます。彼らは、それぞれ地面の石をバーンたちに投げつけてきました。


「いったー! なんなのコイツら。オントロンの手下?」


「……のようには見えませんが」


「なにしれっと自分だけプロテクト使ってんのよ!」


 とにかくバーンはフィーネにガストンを元に戻すように言います。それは、オントロンに攻撃性を感じなかったからでした。そして、ドワーフたちの話も聞いてみようと思ったからです。フィーネはしぶしぶ彼の言うことを聞きました。


「あの……ドワーフのみなさん。オントロンはここへ来た魔術師たちに深手を負わせたと聞きます。どうしてそんな危険な魔物と一緒に居るのですか?」


 アズトールが尋ねると、ドワーフたちがいっせいにブーイングをし始めます。


「オントロンはここを守ってくれるいい奴だ! 魔術師たちはオーブ鉱山のルナ鉱石を根こそぎ持っていこうとする悪い奴らだ! オマエらはどんな奴だ? 人の噂でいい奴を殺そうとする悪い奴らか!?」


 ドワーフたちは興奮したようにバーンたちを取り囲み、彼らの服をひっぱっていました。ちょっとでも動けば踏み潰してしまいそうなぐらいの大きさの彼らに戸惑うバーンたち。レティは絨毯を高くあげて、「ここまでおいで~♪」と煽る様に囁きます。とにかくバーンたちは、ドワーフたちに詳しい話を聞いてみることにしました。

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