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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第二章
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オーブ鉱山へ

 アルベール帝王によると、オーブ鉱山という場所へ派遣した魔術師たちがみな深手を負って帰ってくるということです。彼らの目的はルナという鉱石の採掘でした。それは、主に魔術師の杖の装飾に使われ、魔力増幅の効果があるといわれているそうです。帰ってきた魔術師たちはみな口をそろえて、「オントロンという巨大なゴブリンが出た」と言った、と彼は言いました。


「アシュリー、みんなでそいつをやっつけてくれないかなぁ。そうすれば一級魔術師に昇格してあげるよ」


「……わかりました。でも、私はあくまで自由に行きます。もう戻ってこないかもしれません。そしてそれは、ある船乗りが命がけで守った大事な私たちの研究資料です。オントロンを退治する代わりに返してください」


 アシュリーは女神の懐中時計を指差してアルベール帝王に言います。それを聞いたフィウスは、魔法を使えないように斧をアルベール帝王に向けました。なくなく女神の懐中時計を彼女に渡す彼は、たいへん悔しそうにしていました。


「大事な研究資料を渡したんだから、絶対に退治しろよー! あと『アニマハール』が気になる、気になる!」


 アルベール帝王の研究室から出るバーンたちの後姿に向かって、書きかけの研究論文をくしゃくしゃにしながら、アルベール帝王は嘆きに近い言葉を彼らに発します。アズトールは苦笑いをしながら、「さようなら」とだけ返しました。今度は巨大なゴブリン退治。魔術師たちの魔法をもっても倒せない魔物。果たして今のバーンたちで倒せるのでしょうか。


「悪いが俺たちはスバルに戻って、テニートに行く。デビドに花を手向けにな。チビ、お前はもう自由だ。どこまでも羽ばたけ」


「柄にもないこと言わないでください」


 アシュリーが言うと、フィウスは「がははは!」と大口を開けて笑い、斧をかついで船着場へと向かっていきます。バーンたちはとりあえず帝都ジャミールから出ることにしました。そこで彼らは重要なことに気づきます。それは、オーブ鉱山がどこかわからないということでした。


「そういう時は、ホールスを呼び出せばいいんじゃないのかい。正しい道に導いてくれるんだケロ?」


「いつまでかえるやってるんですか、レティさん……まぁそうですね。アルベール帝王も動揺して地図を描くのを忘れたのでしょう。ここはそうするのがいいでしょうね」


 アズトールが、『アニマハール』から導きの牛、ホールスを呼び出します。その輝きは、陽光にも負けないほど眩しく放たれていました。バーンたちは昼間の大地の中にもかかわらず目立っています。魔物がいれば寄ってきそうな予感。


「オーブ鉱山まで私たちを導いてください。お願いします」


「わかりました。私についてきてください」


 ホールスが広い大地の中を、のそりのそり歩き出します。フィーネがガストンの頭を撫でながら、「この調子だと夜になりそうね」とゆっくり後をついていきながら言いました。その間もバーンは見たこともない、オントロンというゴブリンをどう退治しようか考えています。ゴブリンはどんな攻撃に弱いのでしょう。下手をすれば深手を負って、アシュリーの魔法で帝都ジャミールに再び帰ってくるかもしれません。それでも彼には、なんとかなるといった気持ちがありました。そうこうしているうちに夜になります。バーンたちは暗くなった大地のど真ん中で交代制で野宿をすることにしました。

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