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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第二章
34/68

地下迷宮Ⅴ

 すると、守護神はホールスのまばゆい輝きに目を逸らすかのように背中を向けます。その鎧のバックプレイト部分には、五つの記号と文章が記されていました。



 ○◇△◆□


 ◆と◇は離れている

 ◇と□は隣どうし

 □と○は一個分離れている

 △と○は隣どうし


 正しく並べ替えよ



 バーンが守護神の右側のガンドレット部分に目をやると、同じ大きさの五つのくぼみが見えました。そして、バックプレイトにある記号は、はがせるようです。どうやら、くぼみに正しい配置で記号をはめなさい、ということなのでしょう。バーンは長い時間考えました。が、全然答えがわかりません。


「単純に考えるのです。バーン」


 ホールスはバーンに「頭から考えなさい」と言います。彼は仲間たちに相談しました。すると、フィーネが思いついたように得意げに話し始めました。


「◆と◇が離れてるのなら、□は◇の左右のどちらか。そして、□と○が離れてるのなら、△は左右のどちらか。ホールスが頭から考えろっていうのなら、◆を中央において、試しに◇を右の端っこに置いてみる。そして、その左に□を置く。□と○は一個分離れてるから、○を◆の左側に設置。あとは△を左の端っこに置く。だから正解は……」



 △○◆□◇



 ――ガチャッ


 フィーネが記号をガンドレットに設置すると、守護神が岩でできた頑丈な扉に向かって歩き出します。そして、その大きな剣で扉を砕きました。やっと見えた光。脱出成功です。バーンたちはフィーネを感心した目で見つめました。


「にゃー」


 暗闇の中で金色の瞳しか映らなかったガストンの黒い毛並みが差し込んだ光に照らされます。フィーネは少し照れたように、「ちょっと考えたら誰でもできることよ」と言いました。


「アズトール、また貴方たちが進むべき道に迷ったら、私を呼んでください。私が正しい道へ導きます」


 ホールスは、そう言うと『アニマハール』の中に入っていきます。バーンたちはユグドラシルの最下層にある洞窟に閉じ込められていたようでした。実験室のような紫色の照明の薄暗い空間。それでも、暗闇の中で目がなれていた五人と一匹レティにとっては、貴重な光でした。


「さぁてと、どう落とし前をつけてやろうか」


 フィウスが首を回しながら腕をポキポキ鳴らします。彼はアルベール帝王に仕返しをする気満々です。アシュリーは無言のままフードを深く被りました。アズトールはレティが元に戻るように交渉しにいこうと提案します。このままの姿でいると、魔王退治はおろか、会話もままなりません。


「アルベール様は、研究のこと以外だったらすぐ忘れてしまいます。きっと大丈夫でしょう」


「ケロー」


 アシュリーはくすっと笑い声をもらして、口元に手を当てました。そして、「メモリーワープ」の魔法を使って、全員を帝都ジャミールの船着場まで移動させます。フィウスが、「直接乗り込まないのか」と尋ねると、「斧を持っていないでしょう?」とアシュリーが言いました。それに彼は大声で「お前もやる気満々じゃねぇか!」と大声で笑います。


「……ねぇ、アンタたち地下迷宮ねっこでなにかあった?」


 フィーネが勘ぐるように言うと、アシュリーは「秘密です」とだけ言って、斧を取りにスバルへ向かっているフィウスのほうを見つめていました。

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