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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第一章
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VS黒霧のルルーネ

「ふふふ。見えているわよ、アシュリー……あら、あなたたちも来たの? どう、この美しいわたしのおうちは。外観とギャップがあって素敵でしょ」


 バーンたちは一面真っ黒な室内に驚きます。そして、「シャドウ」の魔法が効いていないということにも。これではどこにルルーネがいるのかわかりません。圧倒的に不利です。そこで、アシュリーは、「シャドウ」の魔法を解いて、眩しく輝く球体を具現化する、「サンライト」という魔法を使いました。中は以外に狭く、巻貝のような形をしています。その一番奥でルルーネはにっこりと笑って立っていました。


「あら眩しい。いいわねあなたたちは、ここで一緒に死ねて……ふふふ。大丈夫よ、即死なんてさせないから。じわじわオーブンで焼かれるような痛みと、ハチに刺されて皮膚が変色していくような苦しみを、たっぷり味あわせてあ・げ・る」


 ルルーネは、真っ黒な気泡をたくさんバーンたちの周囲に発生させ、彼ら目掛けて飛ばしてきます。それを、「プロテクト」の魔法が弾きますが、時間がたつにつれて、その効果が薄れてきました。このままでは、何の反撃も出来ずにやられてしまう。バーンは、ふとフィウスの戦い方を思い出します。斧を高速で回る風車のように操って、敵を切り刻む攻撃。そこから発想を得て、バーンは新たな必殺技を思いつきました。それは、大剣を円を描くように振り回し、リング状の波を発生させ、遠くの敵一体に向かってぶつけるというものです。その名も……


旋風円烈波せんぷうえんれっぱ!」


 それは、見事にルルーネに当たりました。しかし彼女はまだ倒れていません。アシュリーは、ルルーネに向かって、雷の槍を降らせる魔法、「サンダースピア」を唱えました。ルルーネの周りの気泡に電気がはしります。彼女は感電して、その場に倒れこみました。それをレティが拘束します。近寄ってみると、彼女の側には、腐敗した人間のものであろう骸骨がありました。


「……ふふふ。人間の友情は素晴らしいわね。肩を寄せ合ったり、手を握りあったり、そのぬくもりを感じあったり……! わたしは人間が憎い。わたしを愛してくれると誓ったそこのむくろは、わたしを抱きしめて死んでしまった。わたしはただ、愛した人と一緒に居たかっただけなのに……人間はわたしとは違う生き物。それが憎くて憎くてたまらない!」


「……同情はしない。デビドの敵、討たせてもらいます」


 アシュリーは再び、「サンダースピア」をルルーネに向かって放ちます。彼女の身体は消し炭になって、骸骨の上にサラサラとふりかかりました。それはキラキラ光る涙のように。ルルーネが消えたことによって、周囲の毒の黒霧が浄化されます。バーンたちが建物の外に出てみると、黒霧は降っていませんでした。魔物も見当たりません。彼らは、テニートの病院の患者がどうなっているのかを確かめるために、再び街へ戻ることにしました。アズトールが、「また森を抜けなければいけませんね……」と言うと、アシュリーが、一度行った事のある場所へ戻ることが出来る、「メモリーワープ」を唱えます。すると、バーンたちはテニートの入り口まで戻ってきていました。


「小さいのに使えるわね、アンタ」


 フィーネが感心したように言います。アシュリーはその言葉を無視して、


「まずは病人を治しましょう」


 と、スタスタ街の中へと歩いていきました。空は快晴。黒霧で出来た水溜りは透明な水の色になっています。あの太った墨色の猫も、真っ白な毛並みになっていました。

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