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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第一章
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小さな魔術師

 気になるのは、ルルーネが捜していると言っていた、「アシュリー」という女の子の存在です。グリューンはあくまで、毒の黒霧から身を守ることしか出来ません。毒を無効化できる魔術師がいれば、ルルーネに対抗できるのではないかと思ったバーンたちは、彼女を捜すことにしました。しばらく街中をぐるぐるまわっていると、病院を見上げる、黒いローブを着た小さなこどもがいます。不思議な事に、その子の周囲には、黒い霧雨がかかっていませんでした。手には赤い水晶をあしらった銀色の杖が握られています。バーンたちはあの子がアシュリーという女の子ではないかと思い、近づいて声をかけました。


「不思議な人たち……その大きなアゲハチョウは、あなたたちの御神体ですか。この黒霧を正常化させてしまうなんて。そこのお二人は相合傘をして、仲がいいんですね……それより、ルルーネという女を知りませんか? 決して彼女に触れてはいけません。死んでしまいますから。私はアシュリー。デビドという人がいると聞いてここまで来ました」


 アズトールとフィーネは互いを見合って少し頬を赤らめます。それは置いておいて、ようやくアシュリーを見つけたバーンは、彼女にデビドの死を告げます。すると、「そうですか……」とだけ言って、街の外へと出ようとするので、バーンたちは彼女を引き止めます。


「まどろっこしいのは無しにしてさぁ。アシュリー君、一緒にルルーネ退治に協力してくれないかい。デビドを救うようにフィウスって人から言われたんだけどさ。ルルーネに殺されちゃってね。それに君もどうせルルーネを退治しに行くんでしょ。なら一緒の方がいいんじゃない?」


「フィウス……!?」


 淡々と話していたアシュリーが声をあげました。どうやらフィウスの存在を知っている様子です。ローブのフードの陰に隠れているその表情こそはみえなかったっものの、そのそぶりで彼女が怒りで満ちていることがわかりました。


「……わかりました。ただし、ルルーネを退治したあと、フィウスのところへ案内してください。彼とは因縁がありますので……」


 そう言うとアシュリーは、呪文を唱えてバーンたちに黒い霧雨がかからない魔法、「プロテクト」をかけます。それは、グリューンの能力とは違い、広範囲の霧雨までブロックしてくれました。アズトールは、『アニマハール』へグリューンを戻します。フィーネはビニール傘をその場で捨てて、今は黒霧に濡れて触れないガストンを、申し訳なさそうに見つめて、「さ。さくっと終わらせちゃおっか!」と言いました。ガストンは少し寂しそうに、「にゃー」と鳴くと、そのあとをついていきます。こうしてバーンたちは、ルルーネの住処である、南の峠を目指しました。

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