蘇った村
魔女ベルーザを倒してからは、村へ戻るまで魔物の姿を見ることはありません。おそらく、ベルーザがこの辺りの魔物の主だったのでしょう。そして、村人たちも無事に人間の姿に戻っていました。バーンたちはティマス海について尋ねるべく、村長のところへと向かいます。そこには、ふさふさのあごひげが特徴の頑固そうなおじいさんが杖をついて立っていました。
「よくぞベルーザを退治してくれた。そうじゃ、今度は私どもの方から礼をせねばな。どうやらお主らはティマス海へと行きたいようじゃが、やめておいたほうがよい。あそこで漁をしていた者達が次々に難破したという話を聞く。噂によっては巨大な化け物が出るのだそうだ」
それを聞いたフィーネは怒り出します。
「じゃあ私たちはただ働きさせられたってわけ!? 変な謎解きやバーンに吹っ飛ばされたりもしたのに……このもじゃもじゃじじい! どう落とし前付けてくれるのよ」
その言葉にバーンは苦笑いしました。村長はしばらく沈黙を続けていましたが、ある事を思いついたように、机に座り地図を描き始めます。そして、誰かわからないへんてこな似顔絵も。
「ここより東の港町、シーフォンスで、フィウスという男を捜してくれ。奴は巷でも有名な船乗りだ。唯一仲間を全員連れてティマス海から抜け出せた実績をもっとる。ただ、少々厄介な奴でな。とにかく金にがめつい。一筋縄ではいかんぞ」
「……なるほど、そのフィウスとかいう人を捕まえて、ヒューネイドを捜し出せばいいって事だね。船乗りならこの世界のことも詳しそうだし……バーン君はどうする?」
レティの質問に、バーンは首を縦に振りました。せっかく掴んだ情報を無駄にしたくはありません。しかし、彼らにはお金がありませんでした。これではたとえフィウスという男を見つけても、ティマス海へと船出してくれるとは限りません。それに命がけの作業。協力してくれる可能性はゼロに近いでしょう。
「ベルーザを退治してくれたお礼じゃ。1,500ペレム、これで契約金にはなるじゃろうて」
「ペレム?」
アズトールが、バーンに差し出された銀色のボタンのようなものを見て不思議そうに村長に尋ねます。それは全国共通の通貨だそうで、1ペレムでりんごが一個買えるだけの価値があるのだと説明してくれました。
「フィウスってやつ、案外安い男なのね。ね、ガストン」
ガストンの毛並みを整えながらフィーネは、「じゃあ早速シーフォンスへ向かいましょ」と提案をします。バーンたちもそれに同意して、村を去りました。
「……このような似顔絵で本当に見つかるのでしょうか……」
不安そうに似顔絵を眺めるアズトール。大きな特徴は、右目に眼帯をしているということだけです。諸々と不安を抱えながらも、バーンたちは東の港町シーフォンスへと向かうことにしました。




