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君だけと過ごす夏休み  作者: なそら
3/4

2日目の2

 ………???


 取り敢えず、今の状況を考えよう。


 When→夏休み

 Where→神社

 Who→高校生の男女

 What→秘密基地を作ろう!

  ↑↑↑↑↑↑↑↑↑

  W h y ??


 大変だ、さっぱりわからない。

 僕に理解力がないだけなのだろうか?


「あら、そんな不思議そうな顔をしてどうしたの?」


 彼女は僕が何に対して疑問を抱いているのかさっぱりわからない、というような顔をして、僕にそう問いかけてきた。


 すぐさま「高校生にもなって秘密基地作りなんておかしいよ!」と、思い切り返事をしようとしたが、もしかしたら彼女には深い考えがあるのかもしれないと思い、言うのをためらってしまった。


 そのためらいによる無言を彼女は僕の返事と思って自己解決したらしく、楽しそうに次の言葉を放った。


「大丈夫、秘密基地を作る材料ならここにあるわ。心配しないで大丈夫よ」


 追記。


 How→彼女の持ってきたリュックの中身!!


 うん!まぁ、気づいてたんだけどね!


 だって、おかしいじゃん?

 神社に着いた時、彼女の足元には結構大きめのリュックがあったんだよ?

 何かあると思ったよ、うん。


 案の定だよ……


 ここで秘密基地を作ると言う行為そのものについてとやかく言うのも野暮だと思い、(ここまで準備をしている彼女の気持ちをないがしろにするのも可愛そうだし) 秘密基地を作ることに反対はしないことにした。


「あぁ、、うん、おっけ。それを使おう。でも何で秘密基地を作ろうと思ったか、その理由を聞いてもいいかな…?」


 何で彼女は秘密基地を作ろうとするのか、その理由だけは聞いておきたかった。

 なんとなく、深い理由があるような気がして。


「少し重たい話になるのだけれど、いいかしら?」


 予想通り。


「もちろん、話せる範囲で話してほしいな」


 少し身構える。

 が、


「ありがとう。でも、今言うのはやめておくわ。だって、秘密基地を作るときはただ単純に楽しみたいじゃない?だから、完成してから言うわ」


 彼女はそう言うと、僕に返事をする時間すら与えず、リュックを背負って歩き出した。


「ほら、早くついてきてちょうだい。昨日いいところを見つけていたのよ」


 慌てて彼女についていき、二十分ほど歩いた末に着いたのは、神社から山を少し登ったところにある、人間が入るにはいいぐらいのサイズの穴。


 そういえば僕も昔この穴を見つけたことがあり、その際に神主さんにこの穴はかなり昔に防空壕として作られたもの、と言うことを教えてもらった。

 

 それからさっぱりこの穴の存在は忘れていた。


 改めてよく見ると、この穴は本当によく作られている。

 壁は全てコンクリートで固められており、今はもうほとんど残っていないが、入り口には頑丈そうなコンクリートの扉があったことがわかる。


 もう少し改造したらきっと、住みやすい家みたいな感じになるんだろうなぁ…


 なんてことを考えていると、昔ここに住もうとして神主さんに怒られたことを思い出した。

 今となっては懐かしい記憶だな…と、苦笑する。


 そんな風に一人で懐かしさに浸っていたのだが、彼女の声で一気に現実世界に引き戻された。


「一人で苦笑してるところごめんなさい。言っては悪いけど少し気持ち悪いわ……」


 …………泣いてもいいかな?

 彼女に気持ち悪い、気持ち悪いって……


 頭の中で「気持ち悪い」と言う言葉がぐるぐると回る。


 そっか…僕は気持ち悪いんだな……気持ち悪いんだなぁ……と、うわごとのようにブツブツと繰り返す。


 しかし彼女は、漫画だったら真っ白になっているであろう僕に向かって、先程自分が放ったセリフが僕に大ダメージを与えたなんて一ミリも思っていない様子で言葉を繋いだ。


「それにアオイ君。貴方、今『もう少し綺麗ならこの穴に住みたい』みたいなことを思ったんじゃない?」


「うん、まぁ…確かに」


 図星だ。

 確かに僕は今もう少し綺麗ならこの穴に住みたいと思った。

 思ったよ、あぁ思ったさ。

 だからと言ってこの穴を綺麗にしようとは思わn…


「やっぱり貴方もそう思うわよね?そうと決まったら早速作る準備をしましょ♪」


 そう言うと彼女はとても嬉しそうな顔になり、鼻歌を歌いながらリュックの中を漁り出した。


 まぁ、一度やると決めたのだから秘密基地作りは手伝わなければならないだろう。


 でも一点だけ気になるところがあった。


 今彼女は「この穴(秘密基地)に住む」ことを望んでいる、ということを仄めかした。


 もしかして彼女は秘密基地ができたらそこに住むつもりなのだろうか?

 いや、まさかね…


 まぁ、"望んでいる"だけだと今の時点では思っておく。


 え?もし彼女が本気で住むつもりなら?

 そんなの、住むに決まっているだろう?

 当たり前じゃないか。

 親の反対?

 …………ハッ!知ったことか!



 服の端をちょいちょい、と引っ張られた。慌てて彼女の方を見る。


「アオイ君もこれをつけてちょうだい」


 そう言って彼女に差し出されたのは、小型の懐中電灯。


 どうやら、それで穴の中を照らしながら探索するらしい。


 そんなに広いのだろうか?

 そんな疑問が浮かんだが、備えがあれば憂いはないので、一応受け取っておく。


「では、行きましょうか」


 そう言って彼女は僕を置いて穴の中へと消えていった。


「あ、待ってよ!」


 そう言いながら彼女の後を追いかけ、僕も穴の中に入る。


 するとドンッ、と、何か柔らかいものにぶつかった。その感触から、それは彼女の背中であることに気づき、即座に離れた。


 べ、別にずっとくっついて柔らかさを味わっていたかったなんて思ってないよ??


「ごめん、大丈夫だった?」


 と、慌てて声をかけるが、すぐに彼女の様子が普通でないことに気づく。

 よく見ると、彼女は小刻みに震えていた。


「アッ、、アノ、、アオイクン……ソコニヘ、へ、へビガ……イル……ワ……!!」


 恐怖のあまり片言になってるアオイちゃんも可愛いなぁ…なんて思いながら、彼女のためにヘビを追い払おうと彼女の前に立ち、奥を懐中電灯で照らした。


 するとそこにいたのはヘビではなく、ただの曲がりくねった木の枝だった。


「あ!これ、ただの木の枝じゃないか」


 彼女を恐怖から解放するため、わざと明るい声を出して彼女の方を見た。


 するとそこには、少し恥ずかしがりながらも


「あ、ありがとう…」


 なんてお礼を言うただの美少女がいた。


 あぁ…癒されるなぁ……なんて思っていると、彼女は先ほどの恥じらいを隠すかのような大きな声で「で、では先に進もう!」と言い、また奥へと進んでいった。

 もちろん僕もそれに従った。


               

               ————————探索————————



 穴には横道など一切なく、少し広くて長め(横幅は1.5メートルほど、長さはおそらく20メートルくらい)の一本道だった。

 一応穴の奥まで行き、入り口まで戻ってきたのだが、予想通り、大して面白くもななんともなかった。

 まぁ特筆すべき点といえば、穴の奥に少し広めの空間があったということぐらいだろうか。


 異世界に繋がっていたり、変なモンスターが出てくるなんてことはもちろんなく、ヘビなどはおろか、コオロギなどの小さな虫すら見られなかった。


 あったのは入った直後に同じような、彼女が木の枝と虫を見間違え、それを僕が取り除くというやりとりだけだった。


 それは楽しかったから良かったんだけどね!

 本当はもっとしたかったよ!うん!


 穴から出た後、彼女は少し穴に対して不服そうな顔をしていたのだが、見ていないことにしよう。


 変なものなんてないのが一番!

 異論は認めない!


「これ、返すね」


 と、彼女に懐中電灯を返す。

 その際、


「あら、ありがとう。ところで今何時かわかるかしら?携帯の充電が切れてしまったから分からないの」


 と、尋ねられた。

 ちょうど僕も今何時なのか気になっていたから、ポケットから携帯を出し、時間を確認する。


 3:00


「ぴったり3時だよ!」


 そう答えると、彼女はなにかを思い出したかのように勢いよく立ち上がった。


「私、昨日3時30分には帰れと言われたの。もう帰らないと…では、また明日」


 そう言うと彼女は、僕がさよならを言うよりも先に走り去ってしまった。


「僕も帰ろうかな」


 と、小さく呟き、山を下っていく。


 途中で思い出す。


「あ、そういえば明日の集合時間、また決めてない…」


 まぁいいや。


 きっとまた明日も僕と彼女は同時に神社に集まるだろう。


 根拠はないけどなぜかやはり、そう思えた。

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