2 知りたくなかったこと
今までの実験がない代わりに、この前のように人殺しを毎日するようになり多い時には1日で4人の命を奪った
私は牢屋の中で自分自身について考えていた、攻撃をもらう瞬間周りが急激に遅くなる現象、鎧と骨を切り落とす力、多少の傷ならば瞬く間に治ってしまうこと、そして何より大きいのが
人を殺してもなんとも思わなくなってしっまた自分だ、私は何をされたんだ私は人間なのだろうか
それから何日か経過したとき私にチャンスが訪れた
いつものように牢屋に入れられた瞬間、大きな揺れが発生し遠くから「アレが逃走した、誰かたすけ…」声が消えた瞬間目の前の糞どもの上半身が消えていた
何が起きた、アレとはなんだと考えるが今は脱走のチャンスだ、鍵がかかる前に死んでくれた助かった
まずは武器を探そう、自衛手段はあるほうがいいそう思いながら薄暗い廊下を歩いていると遠くから血の匂いが漂い悲鳴がこだましていた
私は覚悟を決めて進んだ、「酷いな」私はぽつりと呟いた薄暗い廊下には壁、床、天井に大量の血が付いており食い荒らした様なモノが散乱していた
この光景を見てもなんとも思わない自分をこの時ばかりは感謝した、お目当ての武器庫にたどり着きないよりましの皮の鎧を装着し、刀とナイフを装備した
長髪のせいで兜がかぶれない、「お母様から褒められたこの髪を傷つけたくないわ」
そう呟き兜をかぶるのを諦めた
出口を探して廊下を歩いていると悲鳴と獣が唸るような声が聞こえた瞬間突然、重圧を感じ私の脳が警告を鳴らしているアレは危険だと
大急ぎで近くにあった扉の中に入り息を殺して通り過ぎるのを待った、暫くすると先ほどまで感じていた重圧はなくなった
私は一息つき今いる部屋を見渡した、資料置き場だろうか様々な資料が置いてある
この施設の地図があるかもしれないので少し物色しよう
物色しているとある資料が目に入った「人工勇者作製進捗だと、勇者様を作るとは馬鹿馬鹿しい」その資料を捨てようとした、だが嫌な予感がし私はその資料を読むことにした
勇者作製進捗
Aモデル…近接戦闘特化モデル(10名ほど成功)
Bモデル…魔法戦闘特化モデル(7名ほど成功)
ABモデル…A、Bモデルの融合モデル(1名成功するも暴走したため処分)
Cモデル…魔物使役能力特化モデル(24名ほど成功)
Dモデル…魔物の能力付与モデル(3名成功)
D-2、D-3は一つの能力しか付与できなかったがD-1は複数の能力を成功、これからはD-1を中心に実験を進めること
D-1に付与したものは再生能力、体内で薬を生成し限界を突破する能力その他の能力も付与したが割愛
D-1は勇者よりも魔物に近いため取り扱いには注意すること
つい最近帝国に聖騎士団が来訪しているので地下の実験施設は見つからないようにすること
私は手にしていた資料を落とした「私は、人間じゃないのか」誰もこの呟きに答えてはくれなかった