1話目 ごっはん♪ごっはん♪ 1
あらすじにも軽く書きましたが、これは私が文化祭で劇をやった時に書いた台本を小説にしたものです。
なので多少「ト書きを読んでいる」感覚に襲われるかもしれません。ご承知ください。
そして台本では書ききれなかった部分や台本の不足部分を補う目的で書いたものです。
なので、自己満足のためで書いています。ご承知ください。
以上のことを踏まえて、楽しんで読んでいただければ、幸いです。
キーンコーンカーンコーン―――
教室に鳴り響く4時間目終了の合図。
その合図と同時にバサバサ、チャラチャラ、ゴソゴソと片付けだす生徒たち。ついでに先生に授業を終わらせろと威圧をかけている人も若干いる。僕の思い違いかもしれないけど。
「・・・はあ、じゃあ、今日の授業はここまで。宿題で教科書78ページの大問3な。それじゃあ、号令」
「起立、気をつけ」
委員長の一言で授業の緊張がほどける。多少「やっとおわった・・・」や「次昼飯じゃん、やったぜ」などという感じでざわざわしている。僕の思い違いじゃなかったかもしれない。
まあそんなことはどうでもよかったりする。
「礼」
「ありがとうございました」
やっと4時間目が終わって、昼食の時間が来た。
授業の用意を片づけて、昼食の用意を出す。
「優ー!育人ー!ご飯食べよー!」
声の主は僕の後ろの席の亜月だ。幼稚園からの幼なじみで、天真爛漫という言葉がよく似合う子だ。だが、まっすぐ過ぎて人を疑うことをしないため、少々心配になる場面が多々あった。高校になってからは心配も減ったが、小学6年生の時に悪い大人に連れて行かれそうになった前科があるため油断はできないと思っている。ちなみに、今その話を本人の前で言うと「昔は昔!今は大丈夫!いつまでも昔のこと言わないで!」と怒ってくる。・・・無駄話はこのへんにしておいて、そんな亜月は、茶色の肩につくぐらいのショートボブの髪を揺らしながらとても元気のいい声を上げた。
「おう!食お食お!」
亜月の声にいち早く答えたのは僕の二つ前の席にいる育人だ。育人も幼稚園からの幼なじみで、亜月に負けず劣らずバカである。確か前回のテストは総合でクラス最下位だったはず。だけど、そんなバカと引き換えに運動神経はずば抜けて良い。ちなみに僕は体育のときなどひそかに尊敬のまなざしで見ていたりする。ダークブラウン色のウルフスタイルの髪が目を引くが、それ以上に、よく言えば運動系な、悪く言えばバカ丸出しの威勢のいい返事をして注意を引きつけた。そして左手に弁当箱、右手に自分の椅子を持って、食べる気満々である。
そして、僕、優も亜月の返事に答える。
「まったく、ご飯だけは元気だなあ」
呆れたような口調だが、毎日見るこの光景が僕は好きで、そして、一番の宝物である。
・・・なんだか自分が老けたような気がした。僕は正真正銘の高校1年生です。
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がががー、と自分の机を、黒板に背を向けた状態の優の席にくっつける。育人が椅子を持ってこっちに来る。
「ごっはん♪ごっはん♪」
椅子に既に座った私はご飯が食べれることがうれしくてつい左右に揺れながら歌ってしまう。
「また歌ってる」
椅子に座りながら育人が言った。もう座っている優も呆れたように笑う。
「別にいいじゃん、ご飯、楽しみなんだから」
非常に上機嫌な気持ちで私は返す。
「・・・ふふっ」「・・・はは」
私たちはなんだかおかしくて笑ってしまう。すごく和んだ雰囲気である。
「それじゃあ、食べよっか」
「ああ」
「うん、いいよ」
「それじゃあ」
ぱん、と自分の手を合わせる。遅れて二人も、ぱん、と手を合わせる。
そして阿吽の呼吸で私たちは次の言葉を言う。
「いただきます!」
―――――――――――――――――――― 続く
ありがとうございました。まだまだ続きます。




