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Re~

作者: Re~

 君に送ろう。

 君のためだけに重ねよう。

 自己満足だけど、君のために。なんてセリフ使いたいんだ。

 笑ってくれよ。楽しくさ。

 こいつ何言ってんの。そんなテンポで調子良く。笑ってくれ。


 今宵は筆を置こう。

 このためだけに紙を広げて、インクを湿らせる。

 片手に缶ビール持ってさ、透明のグラスを二つ並べるんだ。

 コツンと涼しげな音が鳴り響いて、水面が揺れ動く様を見つめるんだ。


 BGMは静かに。

 風の音にでも耳を澄まそう。

 冬の風は寒くて、指先が動きにくくなってきてしまう。

 空を見上げれば、満点の星空。

 指先から伝わった確かな鼓動を思い返して、確かにあった暖かみを思い起こして、間違いなく息してた。胸の膨らみを忘れない。首筋を撫でればこそばゆそうに背筋伸ばして、足伸ばして、指先広げようとしていたのかも。


 少しだけ、目を閉じさせてくれよ。

 目を逸らすためじゃないんた。

 その全てを忘れぬように瞼の裏に焼き付けるためなんだ。

 決して涙流したりはしない、決してうめき声を上げる真似もしない。

 でも、それも、これも、今日が最後だ。

 最期だ。

 二度と目を閉じる真似はしない。

 君のために。

 僕のために。


 笑ってくれよ。

 そんなセリフ使いたいんだ。


 缶ビール片手に持ってさ。

 グラスに注ぐんだよ。

 不味い、不味いビースあおって、

 うるさい、風の音聞いて、

 満点の星空見上げて、

 最期の君を思い返す。


 笑ってくれよ。

 頼むからさ。


 この筆を置いたら最後にする。

 振り向きはしない。

 また、開くかもしれないけど。

 また、見に来るかも知れないけど。


 閏年。

 2016/02/29


 最後に笑おう。

 君のためだけに。

 僕のためだけに。


 最後に紡ぎだそう。

 君のためだけに。

 僕のためだけに。


 さあ、送り届けよう。

 笑ってみせよう。

 悲しみはしない。

 これは決意表明。


 何が何でも笑って終わりだ。

 何回も何回も目を閉じることはあるだろうけど。

 絶対に笑うんだ。


 さあ、紡ぎだそう。

 君に贈る。

 最期の言葉。



 さようなら。

 グッバイ。


 いつか、どこかで。

 ハロー、アゲイン。


 ばいばい。またね。

Re:マロン。

これは君にだけに贈る言葉。

君のことで、こんな風に筆を取るのは最期だ。

君のことで、こんな感傷に浸るのも最期だ。

笑って送り出すためなんて、言わせてくれよ。

笑って欲しい話なんだ。これは。

笑って欲しい言葉なんだ。これは。


2016年2月29日。君はこのセカイから、いなくなる。

何度でも、何度でも思い返すために僕は紡ぎ出す。

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