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第八話 目覚めの悪い起床、身体確認、服装チェック

気がついたと思ったら感覚がおかしい。

平衡感覚がおかしくなっているのだろうか?

俺は今文字通り目の前が真っ暗な状況でクッションのような物に頭を乗せているのはわかるけれどもどっちが上なのかわからない。それに耳も山を車で登った時の空気圧でおかしくなった時のように、聞こえる音が水中のようにボヤけてはっきりと聞き取れない。


耳も目も効かなくて、さらに上下もわからないという状況はかなり怖い。

頭ばかりが回るが、体が動かせず状況は全く変わらない。


あぁ、コレが雪崩に巻き込まれた時とかの感じかなぁ…自分でも慌てない事に違和感を感じるくらい冷静に考えていた。そういえば、記憶を取り戻した時こそ慌てそうだけれども何故か不安感などは沸かなくて冷静に考えられたんだよな。断言する。俺の知ってる俺だったら間違いなく慌てていた。


俺って誰だ?

…やばい混乱してる。

落ち着こう。俺は…あーえーっと…名前は覚えてないけど俺だ。

うん、混乱するなぁ。


そんな事を考えて打開策は無いか考えていると、誰かの叫び声がする。

おぉ誰か気づいてくれたみたいだ。コレで助かるかも知れない。

そう考えていると口の中に何か液体が少し流れてきて喉をつーっと通る。

喉の奥へそのすこしドロっとした液体が流れていき、喉に絡みつく。

その喉に絡みつく感覚が気持ち悪く、咳き込みたいが体が動かない。

数秒その息苦しさと気持ち悪さに耐えているとふと体に力が入れられるようになった。

吐き気を抑えながら咳き込む。体を起こせたがまだまっすぐ座れずふらふらする。目も開いてるはずだが何も見えない。


「大丈夫か?おい、おい!」

揺さぶられているのに気づき、耳元で声を掛けられ続けている。

目もうっすらと見えてきて声のかかった方を見ると、この世界の父が腕から流れた血を俺に飲ませる形で顔色を伺っているのがわかった。

「だ、大丈夫です」

まだ力が抜けてはいるがなんとか声を出す。なんとか一言言えた物の、喉に絡みついた血の所為で咳き込んでしまう。血なんて口に流しこんで何してんだ?

「すまん、先に伝えておくべきだった」

と言われる。えっ何を?

「何が…ですか…?」

まだ体がうまく動かず、絞りだすように質問する。

「あぁ、朝食の時に話すよ。ちょっと心の準備をしておいてくれ。あ、魔法は使わないで外にも出ないでくれ」


先に伝えておくべきとか言ってたじゃねーか。

もう朝になってるようで、魔力使うなっていうのは昨日魔法使ったからぶっ倒れたのか?魔力切れでも使えないだけで問題ないって書かれてたよな?

それに何で血を飲ましてきたんだ?この世界だと薬かなんかなのか?喉に張り付いたように違和感が半端ない。

とりあえず口数を少なくして、性格が違う事をバレないようにしてヒヤヒヤしているので追求はしないでおく。


体の調子が良くなったのでそう伝えるとそれじゃあ着替えたりしてから居間に来てくれと言って父は出て行った。さて、俺の体だが少女の体で着替えるのには喉が鳴る。服が何処にあるのかわからないが、クローゼットらしきものを適当に漁ったらすぐに見つかった。


黒や白、赤や青など単色のシンプルな服が沢山入っていた。

一番近くにあった白い服を手に取り鏡へ向かう。

服装などどうでもいいとは思うが、それは男の頃の話だ。

少女になったのなら自分の好みを着ても文句を言われる言われはない。


自分がどのような姿なのか鏡で確認しようと鏡に向かったのだが、自分が居るべき場所に何も映っていなかった。物を動かしてみたり、動かしたりしても自分以外はちゃんと映るので鏡だと思う…が、自分は映らない。まぁファンタジーだしこんなものもあるのだろうと思ったが、自室のしかも服がある所の近くにそんなものを置く意味はあるのだろうか?


せっかくなのに自分の姿が見れないなんて残念だと思いつつ今着ている白いワンピースなのだろうか?全身の大きさの服を脱ぐ。


白く薄い上半身用のシャツの様な下着と下半身のドロワーズが見えた。

え?胸?ねぇよんなもん。だがそれがいい。

ドロワーズを脱ぐと俺と前世を共にした息子はなく、よく見えないがなにもないことはわかった。

ベッドに座ってよく見てみようと前かがみになる。縦筋が見えたが、期待と違っていた事に恥ずかしさを感じ、それと共に”元”童帝の俺は興奮を覚える。


そんな事をしているとドアのノック音と共に声がして焦りでビクっと跳ね上がる。

「お嬢様お食事の用意が出来ました」

「は!ハイ分かりました!」

と大きな声で言って急いでドロワを上げる。

別に入ってくるわけでは無いようだが焦って先ほど見つけた服を着て部屋の外へ向かった。

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