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第五話、第六話(統合) 帰り道、街の雰囲気、新たな我が家

父親に先導され、病院だと言っていた建物から出た。


建物から出ると、外は真っ暗で上を見ると山奥で見た夜空の様に沢山の星が輝いていた。外は車二台分くらいの広さの石畳の道とその両端に日本では見ないようなレンガ造りの建物が並んでいる。

夜中なのか人影は見当たらず、建物には光が漏れる窓は少ない。

街灯がないからか、光源がないからか、足元が全く見えない暗さだ。

じめっとして、暑くその空気が別の土地、いや別の世界?に来たことを実感させられた。


現状どういう状況なのかわからず混乱したままだが別の環境、文化の場所に来たことに旅行の時のような感動をして呆けていたら、父親に行くぞと声を掛けられ右に向かって歩き初めた。しばらく足元に気をつけながら現状把握を再開する。この父親は元から無口なのかはわからないがしかめっ面をしながら歩を進めている。さっきの人達は父の友人なのかはわからないが、結構親しそうに話しをしていたので口は軽そうだけれど。それはいいとして娘が死んでなかったというのにしかめっ面は何か隠してるのかと疑ってしまう。


歩き始めて落ち着いてきて今の自分の体の違和感を考える余裕ができた。体が小さく歩くのが遅いのは厄介だ。それも少女の体だ、肩までかかる髪は金色で、ふわふわとしていて猫毛だった前世とは違い歩くたびに髪が上下に揺れる。また、肌は真っ白でやわらかく、白と言っても血色の悪い色ではない。何よりも下半身、何十年と苦楽を共にした相棒である息子がなく、もふもふとした下着が隠しているようだ。起きた時から心棒が無くなったような不安感は多分息子が家出した所為だろう。だろうというのは道のド真ん中で確認するわけにも行かないからだ。


それと長い間運動していなかった男の頃の体と違い元気があふれているような、疲れを知らないようにダルさを感じない。この様な状況、楽しまずには居られないだろう。何より何時死んでも構わないと思っていた八方塞がりの前世から脱せたんだ。神が居るとしたらこれの次、二度目のチャンスは無いだろう。


そのような事を考えている内に家に着いたようで、見覚えのあるような気がする小さな屋敷に到着した。


「着いたぞ」

おそらく我が家であろう小さな屋敷の門前に着いた。

外見は西洋風の建物で、道からは塀があって二階部分しか見えない。

外から見る限りは平凡な現代日本建築の家4軒分くらいの広さだろうか?

大きい家だが大きすぎて掃除が辛そうというほどではなく、いかにも金持ちが住んでそうな家で、この世界の建築技術や物価などはわからないがそれなりの人の家という印象だ。

父が扉を音を鳴らさないようにゆっくりと開け、中に入ると庭が見えた。薔薇のような花ややたらでかい花などがテニスコートくらいの広さの屋敷までの道の両脇に植えられている。


父が家の扉を開け中に入った後、棚にあった紫色の様な結晶を電気スタンドの様なものに刺すと光が点った。電池かなんかだろうか?と考えていると声がかかった。

「よくわからない事があるだろうが明日答える。もうベッドに入って安静にしていなさい」

そういえば前世の記憶を思い出す前の自分のキャラがわからないという事に気づいてどう返答すれば怪しまれないのか考え、安牌な「はい」という返答を返し、自室であろう部屋に連れて行かれた。


自室は質素な物で、白を基調としたシンプルな部屋だ。

「それじゃあ、おやすみ。ちゃんと休むんだぞ」

そう言い残し父親は部屋から出て行った。


さて…こんな状況で寝れるはずもなくベッドに腰をおろし、現状をもう一度整理してみる。

おそらくこの体の少女は自分だろうと直感的に感じる。なんというか自分の体だとはっきりわかるというか…そして自我は前世の俺だ。前世の記憶を思い出した事で自我を取り戻したような、そんな感じがする。死んだ覚えはないが。


そして少女としての記憶、今までこの世界で生きてきた記憶が一切ない。というか思い出せないだけかも知れないが。ここに来るまであまり話しをしなかったからバレなかったのかも知れないが、いつもどんな振る舞いをしていたかわからないのですぐ様子がおかしいとバレてしまうだろう。じゃあ記憶喪失で通すか?実際覚えていないし。でもあの父親何か知っている様子だったしバレているのかも知れない。それは明日聞いてみるとして、バレてなければ記憶喪失で通せばいいだろう。


もしこれが夢なら覚める前に堪能したい、俺の脳が薬品の中でぷかぷか浮いてこの夢を見ているのかも知れない。まぁ…少なくともこんな技術はないだろうから素直にこの状況を満喫させてもらおう。


さて、興奮で眠れないし、眠気も一切ないので本でも探そう。魔導書でもあれば魔法がある世界のようだし憧れの魔法を使ってみたい。暗闇にずっといた所為か目も慣れて字もわかるくらいはっきり見える。よく見えすぎて異常なくらいだが、今更驚くことでもないだろう。


という事で室内の本を物色し始めた。

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