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第十七話 帝都の我が家に到着

夕食を食べ終え店を後にする。

店には1時間位居たのだろうか?この世界の時間概念がわからないし、時計も無いので分からないがそのくらいだろう。外の様子はさっきと変わらず人が沢山居て賑わっているが今向かっている家の方向は帰りの人ばかりでお祭り帰りのように少し淋しげである。



ドロシーの話によると、ハルトマン家の人間は20年前に起こった魔王軍との大戦での被害が少なく、ボロボロになった各地を復興させるために現皇帝兼勇者の命によって各地に派遣され、その土地に住んでいる者が多いため本家である帝都の家はスッカスカらしく、俺の父親アドルフもその父親、つまり俺の祖父の補佐として1年前に俺、ドロシーと共にポートネリスに飛ばされたらしい。見た感じどこも壊れている様子というか…復興活動が必要な場所とは思えなかったので港としての仕事とかだろうか?



家は案外近かった様でドロシーがアレですよと指を指す。

その方向には高さ2メートルくらいのレンガでできた塀が横方向に城か?と思うほど遠くまで続いている。塀の中は城ではないのだが、どうみても金持ちなお偉いさんの家だと分かる。


「入口はあの角を曲がった先ですよ。一日中馬車に乗っていて疲れたかもですが、後少しですので頑張ってください。」

一日中ガタガタ揺れる馬車に乗っていたわけだが寝ていたからか、疲れはない。それよりこの家の人達には話は伝わってるのだろうか?いきなり来られても困るだろうし。いや、多分。


「はい、あの…わ、私が来る事は伝わってるんですか?」

やはり声が変わったからか、「私」と言うのに抵抗が出る。男の頃言ったら丁寧に言った事の様だろうが、今の声だと女性として意識しているようで言いづらい。


「いえ、伝わってはいないですが…何時でもお屋敷に戻ってきても大丈夫な様に準備してあるので大丈夫ですよ」

大丈夫の様だ。



そんなこんなの内にさっきは遠くに見えていた曲がり角を曲がるとすぐに大きな門があり、緑色の前世の警備員らしい服装をした人物が杖と剣を持った二人、門の両端に立っている。


「アドルフ・ハルトマン様の従者、ドロシー・デューラーです。アドルフ様のご息女、リリー・ハルトマン様をお連れ致しました」

ドロシーが警備員らしき人に一礼するとそう言った。

話には聞いていたし、家のでかさもわかってはいたが硬い形式的物言いに緊張してしまう。


警備員は敬礼をするとドロシーから手紙と親指大の勲章みたいな物を受取り中身を確認して俺を確認するようにじっと見てくる。目が合ってしまい目を逸らす。別に俺は何もしなくていいんだよな?

ドロシーから一歩下がった場所で時間を稼ごうと家を眺める。


「書類は確認しました。どうぞお通り下さい」

警備員は手紙と勲章みたいなものをドロシーに返すと門を開けてくれた。

俺の挙動が変だったのか、不思議そうに見てくる。



先を進むドロシーの後ろに続いて門をくぐり、L字になっている屋敷の大きな扉…玄関口に向かって進む。建物は渋い茶色を濃くしたような色と少量のねずみ色のレンガをモザイクというのだろうか?そんな感じの柄で、濃い緑色の三角屋根にところどころ小さな煙突が生えている。


うん。至って普通の西洋風の屋敷だ。今まで見てきた物もそうだったが、建物そのものは前世の世界にあるようなデザインで、街灯やエアコン、コンロなどギミックくらいにしか魔法を使った物に置き換えられていない。なんかこう…魔法がある世界なら家が浮いてたり、巨大な樹を家にしていそうなものなのに。



屋敷に入ると上にも横にも広いエントランスで、正面に二階への階段、左右に木で出来た柱が立っている。見た感じ人は居ないが、椅子やテーブルなどが置かれていて、待合室っぽい感じでもある。内装はとても豪華そうだが、成金くさいというよりは木が沢山使われていて落ち着くといった感じである。



「それでは大旦那様に挨拶と事情をお話してきますが、一緒に来ますか?」


屋敷に入って椅子に座って一服するなりドロシーが話を振ってきた。

話を聞いた限りだとその大旦那様とやらは典型的な頑固親父といった様子でできれば会いたくない。かと言って住ませてもらう以上挨拶しないとダメだろうし…。まぁどうせ行く事になるよな。わかってはいるけれども少し悩んでしまう。


「分かりました。付いていきます」

そう返すとこちらですと案内されて階段を登ってまっすぐ進む。

今更だけど今って夜だよな?迷惑じゃないのだろうか?当たり前だと言う様子だったので多分いいんだろう。


「大旦那様に挨拶と言われてもどうすればいいでしょうか?」


どうしたらいいのかわからないので聞いてみる。この世界の礼儀作法も知らないし、分からないからと後ろでぼーっと立ってるだけも居心地が悪い。人が集まってワイワイやっている所で一人ケータイを弄っているくらい居心地が悪い。


「えーっと…お嬢様が記憶が無いということをお伝えしますので、普通に会話されたら返すくらいでいいと思いますよ?」


配慮してくれるのはありがたい。結局居心地悪くなりそうだが。

忙しかったので1周間ほど間が空いてしまいました。

もし待ってくれていた方が居たのならば申し訳ございません!

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