表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/2

プロローグ 夏休みと言えば?

 ある日のこと。その日は一年の中でも特に暑く、セミが五月蝿い日だった。

 気がつけば、冬が終わり、新年明けましておめでとう。そして、花粉症になり、どんどん暑くなった。

 俺は家でゴロゴロしている。暑いのにアウトドア派なんてたまったものじゃない。

 クーラーは効いているがその暑さに「あつー……」と独りごちる程だ。

 そうしていると、嫌な音がした。インターホンだ。

 俺はインターホンを覗き込み誰が来たのか確認した。

 訪ねてきた人はロゴも入っていない普通のTシャツ、普通のズボンだった。

 一つだけ普通じゃないとするならば、身長だ。彼の身長はバスケをやっていると勘違いされるほどだ。

 ただ、モテる訳では無い。その理由は………まぁ、話してみれば分かるはずだ。


「なんだお前か」

「なんだとはなんだ! 折角俺が来てやったと言うのにさ」


 ……皆さんお分かりの通り。彼はうざい!

 とてもうざい! この世の汚物と言っても過言ではない。


「とりあえず開けろよ! 暑すぎて溶けるわ!」

「溶けたほうが幸せになる人もいるんじゃない?」

「……どういう意味?」


 俺は、インターホン越しのお喋りを止めて、廊下を渡り玄関へと辿り付いた。

 そして鍵を開ける。その瞬間アイツはすぐさま入ってきやがった。


「葵〜。遅いって! 溶けるって!」

「いや溶けろよ」

「しっかし、今日もかわいいなお前は!」

「や、やめろよ!」

 

 そう。俺の名前は葵。苗字は竹春だ。苗字の「春」と名前の「葵」で女性だとよく間違われる。

 文字だけならまだよかったのだが、身長は小柄で、何故か周りからはかわいいと言われる。

 自覚はない。というかしたくない。男として生きたい人生でしたよ…。

 

 そして今、俺の頭をわしゃわしゃと荒く撫でているのが、入江 大輝だ。 

 その名前のとおり大きく輝いて眩しい程ではなく、もはや太陽だ。

 俺等の関係は幼馴染で、幼稚園からの付き合いだ。仲は良い、とはよく言ったものだ。

 その実態はただの言い合いにすぎない。だが世の中は「喧嘩をするほど仲が良い」だ。イカれてるだろ。

 そして今、高校2年生というものになっても関係が続いている。っていうか高校一緒。ついてきやがった。くそだ。


「んで?何しに来たの?」

「なんだ。かなり寒い反応だな! 外は暑いのに!」

「うるさ……暑苦しい……」

 

 大輝はリビングに座り込み足を遊ばせている。家のリビングは狭いところにテーブル一つ、窓一つ、テレビ一つと素朴そのもの。

 だが、コイツが居座れば何故か絵になる。そんな男だ。困ったよまったく。

 

「昨日から夏休みじゃん?」

「あぁ、たしかにそうだな」

 

 俺等の高校では期末テストが終わればもう夏休みだった。あぁ、校長のクソ長いお話は忘れずに。

 年々暑くなっているというのに……

 もうちょっと短くしてくれ……


「じゃあさ、旅してみない?」

「旅……?」


 大輝の口調は冗談っぽいが本気だ。長年一緒にいるんだ。それくらいはわかる。

 ただ、旅といってもどんな旅なんだよ……


「そーそー。日本全国」


 サラッと言った。サラッと。まるで「当たり前じゃんそれー」みたいな。


「んー……」


 たしかに貯金はある。これまでコイツと一緒にバイトというバイトを掛け持ちした経験がある。


「この暑さで?」

「うん」

「バカじゃないの?」

「むしろ夏だから言ってるんだよ」


 夏だから。そういうものなのだろうか。

 冒頭にお断りしたように、俺はインドア派だ。もちろん。涼しい部屋にいることが正義なんだから。


「なんで?」

「っていうかチケット取っちゃったんだよね」


 ……。この男はいつでも自分勝手だ。嫌気が刺す。だが、コイツがいなかったらいろいろな経験はできていない。

 感謝するべきか……? いや否だな。


「はぁ……そんな気がしてた。じゃなきゃ言わないもんな」

「そーそー。来てくれるよね!」

「ちなみに誰が来るの?」


 俺がそう聞いた時、大輝は首を傾げた。何言ってるのこの人見たいな顔でこっちをみてくる。

 なんだよ……


「葵と二人に決まってんじゃん」

「……まじか。いや、そっちの方がいいか」

「何か言った?」

「いや何も……で?いつなの?」

「1時間後……

「1時間後!? バカじゃないの!? どこの駅!? 交通機関は!?」

「やる気出てきたね!その意気だ!」

「やる気じゃねぇよ! 驚愕だよ!」


 葵、もとい俺は大輝を質問で責めたてた。そしてコイツが行こうとしている目的地がわかった。

 俺はすぐさま準備し、駅へと向かうのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ