野花
「お墓ですか?」
「ん、あぁ、そうだ」
ベローニャの双塔で私の歓迎会をした後。
アルヴァ一等兵が2つの土の山の上に花を置いているのを見かけました。
「2つだけ……?」
「この塔に居た敵は2人だけだったんだよ」
突然話しかけても、アルヴァ一等兵が悪態をついてくることはありませんでした。
「軍服も前線で見る物とは違いましたし、本当この人達は一体何なんでしょうか」
「俺らが考えても仕方ねぇだろ」
「……そうですね」
「アルヴァー! 今ならガーラン大尉が煙草一本吸わせてくれるって!」
「まじか!」
クラム一等兵の呼び声にアルヴァ一等兵は立ち上がりました。
「そうだ、ガーラン大尉が女は右の塔、男は左の塔で寝泊まりだってよ」
「分かりました」
そのまま別れると思っていましたが。
「お前、何時もの馬鹿みたいな言動忘れるなよ」
「はい?」
「前線じゃ一人一人弔ってやれないんだからな」
振り返った思えば、突然何なんでしょうこの男は。
敵兵の死体を見て私が気落ちしてるのは事実です。
元気な声でも無いでしょう。
いつもの私に戻れと、この人は言ってのけました。
どんなに真似しても私はシユではないんです。
シユの代わりにもなり得ない。
あーもう。
何も知らない癖に、なんだかムカついてきました。
「ソルジア上等兵にでも慰めて貰え、明日その顔すんな。士気が下がる」
…………。
「素直に慰めたい、とでも言ったらどうですか」
「お前口悪ぃな」
「冗談ですよー! 明日も早いので、私もう寝ますね!」




