第18話 『揺れる決意、重なる鼓動』
「この庭も……限界かもしれないな」
夕食後、パットンがぽつりと漏らした言葉に、6ペリカの箸が一瞬止まった。
「え?」
「ほら、最近雑草の勢いすごいだろ。そろそろ、ちゃんと手を入れようと思ってさ。コンクリ、考えてる」
言葉は静かだったが、それは彼の中で熟成されてきた決意の発露だった。
6ペリカは笑顔を作ろうとしたが、うまくいかなかった。
胸の奥に引っかかるものがある。今の庭は、確かにボロボロだ。でも――。
「そうね……。でも、まだ、少し……もう少しだけ、見ていたいの」
「そうか」
パットンはそれ以上は何も言わなかった。ただ静かにコップを持ち上げ、水を飲んだ。
水の音だけが部屋に響く。いつもと同じ夕食の時間だったはずなのに、少しだけ違う。
ふたりの間に、言葉にできない感情が流れた。
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夜の庭。月光が照らす中、風に揺れる花の影が淡く揺れている。
「ねえ、タンポポさん。あたし……変な夢を見たの」
白詰草が小さくささやく。葉をすこしすぼめて、不安げに。
「どんな夢ですの?」
「この庭が、ぜんぶ、真っ白な石で埋め尽くされて……誰もいなくなるの」
その声はかすかに震えていた。
タンポポは一拍置いてから、優しく微笑んだ。
「まあ、それは困りますわね。けれど、夢は夢ですわ。お庭が消えるだなんて、そんなこと……」
そう言いながらも、心の奥にはひっかかる何かがあった。
近頃、クラピアとナガミヒナゲシが庭の各地で動き始めている。
勢力を広げ、互いに縄張りを塗り替えるような、そんな不穏な空気――。
(このままでは、何か起きる……)
タンポポは空を見上げた。風が冷たい。春の足音が近づいているはずなのに、妙に冷える夜だった。
⸻
翌朝。6ペリカは目を覚まし、庭を見た。
花壇の縁が、少し崩れていた。誰かが――いや、何かが、通ったような跡。
心なしか、庭の中央に広がる緑の様相が変わってきている気がした。
「……なんだろう、嫌な予感がする」
そう呟いた彼女の声を、風がさらっていく。
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《第18話 揺れる決意、重なる鼓動》
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